絶対王者健在の男子、新スター到来の女子「短距離」

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男子中長距離

強豪揃いの男子中長距離ヨーロッパ勢。本大会でも約10カ国の選手がメダルを獲得する混戦となった。

その中でも複数のメダルを獲得した選手は一際注目すべき選手と言えるだろう。パリ2024オリンピックに向け、日本男子中長距離チームのライバルとなる選手たちを見ていこう。

個人パシュート

個人パシュートを制したのはイギリスのダニエル・ビッガム。『2023世界選手権トラック』での銀メダルに続く、好成績となった。

優勝インタビューでは、「個人種目でブルージャージ(ヨーロッパ大陸選手権者ジャージ)を着るのは今回が初めて。世界選手権ではチームパシュートでも個人パシュートでも金メダルを逃し悔しい思いをしたので、今回優勝できてとても嬉しい」

と語っている。(一部抜粋)

ダニエル・ビッガムは選手である傍ら、個人パシュート現世界チャンピオンのフィリポ・ガンナ(イタリア)らが所属するUCIワールドチーム「INEOS GRENADIERS(ロード)」のスタッフ(パフォーマンス・エンジニア)も務めている”文武両道”の人物だ。

なお世界王者のフィリポ・ガンナは、1月16日から開催されるUCIワールドレース「ツアー・ダウンアンダー出場のため、本大会への出場を見送っている。

男子個人パシュート リザルト

選手名 国名 タイム
優勝 ダニエル・ビッガム BIGHAM Daniel イギリス 4:05.783
2位 チャーリー・タンフィールド TANFIELD Charlie イギリス 4:07.777
3位 ラスムス・ペダーセン PEDERSEN Rasmus デンマーク 4:10.119

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スクラッチ

2023年大会や『2023世界選手権トラック』の同種目のメダリストたちが揃って表彰台を逃した本大会。優勝したのはポルトガルのユリ・レイタオ。今村駿介が銅メダルを獲得した『2023世界選手権トラック』男子オムニアムでアルカンシェルを勝ち取った選手だ。

2位にはオーストリアのティム・ウェフラー。3位にはチームパシュート銀メダルに貢献したトビアス・ハンセンがフィニッシュしている。

男子スクラッチ リザルト

選手名 国名
優勝 ユリ・レイタオ LEITAO Iuri ポルトガル
2位 ティム・ウェフラー WAFLER Tim オーストリア
3位 トビアス・ハンセン HANSEN Tobias デンマーク

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ポイントレース

ポイントレースを制したのはデンマークのニクラス・ラースン。『2023世界選手権トラック』のチームパシュート優勝、『東京2020オリンピック』のチームパシュート銀メダルに貢献した選手だ。もちろん銀メダルを獲得した本大会のチームパシュートのメンバーも務めている。

2位はスペインのセバスチャン・モラ。3位にはフランスのオスカー・ニルソン ジュリアンが入賞を果たしている。

男子ポイントレース リザルト

選手名 国名 ポイント
優勝 ニクラス・ラースン LARSEN Niklas デンマーク 66
2位 セバスチャン・モラ MORA VEDRI Sebastian スペイン 58
3位 オスカー・ニルソン ジュリアン NILSSON-JULIEN Oscar フランス 45

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エリミネーション

エリミネーションを制したのはトビアス・ハンセン。チームパシュートの銀メダル、スクラッチ銅メダルに加えて本種目で金メダルを獲得した。

2位は『2023世界選手権トラック』のスクラッチで日本の窪木一茂の金メダルを阻んだウィリアム・ティドボール。3位にはベルギーのジュールス・ヘスタースが続いている。

男子エリミネーション リザルト

選手名 国名
優勝 トビアス・ハンセン HANSEN Tobias デンマーク
2位 ウィリアム・ティドボール TIDBALL William イギリス
3位 ジュールス・ヘスタース HESTERS Jules ベルギー

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オムニアム

鎖骨の負傷から復帰したイーサン・ハイターがオムニアムで優勝。元世界チャンピオンが、パリ2024オリンピックに向け負傷前と変わらぬ強さを見せつけた。

イーサン・ハイターに同ポイントながらも、最終周回のフィニッシュ順位で惜しくも銀メダルとなったのはデンマークのニクラス・ラースン。

さらに僅差でベルギーのファビオ・ファンデンボッシェが銅メダルを獲得している。

男子オムニアム リザルト

選手名 国名 ポイント
優勝 イーサン・ハイター HAYTER Ethan イギリス 121(最終周回5着)
2位 ニクラス・ラースン LARSEN Niklas デンマーク 121(最終周回16着)
3位 ファビオ・ファンデンボッシェ van den BOSSCHE Fabio ベルギー 118

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マディソン

「東京2020オリンピック」よりオリンピック種目となったマディソン。2022年大会からヨーロッパ王者に君臨しているドイツのロジャー・クルーゲとテオ・レインハートのペアが3連覇を達成した。

2023シーズンはネーションズカップで活躍したトマ・ブダとドノヴァン・ゴロンダンのフランスペアが銀メダルを獲得。

東京2020オリンピック」と『2021世界選手権トラック』のマディソンを制したミカエル・モルコフ(38歳)と、若手選手のテオドール・ストーム(18歳)の”デンマーク20歳差コンビ”が3位入賞を果たした。

男子マディソン リザルト

選手名 ポイント
優勝 ドイツ ロジャー・クルーゲ
テオ・レインハート
KLUGE Roger
REINHARDT Theo
64
2位 フランス トマ・ブダ
ドノヴァン・ゴロンダン
BOUDAT Thomas
GRONDIN Donavan
60
3位  デンマーク ミカエル・モルコフ
テオドール・ストーム
MORKOV Michael
STORM Theodor
50

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チームパシュート

個人パシュートでトップ2に輝いたダニエル・ビッガム、チャーリー・タンフィールド率いるイギリスがチームパシュートにて優勝。DNFに終わった自国開催の『2023世界選手権トラック』の悔しさを晴らす結果となった。

個人パシュートで銅メダルを獲得したラスムス・ペダーセンを有する現世界王者のデンマークは2位。

フィリポ・ガンナ不在のイタリアが3位でフィニッシュしている。

男子チームパシュート リザルト

国名 選手名 タイム
優勝 イギリス ダニエル・ビッガム
イーサン・ハイター
チャーリー・タンフィールド
イーサン・バーノン
オリバー・ウッド
BIGHAM Daniel
HAYTER Ethan
TANFIELD Charlie
VERNON Ethan
WOOD Oliver
3:45.218
2位 デンマーク カールフレデリック・ビーボルト
トビアス・ハンセン
ニクラス・ラースン
ラスムス・ペダーセン
フレデリック・マドセン
BEVORT Carl-Frederik
HANSEN Tobias
LARSEN Niklas
PEDERSEN Rasmus
MADSEN Rodenberg Frederik
3:46.372
3位 イタリア ダビデ・ボスカーロ
シモーネ・コンソーニ
フランチェスコ・ラモーン
ジョナサン・ミラン
BOSCARO Davide
CONSONNI Simone
LAMON Francesco
MILAN Jonathan
3:49.974

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女子中長距離

女子中長距離の表彰台には2022年シーズンから世界選手権やネーションズカップで結果を残している顔ぶれが揃った。

個人パシュート

2位と3位の差は「0.115秒」。1位と2位の差は「0.003秒」。大接戦の個人パシュートを制したのはイギリスのジョシー・ナイト。

2位には前年チャンピオンのフランチスカ・ブラウスが入賞。『2023世界選手権トラック』チームパシュート優勝メンバーのアンナ・モリスが銅メダルを勝ち取った。

女子個人パシュート リザルト

選手名 国名 タイム
優勝 ジョシー・ナイト KNIGHT Josie イギリス 3:22.816
2位 フランチスカ・ブラウス BRAUSSE Franziska ドイツ 3:22.819
3位 アンナ・モリス MORRIS Anna イギリス 3:22.934

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スクラッチ

主にマディソンやチームパシュートで世界トップの成績を残してきたクララ・コッポニが優勝。

優勝インタビューでは、「チャンピオンジャージを獲得でき、またこれが初の個人タイトルなのでなおさら嬉しい。最高のオリンピックイヤーのスタートを切れました」

と涙ながらに語った。(一部抜粋)

銀メダルを獲得したのはベルギーの若手ラニ・ウィッテフローゲル(20歳)。ロッテ・コペツキー率いるベルギー女子中長距離チームを担っていくであろう選手だ。

銅メダルは2021年・2022年の世界大会で2連覇を果たしたマルティーナ・フィダンザが獲得。『2023世界選手権トラック』では悔しくも4位に終わっていた”スクラッチ職人“が表彰台へのカムバックを果たした。

女子スクラッチ リザルト

選手名 国名
優勝 クララ・コッポニ COPPONI Clara フランス
2位 ラニ・ウィッテフローゲル WITTEVRONGEL Lani ベルギー
3位 マルティーナ・フィダンザ FIDANZA Martina イタリア

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ポイントレース

2021年2023年の世界選手権でもポイントレースにてアルカンシェルを獲得しているロッテ・コペツキーが優勝。ロードでも現世界チャンピオンに君臨するほどの実力の持ち主だ。

優勝インタビューにてヨーロッパチャンピオンジャージについてのコメントを求められたコペツキーは、「チャンピオンジャージは何度着ても良いですね」と語り、王者の貫禄を示した。

女子ポイントレース リザルト

選手名 国名 ポイント
優勝 ロッテ・コペツキー KOPECKY Lotte ベルギー 24
2位 アニータ イボンヌ・ステンバーグ STENBERG Anita Yvonne ノルウェー 19
3位 ヤルミラ・マハチョヴァー MACHACOVA Jarmila チェコ 18

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エリミネーション

チャンピオンの座が定着してきたベルギーのロッテ・コペツキーが優勝。世界選手権では2022年2023年大会で2連覇を達成中。ヨーロッパ選手権では本大会で3連覇達成となった。

2位にはドイツのリア リン・トウデンベルグ、3位にはイギリスのジェシカ・ロバーツがラインクイン。

女子エリミネーション リザルト

選手名 国名
優勝 ロッテ・コペツキー KOPECKY Lotte ベルギー
2位 リア リン・トウデンベルグ TEUTENBERG Lea Lin ドイツ
3位 ジェシカ・ロバーツ ROBERTS Jessica イギリス

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オムニアム

オリンピック種目のオムニアムを制したのは、ポイントレースで銀メダルを獲得したアニータ イボンヌ・ステンバーグ(32歳)。

スクラッチで優勝した2022年大会、ポイントレースで優勝した2023年大会に続き、ノルウェーにヨーロッパチャンピオンジャージを3年連続で持ち帰った。

銀メダルを獲得したのは、2022年のポイントレース世界チャンピオンであるネア・エバンス(33歳)。

両者とも30代のベテラン選手だが、4種目を1日でこなす過酷なオムニアムで若手選手に引けを取らない活躍を見せている。

銅メダルはフランスのバレンタイン・フォルタン(24歳)が獲得。『2023世界選手権トラック』女子エリミネーションの銀メダリストだ。

女子オムニアム リザルト

選手名 国名 ポイント
優勝 アニータ イボンヌ・ステンバーグ STENBERG Anita Yvonne ノルウェー 142
2位 ネア・エバンス EVANS Neah イギリス 136
3位 バレンタイン・フォルタン FORTIN Valentine フランス 131

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マディソン

女子マディソンにて2、3位に差を付けて優勝したのは、フランスのバレンタイン・フォルタンとマリオン・ボラスのペア。2人とも『2023世界選手権トラック』の女子チームパシュートにて銅メダルに貢献した選手だ。

女子マディソン リザルト

選手名 ポイント
優勝 フランス バレンタイン・フォルタン
マリオン・ボラス
FORTIN Valentine
BORRAS Marion
50
2位 ベルギー カトリン・デ クラーク
ロッテ・コペツキー
de CLERCQ Katrijn
KOPECKY Lotte
41
3位 イタリア エリサ・バルサモ
ヴィットーリア・グアッツィーニ
BALSAMO Elisa
GUAZZINI Vittoria
28

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チームパシュート

イギリス(現世界チャンピオン)対イタリア(前世界チャンピオン)の戦いとなったチームパシュート決勝。

優勝を勝ち取ったのは、『2023世界選手権トラック』で悔しくも4位に終わっていたイタリア。5人体制のアルカンシェルホルダーに4人体制で打ち勝った。

3位は「東京2020オリンピック」で金メダルを獲得したドイツ。エースの1人であったリサ・ブレナウアー引退後も、安定して主要大会の表彰台に登っている。

3位決定戦では銀メダルのイギリスより1秒以上早いタイムでフィニッシュしており、ディフェンディングチャンピオンとして挑む「パリ2024オリンピック」に向け好調ぶりをアピールした。

女子チームパシュート リザルト

国名 選手名 タイム
優勝 イタリア エリサ・バルサモ
マルティーナ・フィダンザ
ヴィットーリア・グアッツィーニ
レティシア・パテルノステル
BALSAMO Elisa
FIDANZA Martina
GUAZZINI Vittoria
PATERNOSTER Letizia
4:12.551
2位 イギリス ミーガン・バーカー
ジョシー・ナイト
アンナ・モリス
ジェシカ・ロバーツ
ネア・エバンス
BARKER Megan
KNIGHT Josie
MORRIS Anna
ROBERTS Jessica
EVANS Neah
4:15.950
3位 ドイツ フランチスカ・ブラウス
リサ・クレイン
レナ シャーロット・ライスナー
ローラ・ズイスミルヒ
マイキ・クローガ
BRAUSSE Franziska
KLEIN Lisa
REISSNER Lena Charlotte
SUSSEMILCH Laura
KROGER Mieke
4:14.768

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パリまで残り約半年!

本記事では『2024UECヨーロッパ選手権トラック』のリザルトと、各種目の有力選手たちを紹介してきた。

2024年8月5日から開幕するパリ2024オリンピックのトラック競技だが、出場枠を懸けた戦いは4月の『2024ネーションズカップ第3戦』にて終了する。パリに向けいよいよエンジンを上げてきたスター揃いのヨーロッパ選手たちを、ぜひチェックいただきたい。

『2024UECヨーロッパ選手権トラック』の日別ハイライト動画はUEC公式YouTubeをチェック!

日本チームが出場可能なオリンピック選考大会(2024年版)

開催日程 大会 開催地
2月2日〜4日 ネーションズカップ第1戦 アデレード(オーストラリア)
2月21日〜25日 アジア選手権トラック ニューデリー(インド)
3月15日〜17日 ネーションズカップ第2戦 香港
4月12日〜14日 ネーションズカップ第3戦 ミルトン(カナダ)

その他日本の競輪(グレードレース)との兼ね合いや、1年間を通した主要レース日程はコチラ

2024年の競輪グレードレース&トラック競技大会スケジュール一覧