短距離

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男子中長距離

全7種目のメダルを獲得したのは計9カ国の選手。

国別では比較的に拮抗した結果となったが、強いて挙げればドイツ・フランスの活躍が目立った印象。

その他、劣らぬ強さを見せつけた現世界チャンピオンたちの活躍も目立つ大会となった。

個人パシュート

選手名 国名 タイム
優勝 ニコラス・ハインリッヒ HEINRICH Nicolas ドイツ 4:09.320
2位 ダビデ・プレバーニ PLEBANI Davide イタリア 4:12.924
3位 マンリオ・モロ MORO Manlio イタリア 4:15.362

個人パシュートを制したのはドイツの若手選手であるニコラス・ハインリッヒ。

ニコラス・ハインリッヒは、本大会の約1ヶ月前に開催された『2022UECヨーロッパ選手権U23』でも個人パシュートで優勝した選手。10月の世界選手権(エリート)では、どんな活躍を見せてくれるのか楽しみだ。

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チームパシュート

国名 選手名 タイム
優勝 フランス トーマス・ドゥニス
バレンティン・タベリオン
ベンジャミン・トマ
クエンティン・ラファルグ
トマ・ブダ(1回戦
DENIS Thomas
TABELLION Valentin
THOMAS Benjamin
LAFARGUE Quentin
BOUDAT Thomas
3:50.507
2位 デンマーク カールフレデリック・ビーボルト
トビアス・ハンセン
ラスムス・ペダーセン
ロビン・スキーヴィル
BÉVORT Carl-frederik
HANSEN Tobias
PEDERSEN Rasmus
SKIVILD Robin
3:51.692
3位 イギリス リース・ブリットン
オリバー・ウッド
チャーリー・タンフィールド
キアン・エマディ
ウィリアム・ティドボール
BRITTON Rhys
WOOD Oliver
TANFIELD Charlie
EMADI Kian
TIDBALL William
3:54.373

チームパシュートを制したのは、2021年の世界選手権で惜しくも2位となっていたフランスチーム。

前回大会を制したデンマークチームは現世界チャンピオンのイタリアチームに対し、1回戦で追い抜き勝利を果たす活躍を見せたものの、決勝ではフランスチームに1秒差の遅れを取り銀メダルで大会を終えた。

10月の世界選手権では世界記録も擁するイタリアチームを破って新たな世界チャンピオンが誕生するのか、注目したい。

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スクラッチ

選手名 国名
優勝 ユリ・レイタオ LEITÃO Iúri ポルトガル
2位 モリッツ・マルカレク MALCHAREK Moritz ドイツ
3位 ロイ・エイフティング EEFTING Roy オランダ

現世界チャンピオンのドノヴァン・ゴロンダン(フランス)など、強豪選手も多く出場するスクラッチの表彰台に登ったのは、ネーションズカップなど2022年の主要大会ではメダル未獲得となっていた3人。

とはいえ前回大会でメダル2枚(銀1・銅1)、2021年の世界選手権で銀メダルを獲得したユリ・レイタオなど、世界レベルの実力を誇る選手であることには間違いない。

10月の世界選手権で、2022年シーズンをどう締めくくるのか注目だ。

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エリミネーション

選手名 国名
優勝 エリア・ビビアーニ VIVIANI Elia イタリア
2位 テオ・レインハート REINHARDT Theo ドイツ
3位 ジュールス・ヘスタース HESTERS Jules ベルギー

エリミネーションを制したのは、現世界チャンピオンのエリア・ビビアーニ。

UCIワールドチームの「INEOS Grenadiers」に所属し、ロードレースでも活躍するエリア・ビビアーニは、2022年ネーションズカップ第1戦(グラスゴー)でもエリミネーションで優勝。フィニッシュ前の駆け引きやスプリント能力など、ロードでの経験が強さの秘密なのかもしれない。

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ポイントレース

選手名 国名 ポイント
優勝 ベンジャミン・トマ THOMAS Benjamin フランス 135ポイント(4ラップ)
2位 ローブ・ギス GHYS Robbe ベルギー 123ポイント(4ラップ)
3位 ヴィンセント・ホペザック HOPPEZAK Vincent オランダ 113ポイント(5ラップ)

エリミネーションと同じく、現世界チャンピオンが強さを見せつけたポイントレース。ベンジャミン・トマは前回大会でも同種目を制した選手だ。

2位のローブ・ギスに10ポイント以上の差を付け、見事大会2連覇を飾った。10月の世界選手権での2連覇も大いに期待できる選手だ。

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オムニアム

選手名 国名 ポイント
優勝 ドノヴァン・ゴロンダン GRONDIN Donavan フランス 150ポイント
2位 シモーネ・コンソーニ CONSONNI Simone イタリア 148ポイント
3位 セバスチャン・モラ MORA VEDRI Sebastian スペイン 146ポイント

オムニアムでは、スクラッチ現世界チャンピオンのドノヴァン・ゴロンダンが優勝。

2021年の世界選手権東京2020オリンピックでは、チームパシュートの優勝メンバーとして活躍したシモーネ・コンソーニが銀メダルを獲得。そのわずか2ポイント差でセバスチャン・モラが続いた。

4種目をたった1日でこなしその合計ポイントを争うオムニアムだが、表彰台に登った3選手のポイント差はわずか4ポイント。

ある1種目では1着を獲った選手もメダル圏外となっている今回のオムニアム。言うまでもなく、4種目を通して戦い抜くことができる能力が重要となる種目だ。

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マディソン

国名 選手名 ポイント
優勝 ドイツ ロジャー・クルーゲ
テオ・レインハート
KLUGE Roger
REINHARDT Theo
101ポイント
2位 フランス トマ・ブダ
ドノヴァン・ゴロンダン
BOUDAT Thomas
GRONDIN Donavan
91ポイント
3位 ベルギー ローブ・ギス
ファビオ・ファンデンボッシェ
GHYS Robbe
VAN DEN BOSSCHE Fabio
58ポイント

マディソンを制したのは、ロジャー・クルーゲとテオ・レインハート。ともに30代のドイツのベテランコンビだ。

2位に続いたのは、オムニアムを制したドノヴァン・ゴロンダンと、チームパシュートの優勝メンバーであるトマ・ブダのフランスペア。この上位2チームがその他のチームに大きな差を付ける結果となった。

2人1組のペアで交代しながら走るマディソンは男子の場合50kmを走り、トラック競技のなかでも最長となる種目。

そして1周200mの狭いトラックが使用された本大会のマディソンで、落車のリスクも高まるなか、250周に及ぶレースを勝利した選手たちの集中力には圧巻だ。

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女子中長距離

全7種目の表彰台に登ったのは、男子と同じく9カ国の選手たち。

男子の中長距離と異なるのは、より多くの若手選手がメダルを獲得している点。

なかには30代のベテラン選手によりメダルが獲得された種目もあるが、大半のメダリストたちは25歳以下の若手選手だ。

個人パシュート

選手名 国名 タイム
優勝 マイキ・クローガ KRÖGER Mieke ドイツ 3:22.469
2位 リサ・ブレナウアー BRENNAUER Lisa ドイツ 3:23.566
3位 ヴィットーリア・グアッツィーニ GUAZZINI Vittoria イタリア 3:24.813

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個人・チームパシュート種目で表彰台上位を獲得したのはドイツ選手たち。

2021年の世界選手権ではチームパシュートで優勝し、同大会の個人パシュートでもその優勝メンバーが1位〜3位も席巻する活躍を見せていた。

そして今大会の個人パシュートで金・銀メダルを獲得したのもそのうちの2人。

UCIウィメンズワールドチームに所属しロード種目でも活躍するマイキ・クローガが優勝し、約1秒差で同じくドイツのリサ・ブレナウアーが続いた。引退を表明していたリサ・ブレナウアーにとって、今大会がトラック競技選手としてラストの出走となった。

女子個人パシュート世界王者のリサ・ブレナウアーが引退

このドイツコンビに続いたのはイタリアの若手選手、ヴィットーリア・グアッツィーニ。同じくUCIウィメンズワールドチームに所属しロードでも活躍している選手で、約1ヶ月前に開催されたU23のヨーロッパ選手権では個人パシュートを制している。

チームパシュート

国名 選手名 タイム
優勝 ドイツ リサ・ブレナウアー
リサ・クレイン
フランチスカ・ブラウス
マイキ・クローガ
BRENNAUER Lisa
KLEIN Lisa
BRAUSSE Franziska
KRÖGER Mieke
4:10.872
2位 イタリア ヴィットーリア・グアッツィーニ
レティシア・パテルノステル
ラケーレ・バルビエリ
シルビア・ザナルディ
マルティーナ・フィダンザ
GUAZZINI Vittoria
PATERNOSTER Letizia
BARBIERI Rachele
ZANARDI Silvia
FIDANZA Martina
4:11.571
3位 フランス ヴィクトワール・ベルト
マリオン・ボラス
クララ・コッポニ
バレンタイン・フォルタン
BERTEAU Victoire
BORRAS Marion
COPPONI Clara
FORTIN Valentine
追い抜き

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個人パシュートでも金・銀メダルを獲得したドイツチームが、現世界チャンピオンの証であるアルカンシェルを纏い優勝。大会2連覇を達成した。

そして2位に輝いたのはイタリアチーム。ヴィットーリア・グアッツィーニなどU23でも活躍する選手たちと、2021年の世界選手権で銀メダルを獲得したメンバーで構成されたチーム。全員25歳以下の選手だが、それぞれが世界トップレベルでの実績を持ち合わせている。

スクラッチ

選手名 国名
優勝 アニータ イボンヌ・ステンバーグ STENBERG Anita Yvonne ノルウェー
2位 ジェシカ・ロバーツ ROBERTS Jessica イギリス
3位 ニコラ・ヴィロスカ WIELOWSKA Nikola ポーランド

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若手選手の活躍が目立つなか、スクラッチを制したのは30歳のアニータ イボンヌ・ステンバーグ(ノルウェー)。2021年には国内選手権で5冠を達成した、まさにノルウェーを代表する選手。見事2022年の世界選手権・女子スクラッチへ出場するための大陸チャンピオン枠を勝ち取った。

続く2位・3位となったのはジェシカ・ロバーツとニコラ・ヴィロスカの若手選手たち。ニコラ・ヴィロスカは19歳ながらも、2022年ネーションズカップ第3戦(カリ)のチームパシュートでは銀メダルを獲得している、ポーランド注目の若手選手だ。

エリミネーション

選手名 国名
優勝 ロッテ・コペツキー KOPECKY Lotte ベルギー
2位 ファイファー・ジョージ GEORGI Pfeiffer イギリス
3位 ミレーヌ・ドゥズート DE ZOETE Mylene オランダ

エリミネーションを制したのはロッテ・コペツキー。ロード・トラック両競技で活躍するベルギーのスター選手だ。

2021年の世界選手権では金メダル1枚・銀メダル2枚の活躍を見せた。そのうち1枚の銀メダルはエリミネーションで獲得したもの。

大陸チャンピオン枠を手にしたロッテ・コペツキーが、世界選手権でどんな走りを見せてくれるのか、その活躍に期待したい。

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ポイントレース

選手名 国名 ポイント
優勝 ロッテ・コペツキー KOPECKY Lotte ベルギー 85ポイント(3ラップ)
2位 シルビア・ザナルディ ZANARDI Silvia イタリア 53ポイント(1ラップ)
3位 ヴィクトワール・ベルト BERTEAU Victoire フランス 47ポイント(1ラップ)

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ポイントレース現世界チャンピオンの証であるアルカンシェルを着用したロッテ・コペツキーが優勝したポイントレース。3ラップ*を決め、2位に30ポイント以上の差を付けての勝利となった。

銀メダルに輝いたのは、U23のヨーロッパ選手権で同種目を制したシルビア・ザナルディ。チームパシュートでもイタリアチームの銀メダルに貢献した注目の若手選手だ。

※ラップ:集団を1周差をつける行為。1ラップにつき20ポイントを獲得できる。

オムニアム

選手名 国名 ポイント
優勝 ラケーレ・バルビエリ BARBIERI Rachele イタリア 68ポイント
2位 クララ・コッポニ COPPONI Clara フランス 57ポイント
3位 ダリア・ピクリク PIKULIK Daria ポーランド 57ポイント(1ラップ)

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世界選手権出場に向けたオムニアムの大陸チャンピオン枠を獲得したのは、イタリアのラケーレ・バルビエリ。

UCIウィメンズワールドチームに所属し、2022年は主にロードで活躍していた選手。『ツール・ド・フランス・ファム2022』にも出場し上位でフィニッシュするステージもあった。両競技での活躍に期待したい。

4種目のレースを1日で行い、その合計ポイントを競うオムニアムだが、比較的ポイント差が広がらず拮抗した本大会。しかも2位・3位は57ポイントの同点。最終周回をより先にフィニッシュしたクララ・コッポニが銀メダルを獲得した。

マディソン

国名 選手名 ポイント
優勝 イタリア シルビア・ザナルディ
ラケーレ・バルビエリ
ZANARDI Silvia
BARBIERI Rachele
41ポイント
2位 フランス クララ・コッポニ
マリオン・ボラス
COPPONI Clara
BORRAS Marion
40ポイント
3位 デンマーク アマリー・ディデリクセン
ジュリー・レス
DIDERIKSEN Amalie
LETH Julie
38ポイント

オムニアムを制したラケーレ・バルビエリと、ポイントレースで銀メダルを獲得したシルビア・ザナルディのイタリアペアがマディソンを優勝。

続く2位でフィニッシュしたのがオムニアムで銀メダルを獲得していたクララ・コッポニとマリオン・ボラスのフランスコンビ。マリオン・ボラスは2022年ネーションズカップ第1戦(グラスゴー)のマディソンで優勝している選手だ。

1位と3ポイント差、2位とは1ポイント差の接戦を繰り広げたデンマークペアが銅メダル獲得となった。

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リザルト一覧
写真出典 UEC facebook

世界選手権は10月

以上本記事では、ドイツ・ミュンヘンにて開催された『2022UECヨーロッパ選手権トラック』のリザルトをご紹介してきた。

開催国ドイツの活躍が目立った本大会。また、強豪揃いのヨーロッパでは、アルカンシェルを纏った現世界チャンピオンたちの劣らぬ強さも印象的だった。

しかし、トラック競技で活躍しているのはヨーロッパの選手だけではない。10月に開催される世界選手権でどんな選手が活躍するのか、ぜひ注目していただきたい。

2022世界選手権トラック 日本選手団が決定