ドイツの至宝 クリスティーナ・フォーゲル
クリスティーナ・フォーゲル。1990年生まれのドイツ人。世界選手権での金メダルは計11個、オリンピックでも金メダル2つ、銅メダル1つを得ている。日本人にわかりやすく言えば、レスリングの吉田沙保里みたいな人物である。
2016年には短期登録制度で日本の競輪にも参戦。期間中9レースに出場し、うち2回は優勝、2連対率・3連対率は共に100%という成績で日本を後にした。
しかし2018年6月、練習中の事故により「2度と歩くことはできない」半身不随に。眩しすぎるスーパースターのままで、選手生命に幕を降ろした。
しかし引退後もトラック競技には関わっており、国際大会では車椅子姿のフォーゲルを見ることがある。今も変わらず、ドイツの至宝のままである。
新女王候補のひとり リー・ワイジー(李慧詩)
クリスティーナ・フォーゲルがバンクから去り、フォーゲルに代わる「新女王」たる選手が何人か現れた。香港のリー・ワイジー(李慧詩)もそのひとりである。2019-20シーズンではトラックワールドカップ スプリントで4つの金メダル、世界選手権のスプリントでは銅メダルを獲得している。
2016年に短期登録制度で日本の競輪にも参戦(JKAでの登録名はリ ケイシ)。FⅡレースでは勝率100%を叩き出した。
なお、女子短距離界はリー・ワイジーのほかにも、世界選手権2020で3冠のエマ・ヒンツェ(ドイツ)、世界選手権ケイリン銀メダルで、競輪も行われている韓国のイ・ヘジン、2019年に来日したマチルド・グロ(フランス)なども注目株。
オリンピックで「日本の競輪で走った」彼女らの活躍を見る、あるいは来年以降の日本の競輪で「オリンピックで活躍した」彼女らの走りを見る・・・そんなことを念頭に置くと、トラック競技と競輪の両方を楽しめるだろう。
サーの称号を持つ男 クリス・ホイ
2005年に国際競輪を走り、その後ケイリンの大スターへと駆け上ったクリス・ホイ。2008年北京オリンピックでの「1大会3冠獲得」は英国人として100年ぶりの快挙で、同年にナイトの爵位(Sir)を授与される。また、英国選手として史上最多6個のオリンピック金メダルを獲得。イギリス自転車トラックの「英雄」だ。
日本で国際競輪を走った2005年まで、1kmタイムトライアルを主に走っていたホイ。しかし同タイミングで1kmタイムトライアルがオリンピック種目から外され、新たな種目に取り掛からなければならなくなった。そんな時に「日本で“競輪”に触発され、このエキサイティングで、速くて、何が起こるかわからない種目を本格的に始めることに」したという。
「2005年に日本に来たことが自分にとって大きな転換期になったと思います」とホイは語ったが、国際競輪・短期登録制度はトラック競技の選手ら、そしてトラック競技界にとって、さまざなな価値を持つ試みと言えるかもしれない。