『パリオリンピック』ケイリン決勝、メダル目前で落車というアクシデントに見舞われた中野慎詞。

2025年シーズンは『アジア選手権』ではケイリン金を含む3つのメダルを手にし、新たなスタートを切ったと思われたが、『ジャパントラックカップ』では大会2日目に落車。直後の『高松宮記念杯競輪』でも途中欠場となるなど、どうにも良い流れを掴めていない。

どうすれば、悪い流れを断ち切ることができるのか。

そんな想いからMoreCADENCE編集部と中野慎詞がたどり着いたのは、「滝行」であった――。

全日本選手権トラック(8月22~25日)に向けての特別企画

「悪いものを取り去り、運命を切り開く」

の模様をレポートする。

中野慎詞、滝行へ

そんなわけでやってきたのが、神奈川県南足柄市・夕日の滝。
近年、ちょっとしたブームになりつつあるという滝行を体験できる場所。

新人なので、中野選手は白帯

横で法螺貝を構えているのは、今回の指導員である「足柄修験の会」代表の市川峰遊さん(本人の希望により以後の記載は「仙人」とする)。それっぽい写真を撮りたいと伝えたところ、ノリノリで対応してくれた(ありがとうございます)。

仙人の雰囲気にたじろぐ

この「夕日の滝」は、観光地としても人気の場所。
ファミリーで皆さんがバーベキューをしているエリアもあり、空手着の2人が歩いていく姿が目を引く。

諸説あるようだが、滝行は、神道にある「禊」と仏教の「修行」がルーツとされているという。
そこに道教の教えなども取り込み、修験道の滝行が生まれたそう。

仙人は、手塚治虫の名作『火の鳥』で修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)の存在を知り、その後エジプトのピラミッドからインドのガンジス川、チベットの険しい山まで、世界各国で修行。日本へと戻り滝行へと行き着き修行を続けており、滝行歴はじつに20年以上にわたるという。

ただものではない“仙人”のような雰囲気にたじろぎつつも、滝へと歩を進めていく。

ほどなくして、滝へと到着。
美しい写真になっているが、かなりの水量と勢い……

「悪いものを取り去り、運命を切り開く」

滝のすぐ横にあるお堂で、まずはお祓いの儀式。

ここで中野に渡されたのは、護摩木。願い事を書き込むのだという。

中野が書き入れたのは、「悪いものを取り去り、運命を切り開く」という文字。願いを込め、護摩木に筆を入れる。
「ちょっとこれ、ペン先が太いんで、滲まないようにうまい具合に書いてください」と仙人。

仙人のお経と法螺貝の音色、そして中野自身が叩く太鼓によって、神聖な空気が作り上げられていく。

いよいよ滝へ!!

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