8月3日からイギリス・グラスゴーで開催される『2023世界選手権トラック』。各種目の世界No.1を決定する年に1度のビッグイベントだ。
今大会は「2024パリオリンピック」の選考大会に含まれる唯一の世界選手権。1開催で獲得できるポイントが最も高く、非常に重要な1戦だ。
この記事ではUCI公式サイトより公開されたエントリーリストから「中長距離種目」の注目選手たちをピックアップ。出場予定種目も確認し、観戦の助けにしていただければ幸いだ。
エントリーリスト(種目別)(2023年7月14日公開)
※リザーブ選手を含む
UCI公式サイト「2023 UCI CYCLING WORLD CHAMPIONSHIPS – TRACK」
短距離実施種目
個人種目:個人パシュート, スクラッチ, エリミネーション, ポイントレース, オムニアム
チーム種目:チームパシュート, マディソン
日本チーム男子
種目 | エントリー選手 |
個人パシュート | 窪木一茂, 松田祥位 |
チームパシュート | 橋本英也, 窪木一茂, 今村駿介, 兒島直樹, 松田祥位 |
スクラッチ | 窪木一茂, 今村駿介 |
エリミネーション | 橋本英也 |
ポイントレース | 兒島直樹 |
オムニアム | 橋本英也, 今村駿介 |
マディソン | 窪木一茂, 今村駿介 |
※補欠を含む
種目別 注目選手・国まとめ
種目 | 注目選手 / 注目国 |
個人パシュート | フィリポ・ガンナ(イタリア) ジョナサン・ミラン(イタリア) ダニエル・ビッガム(イギリス) コランタン・エルメノー(フランス) |
スクラッチ | ロイ・エイフティング(オランダ) ディラン・ビビック(カナダ) ドノヴァン・ゴロンダン(フランス) |
エリミネーション | エリア・ビビアーニ(イタリア) イーサン・バーノン(イギリス) ドノヴァン・ゴロンダン(フランス) マティエス・ブフリ(オランダ) ジュールス・ヘスタース(ベルギー) ディラン・ビビック(カナダ) トビアス・ハンセン(デンマーク) |
ポイントレース | シモーネ・コンソーニ(イタリア) ドノヴァン・ゴロンダン(フランス) ヨエリ・ハビック(オランダ) ファビオ・ファンデンボッシェ(ベルギー) アーロン・ゲイト(ニュージーランド) ロジャー・クルーゲ(ドイツ) |
オムニアム | エリア・ビビアーニ(イタリア) イーサン・ハイター(イギリス) ベンジャミン・トマ(フランス) ヴィンセント・ホペザック(オランダ) ファビオ・ファンデンボッシェ(ベルギー) ディラン・ビビック(カナダ) キャンベル・スチュワート(ニュージーランド) |
チームパシュート | イタリア, イギリス, フランス, デンマーク, ニュージーランド, ドイツ, オーストラリア |
マディソン | イタリア, イギリス, フランス, デンマーク, オランダ, ベルギー, ニュージーランド, ドイツ, ポルトガル |
*補欠選手を含まない。7月14日公開のリストに基づくため、変更の可能性あり。
イタリア
注目選手
選手名 | 出場予定種目 |
エリア・ビビアーニ | エリミネーション, オムニアム, マディソン |
フィリポ・ガンナ | 個人パシュート, チームパシュート |
ジョナサン・ミラン | |
マンリオ・モロ | |
シモーネ・コンソーニ | ポイントレース, マディソン, チームパシュート |
ロードレースでも世界トップカテゴリーで活躍する選手たちを擁するイタリア。チームパシュートでは東京2020オリンピックで樹立した世界記録を保持するも、『2022世界選手権トラック』ではイギリスに敗れ銀メダル。パリ2024オリンピックに向け、リベンジを狙う。
個人種目でもタレント揃いのイタリア。個人パシュートではフィリポ・ガンナが世界で2人しか到達していない「3分台」を記録し、世界記録を保持している。同じくタイムトライアルを得意とするジョナサン・ミランも有力候補。『2022世界選手権トラック』個人パシュートの金・銀メダリストだ。
エリミネーションには2年連続世界チャンピオンのエリア・ビビアーニが出場予定。
イギリス
注目選手
選手名 | 出場予定種目 |
イーサン・ハイター | オムニアム |
イーサン・バーノン | スクラッチ, エリミネーション, チームパシュート |
オリバー・ウッド | マディソン |
『2023世界選手権トラック』開催国のイギリス。昨年はチームパシュートで世界記録を保持するイタリアから、アルカンシェルを奪い取っている。
中でも要注目なのがイーサン・ハイター。現在オムニアムでもアルカンシェルを保持している選手で、東京2020オリンピックではマディソンで銀メダルを獲得。同じく『2022世界選手権トラック』のマディソンでは、オリバー・ウッドとのペアで銀メダルを手にしている。
その他、チームパシュート優勝メンバーであるイーサン・バーノンは、『2022世界選手権トラック』エリミネーションの銅メダリスト。
チームパシュートメンバーが個人種目でもメダル獲得の可能性を大きく秘めているのが、イギリスチームの特徴だ。
フランス
注目選手
選手名 | 出場予定種目 |
ベンジャミン・トマ | オムニアム, マディソン, チームパシュート |
ドノヴァン・ゴロンダン | スクラッチ, エリミネーション, ポイントレース |
トマ・ブダ | マディソン |
ベンジャミン・トマとドノヴァン・ゴロンダン、現マディソン世界チャンピオンのペアを擁するフランス。2人ともロードの世界トップクラスで活躍している。
その他『2023ネーションズカップ第2戦』のオムニアムで優勝しているトマ・ブダも要注目の選手。
チームパシュートでは昨年世界選手権の決勝進出を逃しているが、2023年のネーションズカップシリーズでメダルを獲得。好調さをアピールしている。
オランダ
注目選手
選手名 | 出場予定種目 |
ヨエリ・ハビック | ポイントレース, マディソン |
ヤン ウィレム・ファンシップ | マディソン |
ヴィンセント・ホペザック | オムニアム |
マティエス・ブフリ | エリミネーション |
例年パシュート種目にはエントリーしていないオランダ男子チーム。一方でその他の個人種目やマディソンで強さを発揮している。
『2022世界選手権トラック』ではヨエリ・ハビックがポイントレースで優勝。2023年のネーションズカップでも、第2戦エリミネーション、第3戦マディソンの2種目でメダルを獲得してきた。
その他ヤン ウィレム・ファンシップやヴィンセント・ホペザックなど、個人種目でもメダル争いに絡む実力を持つ選手を擁するオランダ。
「このペアが最強!」という不動のペアではなく、それぞれのペアで様々な大会の表彰台を獲得していることから、個々人の安定した強さが窺える。
そしてもう1人、『2023世界選手権トラック』で要注目の選手がマティエス・ブフリ。東京2020オリンピックでチームスプリントの優勝メンバーに輝いた後、ロード選手へと転向し、2022年後半ごろからトラック中長距離選手へとさらに変貌を遂げた選手だ。
短期登録選手として日本の競輪にも出走経験のあるマティエス・ブフリだが、2023年では『ネーションズカップ第3戦』のエリミネーションで優勝を飾り、すっかり中長距の有力選手となっている。元世界No.1のスプリンターが、世界の中長距離でどんな走りを見せてくれるのか必見だ。
ベルギー
注目選手
選手名 | 出場予定種目 |
ファビオ・ファンデンボッシェ | ポイントレース, オムニアム |
リンジー・ド ヴィルダー | マディソン |
ジュールス・ヘスタース | エリミネーション |
昨年大会でメダルを獲得したのは、ベルギー選手はファビオ・ファンデンボッシェとリンジー・ド ヴィルダー。2人はマディソンで銅メダル、ファンデンボッシェはポイントレースでも銅メダルを獲得した。
その他『2023ネーションズカップ第1戦』のエリミネーションにて、橋本英也との一騎打ちを繰り広げたジュールス・ヘスタースも有力株の1人。
デンマーク
注目選手
選手名 | 出場予定種目 |
トビアス・ハンセン | エリミネーション |
ニクラス・ラースン | オムニアム, チームパシュート |
チームパシュートの強豪国であるデンマーク。2020年には世界チャンピオンに輝き、東京2020オリンピックの決勝ではイタリアとの接戦を繰り広げた(結果は銀メダル)。
2021年・2022年の世界選手権ではそれぞれ4位・3位に終わっていたデンマークだが、2023年シーズンのネーションズカップでは第1戦・2戦を見事連覇。
『2023世界選手権トラック』で世界No.1への返り咲きを狙う。
個人では『2023ネーションズカップ第1戦』のオムニアムで優勝を飾っているトビアス・ハンセンらが注目どころ。
ディラン・ビビック(カナダ)
出場予定種目:スクラッチ, エリミネーション, オムニアム, マディソン, チームパシュート
『2022世界選手権トラック』では当時19歳ながらも、スクラッチで窪木一茂らを下しアルカンシェルを獲得したディラン・ビビック。
2023年のパン・アメリカ大陸選手権では、出場した全5種目で優勝。弱冠20歳で迎える『2023世界選手権トラック』ではどんな走りを見せてくれるのか要注目だ。
その他の注目選手
選手名 | 国 | 主な成績 | 出場予定種目 |
アーロン・ゲイト | ニュージーランド | 2022世界選手権トラック・オムニアム3位 2023ネーションズカップ第1戦・マディソン3位 2023ネーションズカップ第1戦・チームパシュート2位 |
ポイントレース マディソン チームパシュート |
キャンベル・スチュワート | ニュージーランド | 2023ネーションズカップ第1戦・オムニアム2位 2023ネーションズカップ第1戦・マディソン3位 2023ネーションズカップ第1戦・チームパシュート2位 |
オムニアム マディソン チームパシュート |
ロジャー・クルーゲ | ドイツ | 2022世界選手権トラック・ポイントレース2位 2023ネーションズカップ第1戦・マディソン優勝 2023ネーションズカップ第2戦・マディソン優勝 2023ネーションズカップ第2戦・オムニアム3位 |
オムニアム ポイントレース マディソン |
テオ・レインハート | ドイツ | 2023ネーションズカップ第1戦・マディソン優勝 2023ネーションズカップ第2戦・マディソン優勝 2023ネーションズカップ第2戦・チームパシュート3位 |
マディソン チームパシュート |
イボ・オリベイラ | ポルトガル | 2022世界選手権トラック・個人パシュート3位 2023ネーションズカップ第3戦・マディソン優勝 |
マディソン |