2025年8月14日、トルコ・コンヤのベロドロームにて200mFTT(助走ありの200mタイムトライアル)世界記録更新に挑戦したマシュー・リチャードソンが、「8秒941」というタイムを記録。
ついに9秒台の壁を破り、新たな世界新記録を樹立した。
The fastest man on two wheels ⚡️
Matt Richardson breaks the men elite 200m flying start world record, and is the first EVER to go sub-nine seconds 👑@UCI_Track | @Shell_UKLtd pic.twitter.com/zplOgeu0Jf
— British Cycling (@BritishCycling) August 14, 2025
マシュー・リチャードソンとは?

オーストラリア代表選手として、パリオリンピック自転車トラック競技短距離種目で3つのメダルを獲得したトップ選手であるマシュー・リチャードソン。オリンピック後は、母国であるイギリスチームに移籍。2025ネーションズカップではチームスプリント、スプリントで金メダルを獲得するなど、活躍を続けるマシュー・リチャードソン。
2度、手をすり抜けた世界最速の座
パリオリンピックのスプリント予選200mFTTでは、マシュー・リチャードソンは当時の世界記録である「9秒091」を記録。しかし、直後に登場したハリー・ラブレイセン(オランダ)がさらにそれを塗り替える「9秒088」を叩き出し、幻に終わった世界最速の称号。
さらに、リチャードソンは2025ネーションズカップにて「9秒041」というタイムを出していたが、UCIの調査により「最後の数メートルがコース外(ブルーラインの下)で走行されていたため、タイムは無効」と判断が下っていた。
まだ更新の余地はある
2025ネーションズカップと同じく、高度1,200mにあるトルコのコンヤベロドロームで行われたこの挑戦。
新しいシートポスト、ハンドルバー、クランクを装備し、新しいスキンスーツも着用、カスタムペイントされたバイクを駆り、人類史上初の8秒台の世界へと足を踏み入れたマシュー・リチャードソンは、「自分を史上最速の自転車競技者と呼べるのは素晴らしいことだ」と語りつつ、あわせて「まるで乗客だった。バイクに少し方向を与えただけで、ほとんど自動で走っていた」「スプリントレーン外を走った部分もあるので、まだ記録を更新できる余地はある」と、さらなる記録更新を予感されるコメントを残している。
挑戦の模様は、「British Cycling」の公式YouTubeにて公開中。
世界最速の衝撃を、ぜひご覧いただきたい。
2選手によるアワーレコードへの挑戦も
なお、この日のイベントでは、パリオリンピックでイギリスをチームパシュート銀メダル獲得に導いたチャーリー・タンフィールドと、パラサイクリストのウィリアム・ビャーグフェルトによるアワーレコードへの挑戦も行われた。
タンフィールドは世界記録更新とはならなかったが、ビャーグフェルトは51.471kmを走破し、男子C5の世界記録を更新している。