2025年7月15日に公開された「2026年度の競輪開催における新規施策」にて、外国人選手招聘レースが再開されることが明らかとなった。この制度は2019年を最後に実施が途切れており、近年競輪ファンになった方の中にはどのような制度なのか知らない方もいるだろう。
本記事では、外国人選手招聘レースの概要や、過去にこの制度を使って出場した外国人選手をご紹介する。
新名称は「競輪ワールドシリーズ」
外国人選手招聘レースは1982年に「国際競輪」の名称でスタートした。2009年からは「短期登録制度」として行われていたが、新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、2019年を最後に実施が中断されていた。
そして来る2026年、新名称「競輪ワールドシリーズ」として外国人選手招聘レースが復活。実に7年ぶりに、海外の超トップ選手の走りを日本の競輪で見ることができる。
いつ、どのグレードのレースに出るの?
「競輪ワールドシリーズ」は、2026年6月から8月にかけて10節が実施される予定。男子は「G3またはF1」、女子は「F1」に出場する。
2026年8月6日(木)〜9日(日)には和歌山競輪場にて「ワールドサイクリスト支援競輪」が開催。この開催内で女子選手の単発レースが行われる予定だ。
過去に参加した選手たち
「招聘(しょうへい)」とは、地位や学識などが優れた人を「敬意を持って、丁寧にお招きする」というニュアンスを持つ言葉。
その言葉の通り、これまでこの制度では「自転車トラック競技世界トップレベル」の名だたる選手たちが日本の競輪に出走してきた。
直近3年(2017〜2019年)に参加した選手は以下の通り。
2017年
テオ・ボス
デニス・ドミトリエフ
サム・ウェブスター
シェーン・パーキンス
トマシュ・バベク
マティエス・ブフリ
テオ・ボス
アナスタシア・ボイノワ
ロリーヌ・ファンリーセン
ナターシャ・ハンセン
ステファニー・モートン
「日本で稼がないとお金が無い状態……かな(笑)オランダでの収入はゼロだよ。だから日本の競輪に毎年招待されるよう、国際大会で良い結果を残さないといけないんだ。これ本当」
ということも語られた。
世界トップレベルの選手であっても、「選手一本で食っていくのは厳しい」ということはままある。そのためこの制度は「短期間でたくさんお金を稼げてありがたい」という立ち位置にあるそうだ。
2018年
マシュー・グレッツァー
ジョセフ・トルーマン
マティエス・ブフリ
テオ・ボス
トマシュ・バベク
サム・ウェブスター
ステファニー・モートン
ロリーヌ・ファンリーセン
ナターシャ・ハンセン
マチルド・グロ
ニッキー・デグレンデル
2019年
シェーン・パーキンス&シュテファン・ボティシャー
テオ・ボス
ジョセフ・トルーマン
マシュー・グレーツァー
マティエス・ブフリ
シェーン・パーキンス
シュテファン・ボティシャー
デニス・ドミトリエフ
ロリーヌ・ファンリーセン
ナターシャ・ハンセン
マチルド・グロ
マダリン・ゴドビー
2019年は東京2020オリンピック(新型コロナの影響で2021年に延期)の直前期であり、選手たちは「日本の環境を体験する」という意識を持って挑んでいる側面もあった。
2017年以前の参加選手
リー・ワイジー(李慧詩)
これより以前の開催に目を向けると、11回世界チャンピオンになったクリスティーナ・フォーゲル、フォーゲルの次代として女子短距離の覇権を握ったリー・ワイジー(李慧詩)、ナイトの爵位(Sir)を持つイギリストラック競技界の英雄クリス・ホイ、そして日本ナショナルチームの現コーチであるジェイソン・ニブレットも、日本の競輪を走ったレジェンド選手だ。
これらの選手については、下記の記事で詳しく紹介している。
▶︎「短期登録制度」「国際競輪」とは?かつて日本の競輪で走った、トラック競技のレジェンドたち
2026年参加選手は決定次第発表
2026年「競輪ワールドシリーズ」の来日予定選手は、決定次第発表される。なお「男女それぞれ3名ずつ招聘」と発表されているため、これまでより人数は少なくなる想定だ。
7年ぶりの実施となる外国人選手招聘レース。2019年からすでに2回のオリンピックを経ており、選手としての第一線を退いた選手も多い。
懐かしいあの選手をもう一度……という想いはもしかしたら叶わないかもしれないが、自転車トラック競技の「今」をときめく選手がやってくることには違いない。2028年のロサンゼルスオリンピックに向けた予習も兼ねて、ぜひ選手たちの走りを楽しみにしてほしい。