日本の競輪の方がボス選手に合ってるような話ぶりですね。
本当だよね。ロードレースをやってた背景があるからだと思うけど、大人数で外を走るっていうのは得意なんだよ。
他の外国人の選手たちは、みんな日本の競輪は難しいと言うけれど、全然違う考え方ですね。
そうだね。僕には長い距離のスプリントと、ディスクホイールを着けないのが合っていると思うよ。
でも、さすがに最初の年は苦労しませんでしたか?
そりゃ苦労したよ。最初に日本の競輪を観た時「変な色のジャージ着てるな」とか「でっかいヘルメット被ってるな」とか、頭の中が不思議モードになったし。
でも新しい環境で、競輪の文化が素晴らしいってすぐに思えたよ。特に日本の競輪選手の生活を聞いたり、彼らのトレーニングを見たり、面白いことが日本にはたくさんあるからね。
オランダでの収入はゼロ!?プロチームを立ち上げビジネス化を図る
どういう風に自転車競技のプロとして生活を成り立たせていますか?
日本で稼がないとお金が無い状態・・・・かな(笑)今はここでの稼ぎが全てだよ。だからコンディション調整は特に頑張ってやってるね。勝たないと!
オランダでは強化費とか、もらえないんですか?
オランダでの収入はゼロだよ。だから日本の競輪に毎年招待されるよう、国際大会で良い結果を残さないといけないんだ。これ本当。
ただ、この間トラックのプロチームを作ったんだ。これにうまくスポンサーが付いて、ロードレースみたいにたくさんの収入が得られるよう頑張りたいと思ってる。
僕はチームのアンバサダーだから、時間を割いていろいろ工面しているところ。たぶん今年のワールドカップにはトレードチーム(ナショナルチーム以外にUCI:国際自転車連合の承認が得られればワールドカップに出場できる)として参加できるんじゃないかな。
ただ、トラック競技の難しいところは、露出が少ないところ。今年はスポンサーにアピールできる機会が、5回のワールドカップしかないし、開催場所も様々(1戦目はポーランド、続いてイギリス、カナダ、チリ、ベラルーシの5回)だから、オランダから遠いと国内で放送されない。折角チームを作って大会に出ても、自分の着てるジャージがなかなか露出されないんだよね。
もう少し大会数が多ければ良いんだけど・・・・・・まあ世界選手権はオランダのアペルドールンなんだけど・・・・・
ロードレースはいつもどこかで行われているから、同じような心配は無いよね。スポンサーが投資した分が放送で返ってくるというか。十分に露出する機会があるからね。
兄と同じチームでアテネオリンピックに出場
家族構成を教えてもらえますか?
僕はオランダの小さな田舎町で生まれ、兄弟は3人。僕は末っ子なんだ。上の兄たちも同じように自転車に乗っていて、スピードスケートもやってるよ。小さい頃から兄たちの背中を見て育ったからスポーツ大好きっ子だったね。ヤン・ボスって知ってる?8歳上の兄なんだけど、長野オリンピックの男子スピードスケート1,000mで銀メダルを獲ったんだ。
そんな環境で育ったから、何かしらのアスリートになることは決まっていたようなものだね。環境が良かったから、自転車で早くから芽を出すことが出来たんだと思うよ。
実は、アテネ五輪のチームスプリントには、僕とヤンがオランダ代表チームとして一緒に出たんだ!ヤンは夏も冬も両方のオリンピックに出てるし、兄弟で五輪に出てるっていうことも凄いよね。(この大会の1回戦で長塚智広、伏見俊昭、井上昌己の日本代表チームと対戦し、日本が勝利)
すごい一家ですね。
でしょ(笑)両親にスプリンター向けの遺伝子がたくさん詰まってたんでしょう。
じゃあ両親も何かのスポーツ選手とか?
いや、親はどっちもスポーツやってなかったから・・・・・まあ奇跡だね(笑)
話が変わるけど、兄の影響で僕はスピードスケートも大好きなんだ。今、日本はとても良い結果を残してるよね。2018年の平昌オリンピックでは期待できるんじゃないかな?