2025年8月22日より、静岡県・伊豆ベロドロームで幕を開けた『2025全日本選手権トラック』。
大会2日目の23日、短距離種目の花形とも呼ばれる男子スプリント、世界トップの実力を誇るナショナルチームのメンバーを中心に結果をお伝えする。
スプリントとは?
トラック3周、1対1で先着を争う種目。
予選は、助走をつけてスタートする200mフライングタイムトライアル。その後の本戦は1対1の対決となり、トーナメント方式で勝者が決まる。
今大会には太田海也、中野慎詞(ともにチーム楽天Kドリームス)らナショナルチームメンバーをはじめ全24人がエントリー。中長距離を舞台としている橋本英也もエントリーするなど、国際大会とは異なる面子となった。
予選上位16人が対戦ラウンドへと進み、1回戦(1本勝負)→準々決勝から2本先取というルールで行われた。
予選 太田が大会新を記録 ルーキー三神も好タイム
上位16人が対戦ラウンドへと進出する予選。
三神遼矢(JPCA)が9秒691というタイムで暫定トップに立ち、最後から2番目に登場したのは太田。
9秒498というタイムで駆け抜け、2024年大会で小原佑太が記録した大会記録を塗り替える快走を披露。
最終走者として出走した中野は9秒669。太田には及ばなかったが2位で予選を通過した。
予選上位9人は以下のとおり。
太田海也 | 9.498 ※大会新 |
中野慎詞 | 9.669 |
三神遼矢 | 9.691 |
中石湊 | 9.783 |
高橋奏多 | 9.807 |
尾野翔一 | 9.818 |
山﨑賢人 | 9.834 |
吉川敬介 | 9.891 |
長迫吉拓 | 9.993 |
中長距離種目を主戦場とする橋本英也(JPCA)の出場も注目を集めたが、予選タイムは10秒667(19位)。対戦ラウンド進出を逃す結果となった。
橋本英也 コメント
「中長距離種目のことを考えても、日本の競輪のことを考えても、スピードを伸ばす必要があると思ってエントリーしました。密かにサトミナ(佐藤水菜)のタイムとの勝負と思っていたのですが、負けてしまった(佐藤はこの日10秒449を記録)のですごく悔しいですね……」
1回戦、対戦ラウンドでは予選上位で通過した選手が順調に勝ち上がりを決めていく。
“チームスプリント1走のスペシャリスト”である長迫吉拓(チームブリヂストンサイクリング)は、1回戦で吉川敬介(JIK)に敗れ姿を消すこととなった。
しかし事前にインタビューした際に目指していた「9秒台」を見事にマークし、まだまだ進化していることを証明した。
長迫吉拓 コメント
「練習では200mFTTのタイムが出ておらず不安でしたが、スプリンターとして活動するうえで、1度は9秒台を出しておきたいと思っていました。ギリギリではありましたが、クリアできたことは良かったです。対戦ラウンドでは、予選の疲れが思った以上に残っていてキツかったです(笑)。
脇本雄太選手からは、「もっとやれたはず」と声をかけてもらいましたが……でも、すごく楽しむことができました」
決勝はアジア選決勝の再戦
決勝は、ともにここまで1本も落とさずに勝ち上がってきた太田海也と中野慎詞。予選1-2位の対戦にして、『2025アジア選手権』決勝の再現となる組み合わせとなった。
太田が前で始まった1本目。傾斜を利用してスピードを上げた中野が、太田を抑え込むような動きで前に出る。
中野がリードを広げて残り1周。外から太田が襲いかかり、ホームストレートで太田が中野をかわして1本目を先取する。
2本目。前を走る中野に太田が後ろからプレッシャーをかけていく展開。
じわじわとスピードが上がっていくなか、残り1周半で動いた太田。中野がスピードを上げて行き、太田から目を離した隙に内側を突き、一瞬で前へと飛び出していく。
一気に中野を突き放して加速していく太田。
そして中野は追走するこができずに勝負あり。
独走でフィニッシュラインを駆け抜け、太田海也が2本先取と金メダルを獲得した。
中石湊(チーム楽天Kドリームス)と三神遼矢(JPCA)の対戦となった3位決定戦は、ストレートで中石が勝利。
ナショナルBチーム同士の争いを制して、銅メダルを獲得した。
順位 | 所属 | 選手名 |
1位 | 太田海也 | チーム楽天Kドリームス |
2位 | 中野慎詞 | チーム楽天Kドリームス |
3位 | 中石湊 | チーム楽天Kドリームス |