2月7日にスタートした『ロードアジア選手権』から、2月27日に閉幕した『アジア選手権トラック』、そして3月16日まで行われていた『UCIネーションズカップ』、約1か月の間に3つの大会に出場した垣田真穂。

ロードではミックスリレー(銀)、U23個人タイムトライアル(銅)、U23個人ロードレース(金)で3つのメダルを獲得、トラックでもアジア選手権で3冠(ポイントレース、個人パシュート、チームパシュート)を達成するなど素晴らしい成績を残した。

垣田真穂, KAKITA Maho, 女子ポイントレース, WOMEN'S Points Race,2025アジア選手権トラック, 2025 ASIAN TRACK CYCLING CHAMPIONSHIPS, Nilai, Malaysia

そして、UCIネーションズカップへの出場を経て、イタリアのUCIコンチネンタルチーム「BePink-Bongioanni」のメンバーとしてレースに参加するために渡欧。

ハードなスケジュールをこなしながら、しっかりと結果を残し続ける垣田真穂。『アジア選手権トラック』直後に実施した、彼女の素顔が垣間見られるインタビューをお届けする。

最も印象に残っているレースは……

Q:ロード(タイ)から、トラック(マレーシア)へ。2つのアジア選手権を転戦し、6つのメダルを獲得しましたが、振り返ってみて一番印象に残っているレースはなんですか?

難しいですが……個人ロードレースです。
役割として、自分がスプリンターとしてゴールすると決まっていて、それまでに(池田)瑞紀をはじめほかの選手が動いてくれたので、絶対勝たなくちゃいけないというプレッシャーがありました。

 

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ゴールしてピットに戻った時、周りから「2位だね」と声をかけられたのですが、優勝することができて本当に嬉しかったです。

Q:ゴールした瞬間はわからなかったんですか?

エリートと一緒に走っていたので、もう最後はゴチャゴチャのカオスで。まったくわからなかったです(笑)。


※ゴールスプリントは3:05:00〜

Q:チームとしてのロードの戦いは、昨年ヨーロッパのレースで経験して以来ですか?

「EF・オートリー・キャノンデール」のレースでも走りましたが、登りで千切れてしまってついていくことができず、ほぼ戦力外状態だったので……。今回が初めてのようなものでした。

Q:ロード選手のカテゴリーでいうと、垣田選手はどんな立ち位置になるのでしょうか?

少なくともクライマーではないですね(笑)。高校時代のレースは集団スプリントで決まっていたので、スプリンターなのかもしれないです。

2位 垣田真穂 愛媛 松山学院, 個人パシュート, 令和3年度全国高等学校選抜自転車競技大会(大分県別府競輪場)

ロードでも活躍していた高校時代

Q:今後、ロードとトラックのいわば二刀流でやっていくことになります。

トラックで強くなるためにも、ロードを走る力が必要だと思っているので、ロードでのレースを増やしていきたいと思っています。トラックも楽しいので、良い効果が出ればと考えています。

Q:ロードもトラックも楽しくなってきた?

はい!両方楽しいです。

垣田真穂, KAKITA Maho, 女子個人パシュート, WOMEN'S Individual Pursuit, 2025アジア選手権トラック, 2025 ASIAN TRACK CYCLING CHAMPIONSHIPS, Nilai, Malaysia

タイで犬に追いかけられました

Q:ロードのナショナルチームに帯同してみて、いかがでしたか?

男子のエリート選手は、これまでほとんど関わることがありませんでした。最初がミックスリレーだったので、男子選手と一緒に練習していたのですが、みんな優しくて面白かったです。小林海選手も、見た目だけで少し怖いイメージがあったのですが、すごく面白い方でした。

あと、タイで最初に練習に行った時、野犬に追いかけられたのも印象的でした。

Q:そんなことがあったんですか(笑)?

道路に犬が横たわってて、轢かれて亡くなっちゃったのかな……と思って悲しい気分になっていたんです。
そしたら、その犬が急に起き上がってすごい勢いで追いかけてきたんです(笑)。

「ひーーー!」って。

マジ怖かったです(笑)
6人で走っていたのですが、私は後ろから2番目だったんですよ。最後尾は成田(光志)くんで。最後尾じゃなくてほんと良かったです(笑)。

成田光志, NARITA Koshi, 男子ジュニア エリミネーション, 2025アジア選手権トラック, 2025 ASIAN TRACK CYCLING CHAMPIONSHIPS, Nilai, Malaysia

成田光志

Q:成田選手は平気だったんでしょうか?

追いかけられてる最中は自分が逃げるのに必死で構っていられませんでしたが、皆で無事に逃げ切ることができました。

Q:そういう時って、みんなでスプリント合戦になったりしないのでしょうか?

ロードの選手たちは慣れてるのか、平気そうでしたね。前を走っていたら、そんなに気にならないのかもしれないです。でも、追いかけられると思わないじゃないですか!
しかも、ぐたっと道路に倒れ込んでいる犬に。

Q:それが個人ロードレースの最終スプリントにつながった、そういうオチですよね?

そうかもしれないです(笑)。

垣田真穂, KAKITA Maho, 女子個人パシュート, WOMEN'S Individual Pursuit, 2025アジア選手権トラック, 2025 ASIAN TRACK CYCLING CHAMPIONSHIPS, Nilai, Malaysia

寿司は玉子 そして大人になりました

Q:タイでのレースを終えてから、そのままマレーシアへの移動となりましたが、日本に帰りたいと思う瞬間はなかったですか?

マレーシアに移動する時は思いましたね。日本に帰る選手もたくさんいたし、日本のご飯食べたいなぁって。

 女子マディソン, WOMEN'S Madison,2025トラックネーションズカップ トルコ・コンヤ, 2024 UCI TRACK NATIONS CUP Konya, TUR,

Q:帰ったらなにを食べたいですか?

お寿司です。沼津にあるお寿司屋さんの玉子が好きなんです。玉子の間にシャリが入っていて、すごく美味しいんですよ。

Q:お寿司が食べたいのに、ファーストチョイスが玉子なんですね……。

たしかに(笑)!

Q:魚介類ではなんのネタがお好きですか?

種類があまりわかんないんですよね……あの、真ん中に切れ込みが入ってる……たぶんアジ?

Q:たぶんアジですね。

これまではエビとかばっかり攻めていたのですが、そのお寿司屋さんに行ってからはいろいろ食べられるようになりました。
小さい頃は光り物とかダメだったけど……大人になりましたね。

小林海選手の謎

垣田真穂

2023年1月、ナショナルチーム入り直後の撮影(当時18歳)

Q:まだ20歳になりたてですが、大人になりましたか(笑)。

タイにいる時も、ほかの選手から「23歳くらいかと思ってた」ってすごい言われました。ついこの間まで10代だったのに急にそんな話が増えて。大人になったんだなぁと思いますよ。
でも、小林海さんだけは、「年齢は肘から下の肌でわかる」と言っていて実際に「20歳」と当てられました。

Q:小林選手、すごいですね。

でも、その時私はアームカバーをしていたので、めちゃくちゃ謎です(笑)

Q:あはは(笑)。ちなみに、トラックチームで謎な人は誰になりますか?

(太田)海也さんか、窪木(一茂)さんですね。窪木さんは、言ってることの半分くらいがウソだと思うんですよ。「ほんとほんと」って本人は言っていますが、その言い方も怪しくて(笑)。なにがホントでなにがウソなのか、まったくわからないです。

窪木一茂, 2025年1月沖縄合宿

窪木一茂

強烈なドリアン体験

Q:女子だと、やはり池田選手ですか?

そう言うと(池田)瑞紀は怒りますけどね。お互いに、お互いが最も謎な人と思ってるんです。他の皆さんに聞いたら、「ジャンルが違う」と言われましたけど。瑞紀のほうがおかしいですよね?

池田瑞紀, 垣田真穂, PayPayドーム 始球式, 福岡トランス九州みらいデー

Q:たしかにジャンルが違うかもしれないです。ただ、垣田選手がドリアンチョコを食べた時の様子は最高でした。あれは別の金メダルでした。

嬉しくないです(笑)。動画を撮られているので頑張って食べようと思っていたのですが……無理でした。帰りのバスでもずっと口の中に味が残ってて、その後にマンゴーを食べたんですが、ちょっとドリアンの味がしました(笑)。ちょっとしたトラウマですよ。

※ドリアンチャレンジの模様は、後日別記事にてお伝えします

待ち受ける、イタリア生活

Q:この後は、ネーションズカップでトルコへと向かい、それが終わったらしばらくはイタリアでの生活が始まります。

ずっと楽しみにしていましたが、やっぱりちょっと不安があります。言葉が喋れないから、コミュニケーションがうまく取れずに、相手から避けられたりしないかなって。でも、なんとか頑張りたいです。

垣田真穂, KAKITA Maho, 池田瑞紀, IKEDA Mizuki, 女子個人パシュート, WOMEN'S Individual Pursuit, 2025アジア選手権トラック, 2025 ASIAN TRACK CYCLING CHAMPIONSHIPS, Nilai, Malaysia

Q:語学の勉強はしていない?

追い込まれないとできないタイプなんですよ。1人で現地に行って、やらないといけない環境になればやると思うので、丁度良いかなと思います。

Q:ホームシックとかは平気そうですか?

ちょっと心配ですが、海外で本当に1人で生活するというのは貴重な経験なので楽しみです。
現地で1人で生活できるようになったら、競技にも良い影響があるんじゃないかと思っています。精神的にも成長できるんじゃないかなって。

Q:「垣田真穂のイタリア通信」のようなコラムを書いていただきたいです。

おもしろそうですね!ぜひやりたいです!
いまいちばん楽しみなのは、本場のピザを食べることなんですよ。
今はサイゼリアのピザが大好きなんですが、本場で食べたらどうなっちゃうんだろうって。
周りからは「太らないようにね」って言われています。

MAKE it HAPPEN 2024, 垣田真穂

Q:ロードでの経験も経て、ご自身が描く“最終形態の垣田真穂像”は見えてきましたか?

4年って長いようで短いので、ヨーロッパのレースをたくさん経験して、そのほかにもいろんなことに挑戦して、強くなりたいですね。
高校生の時からロサンゼルスオリンピック(2028年)を目指してやってきたので、絶対にメダルを取りたいです。

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