2021年に新設されたトラック競技の新国際レース『トラックチャンピオンズリーグ』。世界選手権が終了し、シーズンがひと段落したところで行われる、招待制で選ばれたスターたちによる「ボーナスステージ」のようなレースだ。

大会はヨーロッパを転戦する5ラウンドで実施。各ラウンドでの順位をポイントとして積み重ねていき、最後に「最終順位」が決まる。一発勝負ではなく継続した強さが必要となる。

2023シーズンをもって、本大会の3シーズン目が終わった。この記事では歴代のチャンピオンと、日本選手の最高順位を確認しよう。

歴代チャンピオン

2022シーズンチャンピオン

短距離 中長距離
男子 女子 男子 女子
2021 ハリー・ラブレイセン(オランダ) エマ・ヒンツェ(ドイツ) ゲイビン・フーバー(アメリカ) ケイティ・アーチボルド(イギリス)
2022 マシュー・リチャードソン(オーストラリア) マチルド・グロ(フランス) クラウディオ・イムホフ(スイス) ジェニファー・バレンテ(アメリカ)
2023 ハリー・ラブレイセン(オランダ) エルレス・アンドリュース(ニュージーランド) ディラン・ビビック(カナダ) ケイティ・アーチボルド(イギリス)

世界選手権の舞台でもトップを争い続けているハリー・ラブレイセンとマシュー・リチャードソンの戦いは、チャンピオンズリーグ男子短距離部門でも繰り広げられている。2023年は昨年チャンピオンの座を明け渡したラブレイセンが再びチャンピオンに返り咲く結果となった。

女子中長距離部門でも圧倒のベテラン、ケイティ・アーチボルドが強さを見せ、2023年のチャンピオンに返り咲いた。特にチャンピオンズリーグでは最終ラウンドをイギリスで実施することが多く、イギリスのアーチボルドにとってもいいところを見せたいところだろう。

日本選手の成績

チャンピオンズリーグが開催されるのは例年秋〜冬。日本の選手は競輪選手を兼任している選手が多いため、競輪祭やKEIRINグランプリと重なるこの季節、参加するには「どちらを取る?」という選択を迫られがちだ。

日本からの参加選手 最高成績
2021 山﨑賢人
太田りゆ
佐藤水菜
窪木一茂
梶原悠未
梶原:最終5位
2022 中野慎詞
内野艶和
中野:最終11位
2023 橋本英也 橋本:最終6位

そのような状況下でも、継続して日本からの選手が出場を続けている本大会。3年目となる2023シーズンでは、第1・第2ラウンドで橋本英也が暫定チャンピオンのブルージャージを獲得し、日本のファンを盛り上げた。

「週末のパーティ」な国際大会

短距離種目はスプリントとケイリン、中長距離種目はエリミネーションとスクラッチと、合計4種目だけを実施。従来の国際大会と比べると種目数が非常に少ないが、このようなプログラムにすることでエンタメ性を高め、スポーツ観戦者にトラック競技への関心を持たせることを狙いとしている。

そして出場するのは世界チャンピオンやオリンピックメダリスト、世界ランキング上位選手といった『スター選手』。2023大会は各ラウンドが土曜に調整されて、またライティングなども非常に工夫されており、「週末のパーティ」のような雰囲気を醸し出している。

トラック競技初心者が軽い気持ちで見るのにちょうど良い大会とも言えるだろう。

橋本英也が暫定トップとしてブルージャージを獲得し「夢」を見せてくれた2023大会。来年以降の本大会でお、日本選手の活躍を、そしてトラック競技そのものの面白さを楽しみに、ぜひ観戦していただきたい。

選ばれたスターのみが出場『UCIトラックチャンピオンズリーグ』とは?