10月21日から開幕した2023年の「UCIトラックチャンピオンズリーグ」。ここまで4戦を戦い抜いてきた選手たちの成績を決める最終戦、第5戦が11月11日にロンドンで開催された。
第4戦を終えての各カテゴリーの総合トップは以下の通りとなっている:
男子短距離:ハリー・ラブレイセン(オランダ)
男子中長距離:ディラン・ビビック(カナダ)
女子短距離:エルレス・アンドリュース(ニュージーランド)
女子中長距離:ケイティ・アーチボルド(イギリス)
日本から出場している橋本英也は男子中長距離でトップと30ポイント差の4位で最終戦を迎えた。
男子中長距離トップはディラン・ビビック(カナダ:116ポイント)、2位はウィリアム・ティドボール(イギリス:100ポイント)、3位ジュールス・ヘスタース(ベルギー:93ポイント)、そして4位が橋本(86ポイント)。
スクラッチ:逃げる開催国の強豪、本命はメイン集団での勝負
スクラッチ、20周のレースは残り10周を切ってマーク・スチュワート(イギリス)を中心とした総合5、6、7位の選手たちが飛び出すと、メイン集団がその逃げを追わずに逃げ集団で1着争いが行われる。大歓声の中、逃げ集団内でのデッドヒートを制したのはスチュワートで、自国開催の種目を大いに盛り上げることになった。
一方、総合上位争いは後方のメイン集団。前日の第4戦同様に、残り2周でメイン集団の先頭に立ったのは橋本。内側で粘りを見せるが、最終周回に入って、外から4人が橋本を捲っていく結果となった。その中には総合トップのディラン・ビビック(カナダ)の姿もあり、ビビックが上位争いで更に他の選手に差を付ける6着。橋本は9着。
この結果、橋本はビビックとの差が33ポイントとなり、残りの種目で獲得できる最高ポイントは20のため、橋本の総合優勝の可能性は無くなった。更にビビックは総合2位のウィリアム・ティドボール(イギリス)との差を20ポイントとしたため、次のエリミネーションで14位以内に入り、1ポイントでも獲得すれば総合優勝を決める状況で最終種目へ進む。
エリミネーション 再びのまさか……
レースは序盤に1人が除外されると、2回目の除外周回を前にクラッシュが発生。前年の総合優勝者、セバスチャン・モラが落車してレースは一時中断となる。
モラが立ち上がり、レースが再開されるとスピードを上げていく集団。大きな塊となってフィニッシュラインに飛び込んでいく選手たちだが、集団の最後尾となってしまったのは、なんと橋本だった。橋本は残り16人というところで除外され、この種目での獲得ポイントは「0」。最終成績は他の選手のポイント獲得状況次第となる。
そして1ポイントでも獲得すれば総合優勝が決まるビビックは、残り11人の時点で除外され5ポイントを獲得。この種目が終わる前に自身初となる総合優勝を確定させた。
会場を最後まで盛り上げたのはベルギーの2人。ツール・デンスとジュールス・ヘスタースが最後の一騎打ちに残り、デンスが見事な捲りを見せて1着。シリーズ5戦を通して初の1着を獲得して有終の美を飾った。
優勝はビビック、橋本は2つ順位を落として総合6位
男子中長距離の総合争い、最終結果は以下の通り。
優勝:ディラン・ビビック(カナダ:131ポイント)
2位:ウィリアム・ティドボール(イギリス:117ポイント)
3位:ジュールス・ヘスタース(ベルギー:113ポイント)
4位:マーク・スチュワート(イギリス:104ポイント
5位:フィリップ・ハイネン(オランダ:100ポイント)
6位:橋本英也(日本:93ポイント)
ラブレイセンvsリチャードソン 総合優勝はラブレイセン
男子短距離の総合優勝を決めたのは絶対王者のラブレイセン。スプリントの決勝では、もはやお馴染みの顔合わせとなったラブレイセンとリチャードソンの対戦。
この勝負はラブレイセンの一瞬の隙を突いてリチャードソンが勝利を得る。ケイリンでは、残り2周を切って先頭に出たリチャードソンを追うラブレイセンの展開。最後まで世界トップレベル争いを繰り広げる2人の勝負は、ラブレイセンが僅差での勝利。シリーズ5戦で10回中7回の各種目での優勝を果たしたラブレイセンが総合優勝を遂げた。
ラブレイセンはチャンピオンズリーグが初開催された2021年から3シーズンで3回目の総合優勝となった。
2年ぶり2回目のアーチボルドの総合優勝
ケイティ・アーチボルド(イギリス)が最終戦を前に12ポイント差でアニータ・ステンバーグ(ノルウェー)から逃げ切れるかどうかとなった女子中長距離。スクラッチではステンバーグより先着したアーチボルドが総合争いで更に優位に立ち、最後のエリミネーションではステンバーグが2位、アーチボルドが3位となった。しかし総合争いではアーチボルドが逆転を許さず。満員の観客からの拍手喝采を受けてアーチボルドが2年ぶりとなる2回目の総合優勝を遂げた。
無敵のアンドリュースが初戴冠
女子短距離はエルレス・アンドリュース(ニュージーランド)とアレッサ カトリオナ・プロップスター(ドイツ)がトップを争い、ポイント差は最終戦を前に”7”と僅差の戦いとなっていた。
しかしスプリントでは決勝まで勝ち上がれなかったプロップスター。一方アンドリュースがスプリントを制して、その差を12ポイントまで広げる。女子ケイリンでは残り2周半から信じられない持久力を見せたアンドリュースが1位となり、最後には総合ポイント差を19まで広げて、チャンピオンズリーグ女子短距離の初戴冠を成した。