UCIトラックチャンピオンズリーグ最終戦となった第5戦、ロンドンで新チャンピオンが誕生した。男子短距離はシーソーゲームを制したマシュー・リチャードソン。そして男子中長距離はクラウディオ・イムホフ(スイス)。ロンドンが熱狂したレースの模様をお伝えする。

トラック競技のエンタメ化を推進するために実施されているUCIトラックチャンピオンズリーグ。これまで4戦を戦い抜いてきたが、12月4日にはグランドフィナーレとなる最終戦がロンドンで実施された。

短距離、中長距離、男女に分けられて全4カテゴリーで行われる大会には、各カテゴリーに18人、全カテゴリーで72人の精鋭が集結。各レースの順位によって得ることが出来るポイントの合計で総合順位を競う。

男子短距離(スプリント/ケイリン)はここまでマシュー・リチャードソン(146ポイント/オーストラリア)が第4戦で暫定トップに立ち、2位はハリー・ラブレイセン(144ポイント/オランダ)、3位にシュテファン・ボティシャー(108ポイント/ドイツ)、そして日本から参戦の中野慎詞は12位(38ポイント)で最終戦の舞台へ立つ。レースはトップ争いを行っている2人の結末に注目が集まった。

スプリント 勝ち越したのはラブレイセン

最終日はスプリントからケイリンを実施するスケジュール。

スプリントの決勝は当然かのようにマシュー・リチャードソンとハリー・ラブレイセンとの戦いとなった。

前にラブレイセン、後ろにリチャードソンとなり、レースは前のラブレイセンが加速しながら、前方でレースを作っていく。残り1周半となっても変わらない両者の位置取り。前で徐々にペースを上げていくラブレイセンは細かくトラック上で上下に動き、リチャードソンの仕掛けるタイミングを作らせずに最終周回へ。

両者がスプリント体制に入り、最終周回でラブレイセンが加速していくと、リチャードソンは並びかけることが出来ずに最終ストレートへと入っていく。

最後にリチャードソンが驚異のスピードで並びかけるが、僅かにラブレイセンに届かず。ラブレイセンが先着する結果となった。

この結果、トラックチャンピオンズリーグの両者による対決の成績はラブレイセンが勝ち越しの3勝2敗。そして総合ポイントが逆転し、ラブレイセンが1ポイント差で総合トップとなり、最後のケイリンでの勝負を待つことになった。

中野慎詞は先行できず 2強は決勝へ

5戦に続く長い戦いの決着は男子ケイリンとなった。

まずは1回戦を突破するラブレイセンとリチャードソン。1回戦ではラブレイセンと日本の中野慎詞が同組となった。

ペーサーが退避すると中野が先頭、ハーミッシュ・タンブル(イギリス)、ラブレイセン、トム・デラシェ(フランス)の並びとなる。

残り2周を切ると、タンブルが動いて中野の前へ。同時にラブレイセンとデラシェも動き出して位置を上げていくと、最終周回ではラブレイセン、デラシェ、タンブルの順となる。

やや内側に包みこまれていた中野は、外に出ることが出来ずに5番目あたりまで位置を落としていってしまう。

先頭でスピードを落とさないラブレイセンが逃げ切ってフィニッシュすると、続いたのはデラシェ。中野は最後に外から位置を上げたものの、このレースを4着で終えた。

1回戦結果PDF

逆転に次ぐ逆転 王座はリチャードソンへ

男子短距離のシリーズ最終レースとなった決勝。

メンバーと並びは以下の通りとなった(上から前)。

ジェフリー・ホーフラント(オランダ)

シュテファン・ボティシャー(ドイツ)

ラブレイセン

リチャードソン

アジズルハスニ・アワン(マレーシア)

デラシェ

残り2周に入る前にラブレイセンが動き出すと、その後ろにいたリチャードソンも位置を上げていく。

最終周回ではラブレイセン、リチャードソン、そしてボティシャーとなり、暫定順位トップ3が最後の勝負へ。

先頭で加速していくラブレイセンが速すぎるためか、一列棒状となる選手たち。しかし最終ストレートでリチャードソンが一気に加速していくと、両者がほぼ同時にフィニッシュ。

僅差のレースは最後に追い上げたリチャードソンが先着となり、男子短距離最終種目で総合トップの座を奪い返すことに成功。観客を大いに盛り上げたリチャードソンは、逆転に次ぐ逆転劇を見せ、2021シーズンの王者を倒して総合優勝を決めた。

決勝結果PDF

男子短距離のシリーズ5戦の結果は

優勝:マシュー・リチャードソン
2位:ハリー・ラブレイセン
3位:シュテファン・ボティシャー
11位:中野慎詞

結果としてトップ3の順位に変更は無かった。中野は1つ順位を上げての11位で、初参戦のUCIトラックチャンピオンズリーグを終えた。

シリーズ最終結果PDF

ブフリの見せ場 開催国の強さ

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