2023年3月14日から『UCIトラックネーションズカップ第2戦』がエジプトで実施される。先だって2月に実施された第1戦のインドネシア・ジャカルタ大会では男子チームスプリントで4年ぶりに日本記録を更新。そして惜しくも表彰台は逃したが、4位という結果を残した。

日本代表の結果やタイムはどうだったのか、そして第1戦からパリ2024に向けた男子チームスプリントの勢力図を改めて読み解いていく。

遂に更新 金メダルメンバーたちの記録

雨谷一樹、新田祐大、深谷知広。競輪ファンならば誰もが聞いたことがある3人が記録した42秒790は、2019年のワールドカップ(現名称はネーションズカップ)で樹立されたもの。当時の世界指折りのタイムとなり、この大会では金メダルを獲得した。

そしてそこから4年後、2023年2月に行われたネーションズカップ第1戦。日本代表はメンバー全員が入れ替わり、長迫吉拓、太田海也、小原佑太の3人で臨んだ。

予選を3位で通過し、迎えた1回戦(予選→1回戦→メダル決定戦の順)。

第1走の長迫が自己ベストを5年ぶりに更新する17秒456、そして太田、小原と繋いでフィニッシュラインを駆け抜けると、タイムは42秒742。それまでの日本記録を0.05秒ほど更新することに成功。メダル決定戦へと進出した。

3位決定戦ではタイムの更新とならずに4位となったものの、1回戦ではロンドンオリンピックから東京まで、日本代表を引っ張ってきた先輩たちの記録を塗り替えた。改めて日本代表の成長と、そしてパリへの可能性を示したレースとなった。

トップ争いはオランダ&オーストラリア、
ホスト国フランスと争う日本

第1戦での世界の勢力図を見ると、圧倒的なパフォーマンスを見せたのは東京2020金メダルのオランダ、そしてそのオランダを2022世界選手権で破り金メダルを得たオーストラリアの2チーム。他チームの追随を許さず、3位以下に大きなタイム差を付けて頂上決戦へと勝ち上がりを決めた。

パリ2024に向けて、この2チームが男子チームスプリントで金メダル争いを繰り広げていくことは間違いないだろう(3月13日時点では、第2戦ではオーストラリアが欠場するとの情報が入っている)。

銅メダル争いは日本とパリ2024開催国のフランス。日本は第1走のタイムでフランスを上回るが、後続はフランスが上回る形となった。とはいえ日本代表はまだメンバーが固まっていないことや、チームスプリントに特化したチーム練習を多くは行っていないことなど、まだまだ伸び代がある。それだけに今後の戦略次第では更なる記録が期待できる。

しかし、それはフランスチームも同様。第1走の強化が上手くいけばタイムが一気に上がるだけに、8月の世界選手権に向けてどのように強化を行ってくるかで、今後のフランスチームの強みが見えてくる。

チームスプリントは勝ち上がると相手との対戦となるが、実際はタイムで順位が決まる種目。確実にタイムが出せるのであれば、オリンピックで最もメダル獲得を計算できる種目となる。

それだけに現在タイムが同等の日本とフランスの強化に、今後注目していきたい。

強豪チームも世代交代に苦戦か

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