日本が短距離、中長距離合わせ20ものメダルを獲得した『TISSOT UCIネーションズカップ』第2戦・香港が、2021年5月16(日)に幕を下ろした。短距離ヘッドコーチのブノワ・ベトゥ氏は、困難な状況下ながら「来た甲斐があった」と大会へ参加への意味を振り返った。また若手選手に対しては「才能がある、それだけでは足りない」と少し厳しい評価も。その言葉の意味を見ていこう。
日本のメダルラッシュを振り返り
Q:本大会の総評をお願いします。
来て本当に良かったです。来た甲斐がありました。
エントリーリストを見た時には少し疑問がありましたが、いざ来てみると、限界を超えたような、きちんとしたレースとしての走りができたので、オリンピックに向けた最終的な準備として機能したと思います。
Q:男子ケイリンでは金メダルの獲得ができませんでした。
結果としては悪かったですが、良い効果もあったと思います。強い選手たちはお互いのみを意識していて、その他の選手に対して弱いという思い込みがあった結果、今回のようなミスへと繋がりました。しかし、オリンピックで同じ失敗はしないでしょう。その点では良い収穫となりました。
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Q:男子スプリントは日本人選手による独占となりました。
でも外国の選手との対戦の際は、もっと自由に走って欲しかったという思いがあります。日本人同士の時には、とても自由な走りができており、特に新田祐大選手はとても強い走りをしてくれました。
彼の戦略や走りを見ると、もともと東京オリンピックではスプリント種目を視野に入れていませんでしたが、メダルの可能性があるように感じます。それくらい自由な走りができるようになっていますし、肉体的にもそれが可能になっています。
脇本雄太選手は、先日のテストイベントでも今回でも、とても良いハロン(200mFTT)タイムを出してくれました。これはとても喜ばしい点です。またスプリントを楽しんでいる様子も出てきたので、これも嬉しいことですね。
唯一の残念な点は、深谷知広選手が良い調子を見せられなかったこと。彼にとって、今回は限界を超えてまで取り組む理由が見つけにくい環境だったと思います。
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Q:小林優香選手はケイリンで金メダルを獲得しました。
いよいよ小林優香のレベルが明らかなものになりましたね。今回の成績に関してはとても満足していますし、とても重要な勝利だったと思います。私は監督として、小林は選手として、共に辛い時期を乗り越えました。このメダルは癒しでもあります。
私たちの目的は最初から、オリンピックで優勝することです。小林はチャレンジャーとして挑むでしょうが、優勝の可能性は十分あると思っています。
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