2020年、様々な方面に多大な影響をもたらした新型コロナウイルス。競輪、国際大会など大きなイベントに目が向けられがちだが、その影響を受けたのは若い世代も同様だ。

この記事では新型コロナウイルスが自転車競技に取り組む学生たち(大学生・高校生)にどのような影響を与えたのか、そしてこの時世の中でどのような取り組みが行われたのかを紹介する。

大学生:インカレは8月から10月へ

日本学生自転車競技連盟、通称「学連」。

大学生を対象とした自転車競技大会は、多くが「全国規模」であることが特徴だ。その中でも例年8月に行われる『全日本大学対抗選手権競技大会(インターカレッジ、通称インカレ)』は学生たちの大きな目標となっている。

学連の2020年シーズンは5月4日の『全日本学生TRS(トラックレースシリーズ)第1戦』から開幕予定だったが、中止に。そこからトラック・ロードの大会が開催されないまま6月を迎える。例年8月に行われるインカレも、6月時点で10月への延期が発表された。

様々なレースが中止・延期となる中で、自転車自体を諦める選手や、自身の自転車選手としての方向性を考え直す学生も多かったという。

ロード:バーチャルレースを採用

そんな中、そこで新しいレースの形と採用されたのが「e-Race」だ。e-Raceとはバーチャルレースのことで、今回ツールとして採用されたのはオリジナルコースを設定できる「Tacx」。これを利用し、学連は6月よりロードレースにて「JICF e-Race 2020 nichinao-Tacx-iRC シリーズ」を開催した。

これはあくまで「トレーニング・イベント」であり「結果はランキングや大会参加資格に反映されない」性格のものではあったが、大会がなく他の選手との現状比較ができない選手らにとっては、トレーニングの指標設定やモチベーションの維持向上に一役買うものとなった。

これは2021年2月の第8戦まで予定されている。

日本学生自転車競技連盟 2020年度大会情報

「JICF e-Race 2020 nichinao-Tacx-iRC シリーズ」リリース

ナショナルチームコーチによる講義を配信

そのほかのステイホームでできる試みとして、e-Learning(配信講義)を実施。5月13日に「学連出身OBトークライブ」として武山晃輔氏(Team UKYO)が講義を行ったのを皮切りに、トラックナショナルチーム短距離ヘッドコーチのブノワ・ベトゥ氏、中長距離ヘッドコーチのクレイグ・グリフィン氏など、ロード、トラック、さらにはBMXのフィールドからも講師を招いて講義が行われた。

学連登録選手やチームスタッフ等を対象としたこの配信講義は、5月から9月までの間で断続的に実施された。

2020年初のリアル大会は9月

9月5日、学連にとって2020年初となるリアルの大会は、群馬サイクルスポーツセンターで行われた『全日本学生個人ロードレース大会』。9月12・13日には福島県で『2020全日本学生トラック自転車競技大会』が開催された。

その後も大会の中止・延期は相次ぐものの、10月にはロード・トラック共にインカレの代替大会『2020 全日本大学自転車競技大会』が開催され、少しずつ日常を取り戻し始めた。

 

日本学生自転車競技連盟 2020年度大会情報

高校生:2大全国大会が中止に

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