失われた大会と新たな試み

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高校生:2大全国大会が中止に

一方、高校生が属している高体連(全国高等学校体育連盟 自転車競技専門部)。

高校生にとっては年に2回の全国大会、春の『全国高等学校選抜自転車競技大会(選抜大会)』と夏の『全国高等学校総合体育大会(インターハイ)』が年間の大きな目標となる。しかしこの2大会も、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止に。

大学生と違って、高校生向けの全国規模の大会は少なく限られている。この2大会の競技成績によって進路を決める生徒も多く、今後も競技を続けようと考えている生徒にとって、大会中止は進路決定に大きな痛手となった。

インターハイ代替大会、9月に実施

そこで夏のインターハイの代替大会として開催されたのが9月に京都向日町競輪場で行われた『2020 JCSPA ジュニアサイクルスポーツ大会 全国大会』。

これはトラック競技のみ、男子6種目(団体2種目)、女子3種目(エキシビジョンレース含む)の開催。ロードでインターハイ出場資格を得ていた選手には、本大会のスクラッチまたはポイントレースの出場資格が与えられた。

また2020年は運動部だけでなく、文化部も発表の場を無くしたということで、本大会では向陽高校(京都)の吹奏楽部、ダンス部によるパフォーマンスも行われた。

表彰セレモニーにはプレゼンターとして競輪選手の村上義弘選手、深谷知広選手も馳せ参じ、それぞれ「村上義弘賞」として自身が過去に獲得した数々の優勝カップを、「深谷知広賞」としてヘルメットを優勝選手に贈呈した。

勝利者インタビューでは「この状況で、集まって練習をすることができなくて・・・」という声もあった。この大会はたくさんの大人達による、苦境に立たされている若いライダー達へのエールだったとも言える。

村上義弘賞として贈られた優勝カップと、深谷知広賞として贈られたヘルメット

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苦境に立たされた2020年を終えて

学連・高体連ともに、開催の遅れや中止などに見舞われた2020シーズン。

しかしオンラインレースや代替大会の実施など、「学生たちが自転車競技を続けるために」と様々な立場の人々が必死に協力した1年でもあった。オンラインでのレースや講義の実施においては、新たな時代に向けて発展したとも言えるだろう。

2021年、予定されているすべての大会を無事行うことができるのか。それはまだ断言できない状況だ。未だ苦境に立っていることは変わりないが、それでも悲観的になりすぎる必要はないだろう。なぜならば彼ら、彼女らは、2020年を乗り越えたのだから。

これからの学生自転車レースの世界を、変わらず応援し続けたい。