2026年4月、香港で行われた『トラックワールドカップ第2戦』。本大会の男子ケイリン種目はハリー・ラブレイセンが優勝を勝ち取り、日本の太田海也が銀、中野慎詞が銅メダルを獲得する結果となった。

太田が銀 中野が銅 世界王者のラブレイセンが制した男子ケイリン/『2026ワールドカップ第2戦』香港

そのレースの「1回戦敗者復活戦」で起こった「珍プレー」をご紹介しよう。

ケイリン敗者復活戦を「on foot」で勝ち抜け

その珍プレーが起こったのは、男子ケイリンの1回戦敗者復活戦。日本からエントリーしていた太田・中野ともに1回戦を勝ち上がっていたため、このレースに出走していない。

この第4組の結果を見てみると……

1着のトム・デラシェと、2着のニキータ・キリルツェフのTime Behind(フィニッシュした時間差)が異様なことがわかるだろうか。デラシェから、42秒も遅れてフィニッシュしているのだ。

この理由は、ニキータ・キリルツェフ本人がSNSアップしている写真および動画を見ていただくとわかりやすい。

大規模なクラッシュが発生してしまった、男子ケイリン敗者復活戦。最終的に1着でフィニッシュしたデラシェだけは巻き込まれずに済んだが、あとの選手はいずれも落車してしまった。

この状況から最初に復活したのが、ニキータ・キリルツェフ。彼は2025年には日本で行われた『ジャパントラックカップ』にも出場している選手だ。かつてはロシア籍の選手だったが、現在はAIN(中立選手)として各種レースに参加している。

2025ジャパントラックカップ 左側がニキータ・キリルツェフ

クラッシュのあと、残り半周ほどを「自転車をかついで、ダッシュで」駆け抜けたキリルツェフ。遅れて復活したジェニウェイ・タン(こちらは自転車に乗った状態)がすぐ後ろまで迫るも、ギリギリで「自分の足」で勝ったキリルツェフが、2回戦出場の権利をもぎ取った。

「自転車を伴っていれば、徒歩でフィニッシュラインを通過してもよい」

かなり珍しいレースとなったが、実はこれはUCIの規定上許可されている行為だ。UCIレギュレーションには「A rider may cross the finish line on foot, provided that they have their bicycle with them.(選手は自転車を伴っていれば、徒歩でフィニッシュラインを通過してもよい)」という規定がある。

日本の競輪でも「落携入(らっけいにゅう:落車後、決勝線に到達する前方30m以内において自転車を携行してゴールすること。)」が許可されてはいるものの、これだけの距離を走ってフィニッシュする選手というのは、なかなか珍しいものではないだろうか。

キリルツェフはこの後準決勝まで勝ち上がり、最終成績8位で本種目を終えた。「ルールの熟知」と「とっさの機転、判断力」によって辛くも勝ち取れた結果だと言えるだろう。

最終リザルトPDF
UCI CYCLING REGULATIONS PART 1 GENERAL ORGANISATION OF CYCLING AS A SPORT 1.2.109

世界のトップ選手たちが日本の競輪に出場

キリルツェフが奮戦した『ワールドカップ第2戦』のケイリンで優勝したハリー・ラブレイセン(オランダ)ほか、世界のスター選手の走りを日本の競輪で見られるのが、2026年6月にスタートする『競輪ワールドシリーズ』だ。全国の競輪場で、オリンピックや世界選手権で活躍する選手の走りを見ることができるこの機会を、ぜひお見逃しなく。

レーススケジュールや開催地などの情報は競輪ワールドシリーズ特設サイトにまとまっているため、活用していただきたい。