『東京オリンピック』スプリントで金メダルを獲得したほか、『2023ネーションズカップ第3戦』でもスプリントで優勝するなど、カナダが誇るトップスプリンターとして活躍してきたケルシー・ミシェル。
冬季オリンピック出場を目指してボブスレーに挑戦していることが報じられた。
Dual-season Olympic dreams. 🤩@TeamCanada track cycling Olympic gold medallist Kelsey Mitchell has ambitions to compete for Canada at #MilanoCortina2026 in bobsleigh. 👀 Here’s her story.#RoadToMilanoCortina2026 | #Bobsleigh | @IBSFsliding | @milanocortina26 pic.twitter.com/oqWbWT7o3i
— The Olympic Games (@Olympics) October 28, 2025
トラック競技を始めて4年で世界の頂点に
先述のとおり、2021年のオリンピック金メダリストであるケルシー・ミシェル。じつは、トラック競技へ転向したのは2017年。それまではサッカー選手としてキャリアを築き、カナダの才能発掘・育成プログラム「RBC Training Ground」への応募を通じて、トラック競技をスタートさせた。
今回の挑戦にあたっては、『2024パリオリンピック』出場後に“燃え尽き症候群”に陥り、ボブスレーのトライアウトキャンプで「才能がある」と評価されたことで本格的なチャレンジを決意。「まだ自分の中に足りない知識の部分はある。でも、自転車のときも同じだった」と語りつつ、「走るときに“自転車を漕ぐみたいに脚を回す”クセがある」ことが今の課題と話している。
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2026年にミラノで開催される冬季オリンピックを目指したのち、最終的には『2028ロサンゼルス』を見据えてトラック競技に復帰する予定であることも報じられている。
意外と多い?トラック→ボブスレー
ちなみに、トップクラスの自転車トラック競技選手がボブスレーへ転向・兼任した例は、これまでもいくつか存在する。
フランス代表としてロンドン/リオと2大会連続でオリピック出場を果たしたサンディー・クレア(Sandie Clair)は、2019年にトラック競技から引退後、ボブスレー選手に転向。2021年ヨーロッパ選手権で6位となり、翌2022年には北京オリンピック出場を果たした。
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そのほか、2013年の『世界選手権トラック』チームスプリントで銅メダルを獲得したヴィクトリア・ウィリアムソン(イギリス)も、2019年にボブスレーに転向。ワールドカップの舞台でも結果を残すなど活躍を見せた。
男子でも、世界選手権 チームスプリントで3度アルカンシェルを手にするなどニュージーランドのトップスプリンターとして君臨したエドワード・ドーキンスが、ボブスレーに挑戦したことが話題となった。
上記の3選手、そしてケルシー・ミシェルは、ともにスプリンター。
自転車、特に短距離種目で培った「爆発的な脚力・瞬発力」が、氷上でも活かされることになるのだろう。
夏冬金メダルは史上1人のみ
夏季・冬季の両オリンピックに出場と聞くと、日本ではスピードスケートで4回・自転車で3回のオリンピック出場を果たした橋本聖子氏を思い浮かべる方も多いであろう。
異なる季節・環境・技術体系の中で世界の頂点を目指すことは容易ではないことは間違いないが、トレーニングの過程で異なる種目に挑戦するということもあり、これまで100人以上のアスリートが夏・冬オリンピックに出場を果たしている。
一方で、夏と冬の両方で金メダルを獲得した選手は、オリンピックの長い歴史の中で、アメリカのエディ・イーガンただ1人。
1920年にボクシングで、そして1932年に奇しくもボブスレーで金メダルを獲得している。
2021年の金メダルを手にしているケルシー・ミシェルは、その偉業に挑むことができる数少ない現役アスリートのひとり。
その挑戦の行方に注目したい。
参照:
Olympic cycling champion Kelsey Mitchell swaps pedals for bobsleigh: “‘They said I had potential” | Olympic Games
Olympic cycling champion Kelsey Mitchell auditions for Canadian bobsleigh team | CBC.ca
夏冬両オリンピックでメダル獲得。スーパーアスリートたちの偉業に迫る | Olympic.com