チリ・サンティアゴで開催された『世界選手権トラック』ケイリンにて、2年連続の金メダルという偉業を達成した佐藤水菜。
連覇という金字塔を打ち立てただけでなく、2021・2022年には銀メダルも獲得しており、この種目で4度目の表彰台となった。

通算4つのメダル獲得は、世界選手権における女子ケイリンにおいて史上4人目の快挙。
“レジェンド”の領域に足を踏み込んだといえる。

フォーゲルら、時代を作ったレジェンドたち

クリスティーナ・フォーゲル

世界選手権トラック 女子ケイリンの歴史において、4つ以上のメダルを手にしたのは、佐藤を除くとわずか3人。

メダル獲得数 金メダル 銀メダル 銅メダル
アンナ・メアーズ
(オーストラリア)
7 3
(2011年/2012年/2015年)
3
(2003年/2014年/2016年)
1
(2007年)
クララ・サンチェス
(フランス)
6 2(2004年/2005年) 3(2002年/2006年/2009年) 1(2011年)
クリスティーナ・フォーゲル
(ドイツ)
4 3(2014年/2016年/2017年) 1(2012年)

アンナ・メアーズ、クララ・サンチェス、クリスティーナ・フォーゲル。
いずれも時代を代表する「絶対的な女王」だ。

中でも、佐藤水菜とメダルの上では“同数”となるクリスティーナ・フォーゲルは、世界選手権で計11個もの金メダルを手にした、歴史に残る名スプリンター。トレーニング中の事故により引退を余儀なくされたが、その走りを鮮明に記憶しているファンも多いことだろう。

そのフォーゲルは2016年リオで女子スプリントの金を含む2つのメダルを手にしているほか、アンナ・メアーズはオリンピックでも計5つのメダルを獲得。オリンピックの舞台でも、その強さを遺憾なく発揮した。

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ケイリン連覇は、どれほどすごい?

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過去、世界選手権の女子ケイリンにおいて、連覇したことがあるのは佐藤を含めて5人。
上記の3人と佐藤に加え、2021年・2022年にチャンピオンとなったリー ソフィー・フリードリッヒ(ドイツ)が達成している。

2002年に女子ケイリンが新種目として実施されて以来、24回年の中で5人の連覇。

そう書くと多く見えるかもしれないが、同じ短距離種目のスプリントは女子ではフェリシア・バランジェが5連覇しており、男子では言わずと知れた日本の中野浩一の「V10」という記録もある。
予選は200mタイムトライアル、そこから1対1のトーナメントという構成上、スプリントは比較的“王朝”が築かれやすい種目といえるだろう。

それに対し、ケイリンは「強くても負けることがある競技」。展開や位置取り、相手の動きに左右される種目ゆえ、好成績を残し続けるのは容易ではない。

それでも佐藤水菜は、直近5大会のうち4大会で表彰台に立ち、2年連続で世界一となった。
この数字こそ、彼女が“偶然ではなく再現できる強さ”を持つ証だといえるだろう。

さらなる未来へ

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昨年、史上初の金メダルを手にした際の記事でも紹介したが、佐藤水菜が世界選手権に初めて出場したのは2021年。
初出場での銀メダル獲得という快挙から、5大会で4つのメダル、しかもそのうちの2つは金という離れ業を実現させた。

冒頭に紹介したレジェンドたちのメダル獲得数は、アンナ・メアーズが14年、クララ・サンチェスが10年で得た総数となる。2025年現在26歳の佐藤水菜は、これからどんどんその数を伸ばしていく可能性もあるだろう。

まだキャリアの途中でありながら、すでに「伝説の領域」に手をかけたこととなる。

4つのメダルはゴールではなく、“その先の記録”への序章。
ケイリンという不確実な競技の中で、勝利を再現し続ける彼女が、次にどんな未来を描くのか。

今から楽しみでならない。

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