『2024世界選手権トラック』ケイリンにて、日本人男子として37年ぶり、本田晴美に次いで史上2人目の世界王者となり、ケイリンの発祥国としての誇りを取り戻したのはアフロの山﨑賢人だった。

ディフェンディングチャンピオンとして挑むこととなる『2025世界選手権トラック』は開幕直前。昨年の優勝から、大きな変化があったという心情とともに山﨑が大舞台への考えを語った。

『2025世界選手権トラック』へ向けた特別企画の第2弾「アフロ怪人」山﨑賢人の世界選手権前の特集をお楽しみいただきたい。

また挑戦していく気持ちで

王者のみが着用可能な虹色のアルカンシェルジャージを手にした昨年の大会。直前の『2024パリオリンピック』では正選手に選ばれず、“メダルを取れなかったら競技は終了”と思って挑んだ大舞台だった。

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「結果を出し続けないとナショナルチームにいる意味がないと思っています。今回も気持ちとしては変わっていません。前回はその覚悟を持って出場して、メダルを獲ることができたので、今回、最低でもメダルを獲得することを目標にしたいと思っています。

もちろん、アルカンシェルを取れたら盛り上がりますし、そこを目指します。でも守らないといけないというプレッシャーはないので、フラットな気持ちで挑戦したいです。特に戦い方は変えずに、レースで流れに乗れれば乗りますし、流れがなければ自分で作れば良いと思っています」

山﨑賢人

世界一の証・アルカンシェルを着ての初の国内レースとなった『2025ジャパントラックカップ』ケイリン。決勝では、1着でフィニッシュラインを超えたが、まさかの降格という結果に。続く『2025全日本選手権』では降格してしまいメダル獲得が叶わず、2025年になってから結果を残せない日々が続いている。

そこで山﨑は、これまでの不調を取り払って勝利を祈願すべく、宮崎県日向市にある「大御神社」を訪問。2019年のワールドカップで初のベスト8入りを果たし、日本中を沸かせたラグビー日本代表選が勝利祈願をしたことで知られるパワースポットであり、山﨑自身も2019年以降毎年通っているのだという。

「昨年、世界選手権の優勝報告をした時には、神主さんがとても喜んでくれました。国歌にも登場する“さざれ石”があったり、昇り龍の伝説なども残る、すごい神社なんです。アジアチャンピオンの枠で出場した昨年同様、今回の大会も世界チャンピオンという自分の枠で出れるだけなので、状況的には追い込まれていると思います。でも神社でしっかりお祓いをしてもらったので、世界選手権に向けた準備は万端です」

今の自分にはケイリンしかない

過去には『2022アジア選手権』のスプリントで金メダルを獲得するなど、他の種目でも活躍していた山﨑だが、現在はケイリン一筋という印象が強い。

「世界のトップ選手は、スプリントで8秒台に突入してきています。タイムが出せない限り、スプリントではやっぱり戦えない。自分のベストからコンマ5秒くらい差があるので、どう頑張っても難しい部分はあると思うんです。でもケイリンは仕掛け方次第で世界と勝負ができます。今の自分にはケイリンしかないと思っています。」

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最近は苦手としていたスタートも徐々に良くなってきており、まだまだ成長を感じている部分もある。

「まだまだ強くなれるんじゃないかと可能性を感じています。スタートが上手くなったり、もっとスムーズに加速できたりすれば競輪の時にも役立っていくと思うので、チームスプリントにも積極的に取り組んでいきたいです」

世界チャンピオンとしての「役割」とは?

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