「自分の弱さを嫌というほどわかりすぎている状態」

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“全部80点”という武器

佐藤水菜, 女子スプリント, 2025全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

一聴すると“悲観的”と思えるほどの自己評価を語るなか、「自身の強みは?」という質問に対しても、以下のように語る。

「何でもこなせるところだと思います。ゲームみたいにパラメータがあったとして、突出して強いものはないけれど、全部の要素で2番ぐらいにはなれる。全部80点くらいを出せるイメージです」

数字で刻む、世界選手権の挑戦

佐藤水菜,SATO Mina, 女子スプリント, WOMEN'S Sprint, 2025ジャパントラックカップ I, 伊豆ベロドローム, 2025 Japan Track Cup I, Izu Velodrome, Japan

いよいよ10月22日からスタートする世界選手権。目標を尋ねると、具体的な数字が返ってきた。聞けば、年初に実施される沖縄での合宿時に、具体的な目標を設定しているのだという。

「チームスプリントは、まずは予選通過を目標としています。チームとしての目標タイムは47秒5(現日本記録は、8月の全日本選手権で記録した47秒650)。スプリントは予選の200mFTTで10秒35かトップ4入りを果たすこと。ケイリンは決勝進出。これが、年初の沖縄合宿の時に立てた目標です。ケイリンはすべての大会で決勝進出することも掲げていて、この世界選手権でも決勝に上がれれば、目標をクリアできることになります」

現状を冷静に把握しながら、挑戦を数値に落とし込む。競技の面ではターゲットが明確になっているが故に力が入ることが分かる。

“弱点”も高い自己分析能力ゆえ?

具体的な課題のひとつとしてあげられるのは、遠征時のコンディション調整。これまで、特に海外での大会では、コンディションを悪くしてしまう姿も目にしてきた。

「環境自体は平気なつもりなんですが……気づかないうちに心が疲弊してるのか、急に熱が出ることがあるんです。子供の知恵熱みたいに、オーバーヒートしている感じで」

数少ない弱点のひとつと言えるが、裏を返せば、これも「心身の変化を正確に捉えられる感受性・自己分析能力」の高さゆえかもしれない。

エリミネーションでも世界へ

佐藤水菜, 内野艶和, エリート, 女子エリミネーション, 2025全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

2024、25年の全日本選手権は中長距離種目に出場してきた佐藤水菜。世界選手権の先、大きな目標を問うと、その挑戦の継続もしっかりと視野に入れている。

「エリミネーションは本気でやっていきたいと思っています。まずは国内チャンピオンになって、アジア選手権の枠を取ること。そこで勝つことができれば、世界選手権への道が開けます。1年に1度の挑戦なので難しい部分もありますが、全日本で優勝してコーチに直談判できるように、真剣に考えてます」

最後に「アルカンシェル」世界一のジャージを守りたいのか?そう聞いてみたところ、
「シンプルに表彰式で憧れのジャージを着れて嬉しかったです。でも自分がこのジャージに値する人間かと問われると、まだまだと感じています。守るというよりは、あの表彰台に立った時に多くの人が喜んでくれたので、再び頂点に立てるように頑張りたい。そんな気持ちです」

「弱い」と思うからこそ見える、成長の余地。正確な自己分析と高い目標設定。
その積み重ねが、彼女を再び世界の舞台で輝かせることになるだろう。

『2025世界選手権』は佐藤の中でまだまだ挑戦していく大会。新たな糧を得ることで更にパワーアップしていく佐藤に期待をしたい。

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