目標は「豪邸と良い車」。ド直球な夢

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ケイリンは、野球よりも運の要素が少ない競技

Q:6月の『JICF国際トラックカップ』で競技デビューを果たしましたが、レースを走ってみていかがでしたか?

スプリントは、正真正銘初レースだったので、正直わけがわかんなかったです(笑)。
ケイリンでは、準決勝でレイ・ホフマン選手に先行して勝てたなど収穫もありましたが、国内の競輪とのギアの違いに苦しむ場面もありました。ギアが重い分、流している時に相手に来られると合わせることができなくなってしまう。次は、同じ失敗をしないようにしたいです。

Q:実戦を経たことで得られるものは多かった?

そうですね。同じ負け方はしない、ということは心がけていますし、技術的に学べたと思います。

レース後にジェイソン・ヘッドコーチと内容のチェックをしているところ

Q:そういった向き合い方は、野球の世界で培ってきたものが活きているのでしょうか?

難しいですね……ひとつ感じるのは、ケイリンは野球よりも運の要素が少ない競技だということです。

野球って、どれだけすごいスイングができても、どれだけのパワーがあっても、相手ピッチャー次第で打てないこともあります。一方で、ケイリンは極論すれば自分が速ければ勝てる。単純……ではないですけど、他者に依存する要素は少ないと思います。

レース中は、“考える時間”がたくさんある

Q:すごく興味深い考え方です。今のお話を聞いていたり、実戦での理解力の高さを見ていると、スポーツ脳の良さ、そんな物を感じます。

勉強はまったくできなかったですが、頭の回転は早いと思います(笑)。

Q:それはレースでの判断の早さにも通じるものでしょうか?

そこに関しては、野球で培ってきたものだと思います。

自分は外野手だったのですが、守備の時にいちばん重要なのは“一歩目の速さ”なんです。味方のピッチャーがどのコースに投げたのか、相手のバッターの反応を見て、バットとボールが当たる前に動き出す必要があります。さらに、バットの当たった音などから、瞬時に足を出す。コンマ何秒の世界で、いろいろな情報を処理して動いていました。

Q:当たり前のように話されていますが、すごい世界ですね……

その点で比較すると、自転車のレース中は、“考える時間”がたくさんあるように感じます。それが良い方向につながっていると思います。

全日本選手権で下剋上です

Q:現在掲げる、長期的な目標を教えてください。

長期的には、ロサンゼルスオリンピックを目指しています。ケイリンで出場することができたら、と考えています。

Q:短期的には?

「全日本選手権で下剋上」です。

Q:素晴らしい答えです。記事的には満点!

現時点で、たとえば200mフライングタイムトライアルやスプリントに関しては、まだまだ経験不足なので勝つのは難しいとは感じています。ただ、ケイリンはギアの違いだけですし、脚力を磨くだけだと思います。ケイリンだったら現時点でも戦える、ということを全日本選手権で証明したいです。

Q:世界選手権へのセレクションも兼ねた大会となります。今年は世界チャンピオン枠、アジアチャンピオン枠、そしてチームとして2つ、合計4つの枠があります。その枠を狙っていますか?

はい、狙っています。下剋上です。