2024年10月16日から10月20日にかけてデンマークで開催される『2024世界選手権トラック』。本大会に出場するオランダのハリー・ラブレイセン(男子短距離)が短距離全4種目へ出場することを発表した。

3冠の絶対王者

ハリー・ラブレイセンは男子短距離種目で長年、絶対王者として君臨している最強スプリンター。スプリント、ケイリン、チームスプリントで数々のメダルを獲得してきた。

『パリ2024オリンピック』では上記3種目での3冠を達成し、文句なしのチャンピオンとしてその座をより確固たるものにした。

そんなラブレイセンは自身のSNSにて2024年10月12日、『2024世界選手権トラック』では1kmタイムトライアル(TT)も含む、短距離全4種目へ出場することを発表した。

「もう一段、さらに上へ」

ハリー・ラブレイセン 本人コメント(意訳)

「人生はチャレンジで溢れています。知っての通り、私は自分の限界を超えていくのが好きなんです。デンマークで開催される世界選手権では、自分のタイトル(スプリント、チームスプリント)を防衛することが目標です。

通常私はスプリント、ケイリン、チームスプリントの3種目に出場していますが、2024年はもう1段さらに上を目指します。いつも出場している3種目に加え、1kmTTにも出場することにしました!

どこまで出来るか楽しみです!」

前人未到の「短距離4冠」へ

『パリ2024オリンピック』と同じく、世界選手権でも「スプリント、ケイリン、チームスプリント」の3冠を2020年、2021年に既に達成しているラブレイセン。

しかしこのオランダの最強スプリンターは、1kmTTではアルカンシェルどころかメダル獲得経験さえない。未知の領域に足を踏み入れた絶対王者が、どんな走りを見せてくれるのか要注目だ。

ちなみに世界選手権の男子短距離において4冠を達成した選手は未だかつて存在しない。もし成し遂げることができれば、まさに歴史に名を残すことになるだろう。

参照:UCI TRACK CYCLING WORLD CHAMPIONSHIPS – PALMARES – ELITE

絶対王者は、どんな顔をする?

250mトラックを4周、およそ1分の間に全てを出し切る1kmTTは、選手本人たちが走り終えた後の辛さを「パイプ椅子で殴られているかのよう」や「全力で足の小指を机にぶつけに行くかのよう」などと表現する超過酷な種目。

タイムとともに、フィニッシュ後のラブレイセンがどんな顔をしているのかも注目したいところだ。

ちなみに1kmTTの世界記録を保持し、世界選手権でも同種目で2021年大会から3連覇を達成しているジェフリー・ホーフラントは、走り終えた後も余裕のガッズポーズを見せる鉄人。

もちろん本大会でも、ラブレイセンとともにタイトル防衛を目指すチームスプリントに加え1kmTTにも出場予定。ラブレイセンの最大の敵として立ちはだかるだろう。

参照:オランダ代表出場予定種目(オランダ自転車競技連盟 公式リリース 2024年10月7日)

「鉄パイプで殴られ続けるよう」新田祐大が苦しみの果てに優勝・1kmTT/2020全日本自転車競技選手権大会 トラック

得意種目へ影響を及ぼす可能性も……

「もう1段、さらに上へ」と、短距離全4種目出場へ意気込んだラブレイセン。しかし絶対王者と言えど簡単な挑戦ではないはず。数々のメダルやアルカンシェルを獲得してきた得意種目へ影響を及ぼすリスクも大いにあるだろう。

男子1kmTTは、開催6日間のちょうど中間である3日目に実施。ラブレイセンが最も得意とし、中野浩一の10連覇まで残り半分に迫る5連覇を達成中のスプリントは、1kmTT後の最終2日間に待っている。

ラブレイセンの体力の消耗は、下克上を狙う他選手も考えることだろう。限界突破を目指すラブレイセンの挑戦、そしてその挑戦を打ち砕こうとするライバル選手たちの走りにもご注目いただきたい。

男子・短距離種目の実施スケジュール

1日目(10月16日):チームスプリント
2日目(10月17日):ケイリン
3日目(10月18日):1kmTT
4日目(10月19日):スプリント予選〜準々決勝
5日目(10月20日);スプリント準決勝〜決勝

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