10月31日、メキシコ・アグアスカリエンテスにて、オランダの短距離選手であるジェフリー・ホーフラントが1kmタイムトライアル(1kmTT)の世界記録へ挑戦。「55秒433」のタイムを叩き出し、約10年ぶりの新記録更新を成し遂げた。
参照:オランダ自転車競技連盟リリース(2023年10月31日)
本チャレンジの概要
実施日程:2023年10月31日
実施会場:Velodromo Bicentenario(メキシコ・アグアスカリエンテス)
実施した選手:ジェフリー・ホーフラント(オランダ)
「10年間」破られなかった世界新記録
今回ジェフリー・ホーフラントが挑んだのは男子1kmタイムトライアル(TT)の世界新記録。1kmTTは世界選手権でも実施されている短距離種目だ。
これまで世界記録を保持していたのは、フランスのフランソワ・ペルピス。2013年12月7日に当時の世界記録を2秒上回る「56秒303」を叩き出した。そこから約10年、この記録は破られてこなかった。
UCI MEN ELITE WORLD RECORDS(2023年9月22日更新版)
UCI WOMEN ELITE WORLD RECORDS(2023年8月31日更新版)
出典:UCI>DISCIPLINES>TRACK>DISCOVER>RECORDS, BEST PERFORMANCES AND PALMARES
標高1800mにある「世界記録の聖地」
ホーフラントが今回の挑戦の地に選んだのは、メキシコ・アグアスカリエンテスの標高1800mに位置する「ビセンテナリオ・ベロドローム」。
標高の高い場所では空気抵抗の低減が期待できることから、世界屈指の標高を誇るビセンテナリオ・ベロドロームは「世界記録の聖地」でもある。
2013年にはフランソワ・ペルビスが当時の1kmTTの世界記録を更新し、直近ではビットリア・ブッシが女子アワーレコードの新記録を出している(2023年10月11日)。
今回の新記録更新への試みが正式に発表されたのは『2023世界選手権トラック』後のこと。
ホーフラントはこれまでにも「58秒台以下」のタイムを4度記録しているが、どちらも比較的標高の低い会場で計測されたものだった。
ビセンテナリオ・ベロドロームで得られる高所のアドバンテージを考慮すると、理にかなった挑戦だったと言えるだろう。
2023年の主な成績・タイム
大会 | タイム | 成績 | 会場 |
2023ヨーロッパ選手権トラック(予選) | 57秒813 | 予選1位 | スイス・グレンヘン |
2023ヨーロッパ選手権トラック(決勝) | 58秒203 | 優勝 | |
2023世界選手権トラック(予選) | 57秒971 | 予選1位 | イギリス・グラスゴー |
2023世界選手権トラック(決勝) | 58秒222 | 優勝 |
※日本記録保持者は「59秒796」を記録した小原佑太