2024年8月7日、パリオリンピックの自転車トラック競技種目 男子スプリントが開催。予選から3回戦敗者復活戦までが実施された。日本から出場した太田海也、小原佑太のレースを中心にレポートする。
スプリントとは?
予選は200mFTT(助走なしの200mタイム測定)。
予選のタイムをもとに本戦(対戦ラウンド)の組み合わせが決定し、勝ち上がり戦が行われる。
本戦はトラック3周、1対1で先着を争う。どんなに強靭な選手でも3周を全部フルパワーで走ることはできないので、どのタイミングで前に出るのかの駆け引き、そして一気にハイスピードになる高速バトルが見どころの種目。
スプリントの1日目は予選→1回戦→1回戦敗者復活戦→2回戦→2回戦敗者復活戦→3回戦→3回戦敗者復活戦と、長丁場の1日。レースとレースの間の時間でどれだけ体力回復できるかもカギとなる。
予選
別記事でお伝えしたように日本の小原佑太と太田海也、2人が東京2020以降長らく破れていなかった日本記録を更新する好タイムで予選を8位(太田)、そして小原は16位で通過した。
しかし世界の進化は凄まじく、マシュー・リチャードソン(オーストラリア)が9秒091で世界新記録を樹立すると、直後には絶対王者のハリーラブレイセンが9秒088で世界記録を更新。歓声が沸き上がる会場となった。
予選トップ3+日本選手結果
順位 | 選手名 | 所属 | タイム | |
1位 | ハリー・ラブレイセン | LAVREYSEN Harrie | オランダ | 9.088 ※世界新 |
2位 | マシュー・リチャードソン | RICHARDSON Matthew | オーストラリア | 9.091 ※世界新 |
3位 | ミカイル・ヤコフレフ | YAKOVLEV Mikhail | イスラエル | 9.152 |
8位 | 太田海也 | 日本 | 9.350 ※日本新 |
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16位 | 小原佑太 | 日本 | 9.483 日本新 |
1回戦から3回戦までは1対1の1本勝負。負けたら敗者復活戦へと回るが、負けて勝ってを繰り返すと最大で1日7本走ることになる厳しいスケジュールとなる。
1回戦 太田は開催国のエースを捕らえる
太田は開催国のセバスチャン・ビジエ(フランス)との対戦。後ろから攻めることになった太田は相手との差を保ちつつ進む。
相手が前で仕掛けていくと、スイッチを入れたように太田が追いかけていくが、やや反応が遅くなってしまう。それでもスピードに勝る太田が最後にビジエを捕らえて先着し、2回戦進出となった。
小原 元スピードキングのポールに逃げ切られる
小原は今大会まで200mタイムトライアルの世界記録を持っていたニコラス・ポール(トリニダードトバゴ)との対戦。前でスタートした小原だが、途中でポールに前を取られ、更に取り返して迎えた最終周回。加速していく小原を最終ストレートでポールが捕らえて先着。小原は敗者復活戦回りとなった。
敗者復活戦では3人のレースで1着となり、2回戦進出を決めた。
2回戦 小原&太田共に敗者復活戦へ
小原はレイ・ホフマン(オーストラリア)、太田は1回戦で小原を下したポールとの対戦。小原は前で逃げていくホフマンを追いかける展開となったが、最終ストレートで諦めて再度敗者復活戦へ。
太田は1回戦同様に後ろで構えて相手の出方をうかがっていく。しかしポールが残り2周前に一気に加速して仕掛けていくと、太田との間に大きなリードを得ることに成功する。必死にポールを追う太田だったが、最後まで届かずに2着でフィニッシュ。敗者復活戦へと回った。
2回戦敗者復活戦
少しずつ距離感を改善した太田
太田の相手はまたしても開催国のライアン・エラル(フランス)。エラルが大観衆の声援を受ける中、太田は後方から相手をにらみつけてレースが少しずつ進んでいく。
相手の加速に合わせて2車身程の差で常に相手を捕らえられる位置で徐々に太田が加速していく。最終周回で両者がフル加速していくと、最終ストレートでエラルを捕らえた太田が先着。3回戦進出を決めた。
写真判定、僅差で勝ち上がった小原
小原の相手はクリスチャン・オルテガ(コロンビア)。オルテガを少し手を放してしまうような、ミスを突かれたようにレースで最後は小原とオルテガで再度のフィニッシュ。僅差での小原は再び敗者復活戦回りとなった。
3回戦 前に出させないラブレイセン
小原の相手は、この種目の絶対王者ハリー・ラブレイセン(オランダ)。前に出たい小原に合わせて前方をキープしたラブレイセンが、そのまま先着。小原は三度の敗者復活戦へ。
らしさを見せた太田
レイ・ホフマンとの対戦となった太田。これまでの国際レースのように積極的に加速して前に出ていくと、相手を寄せ付けずに先着して準々決勝進出を決めた。
3回戦敗者復活戦
ニコラス・ポール、レイ・ホフマン、2人の”既に対戦して負けた相手”と再び顔を合わせることになったこのステージ。3人のうち1人のみ準々決勝へと生き返ることになる。
レースはホフマンが前、小原が中段、ポールは最後尾となって進んでいく。スピードで勝る2人を相手に最初に仕掛けたのは小原。残り2周を切って加速して先頭に出ていくが、ホフマンが並走して加速して小原に前を許さない。
一旦小原が仕切り直して、最終周回で再度仕掛けていく。最後尾のポールは動けず、ホフマンは最終ストレートまで粘るが最後は失速。小原の執念を感じる走りで1着を獲得し、準々決勝進出を果たした。