より専門的な知識や練習方法を、実践しながら時間を掛けて学ぶことができる「CCC修善寺トレーニングキャンプ」。
編集部員が取材を行った11月8日は、既にキャンプ後半戦。
この日の午前には、最終日の11月12日に開催予定の『2023 Challenge The Velodrome』に向け、伊豆ベロドロームにて周回練習や200mFTTのスタート練習など、より実践的な練習を実施。
パラサイクリングの川本翔大選手(男子C2)や、タンデムを駆る木村和平選手・三浦生誠選手(男子B)も中学・高校生の参加者に混じり、合同トレーニングを行った。
午後に実施されたのはウェイトトレーニング。『2023 Challenge The Velodrome*』に筋肉痛を残さないよう、筋肉を軽く刺激する程度のトレーニングを意識するよう呼びかけられていた。
※11月12日に開催された『2023 Challenge The Velodrome 第3回』では、CCCキャンプ参加者からも「自己新記録樹立者」が複数名誕生した。
トレーナーなどの不在から、普段本格的なウェイトトレーニングを実施できない参加者には、トレーニング方法や意識すること、体を痛めずに効果的に鍛えるための注意点などが丁寧にレクチャーされていた。
日本サイクルスポーツセンターが有する専門施設を、余すことなく使用して実施されたCCCキャンプでの1日。12日間のトレーニングでかなりの成長が期待できそうだが、CCCキャンプでの経験は、キャンプ終了後にも活かすことができるのだろうか。
再び野田コーチに話を伺った。
どんな環境でも各自で継続できる
Q:日本サイクルスポーツセンターのような設備が充実した環境に普段アクセスできない方でも、学んだことを継続していけるのでしょうか?
はい。例えばCCCキャンプでは専用器具を使用したウェイトトレーニングも行いますが、器具がないことを想定したトレーニング方法などもレクチャーします。まさにジェイソンコーチのトレーニング動画で紹介しているような内容です。
自転車を使用する場合でも、高回転のペダリングを意識しながら短いインターバルで200mFTTを繰り返すトレーニングが1つの例として挙げられます。
バンクで練習できなくても、ローラー台でインターバルの時間をコントロールし、効率の良いペダリングを意識しながら練習することが代替案として考えられます。ここでも、練習の目的やその目的を達成する理論を理解しているかどうかが重要になってきます。
参加者に聞く「CCCキャンプ」での学び
専門施設をフル活用したCCCキャンプだが、キャンプ実施期間中だけでなく、キャンプ終了後の成長にもフォーカスしていることがわかった。
そんなCCCキャンプに参加している自転車競技経験者たちに、キャンプの感想や今後の目標などを伺った。
山田愛太
Q:CCCキャンプに参加したきっかけ、参加してみての感想を教えてください。
部活では部員が自分1人なので、普段は1人で練習しています。CCCキャンプで同年代の参加者と一緒にトレーニングすることで「もっと強くなりたい」と思い応募しました。
強い選手も参加しているので力の差を感じますが、モチベーションにもなります。
今回のキャンプではローラー台で15秒もがき、短いインターバルの後にまた15秒を繰り返すトレーニングが印象的でした。ペダリングや漕ぎ始めの力の入れ方などを教わりました。
ローラー練習なら1人の部活でもできるので、とてもためになりました。
Q:今後の目標を教えてください。
地元福岡の選抜大会がもうすぐ開催されるので、キャンプで学んだことを活かして良い結果が残せるよう頑張りたいです。
松岡勇斗
Q:今回のキャンプで新しく学んだことはりますか?
軽いギヤでペダリングの回転率を高めて、同時に心肺機能も高める練習が印象的でした。あまりやってこなかった練習でした。あと全体的にキツイです。
Q:今後の目標を教えてください。
大学に進学し、インカレで優勝したいです。
宮崎太志
Q:CCCキャンプに参加したきっかけ、参加してみての感想を教えてください。
自転車競技部に入っていますが指導者がいないので、さらにタイムを上げるには専門的な練習方法を学ぶ必要があると思い、応募しました。
初日の練習が印象的でした。200mFTTを6本やりましたが、インターバルが短くとてもキツかったです。
でもインターバルを短くすることの意味も丁寧に教えてもらい、とても勉強になりました。普段の部活でも実践していきたいです。
他の学校の選手とも一緒に練習できました。全国大会レベルの方たちなので、1本1本の走りで感じる緊張感が大きいです。1つでも多くのことを吸収して地元に帰りたいです。
Q:今後の目標を教えてください。
200mFTTで9秒台を出すことです。
小野祥吾
Q:CCCキャンプに参加したきっかけを教えてください。
同じ高校の先輩に誘ってもらい応募しました。
トラック競技自体は始めたばっかりなので、8月の『TCC in 立川競輪』にも参加しました。
Q:CCCキャンプに参加してみていかがですか?
TCCとは違い、レベルの高い経験者と一緒にトレーニングができるのでとても勉強になります。でもTCCで知り合った人ともまだ連絡を取り合ったりしています。大会以外では会えませんが、部活のことや次に出場する大会などについてSNSなどで話したりしています。
200mFTTの練習が印象的でした。「バンクのどの地点で何割のパワーを出して加速していくか」、など普段は学べないことを教わりました。コーチに教わりつつ、レベルの高い他の人の走りを見ることも勉強になります。
TCCでも教わったことをより深く教わったり、教わったことを実践できる時間が長いので、とてもためになります。
その甲斐あってか、さっき計測した200mFTTでは自己ベストを更新することができました。
Q:今回のキャンプにはパラサイクリングの強化指定選手も参加しています。
片腕や片足で走っていて、バランス能力がすごいなと思いました。川本選手など、片足のみで漕ぐ姿を周回練習の時とかに見ていて、パワーの伝達にロスがないペダリング方法など、とても勉強になりました。
Q:CCCキャンプ残り4日間の意気込みをお願いします。
最終日にある『Challenge The Izu Velodrome』で1kmTTの自己ベストを出すために頑張りたいです。自己ベストを出すことができれば、借り物ではなく自分のバイクを買ってくれると親が約束してくれました。
山口成美
Q:CCCキャンプに参加したきっかけは?
TCCには今年2度参加しましたが、インターハイなどに向けてさらに成長するために顧問の先生に進められて参加しました。
Q:具体的に学びたかった課題などはありましたか?
スタンディングスタートが苦手なので、上達したいと思っていました。専門的なアドバイスなどを受けながら練習できています。
200mFTTも少し苦手でしたが、何日も続けていくうちに慣れてきてタイムも速くなってきました。
走っている時に顔を下げてしまう癖があったんですが、適切な顔の位置をキープするようアドバイスを受けたことが、タイムにも繋がったと思います。普段はバンクで乗れる機会があまり多くないですが、ローラー練習でもフォームをしっかり意識していきたいです。
Q:今回のキャンプで印象に残ったことを教えてください。
女子選手以外とあまり一緒に周回練習をする機会などはないので、良い経験になりました。加速がうまい選手の後ろで、追いかけて走るのが楽しかったです。
あとは太田海也選手もバンクで練習していました。練習を見ることができてとても勉強にもなりましたし、モチベーションにもなりました。
亀田琉斗
Q:CCCキャンプに参加したきっかけ、参加してみての感想を教えてください。
アジア選手権に出場することを今の最大の目標にしています。それに向けて1kmTTで1分12秒を切れるよう、色々なことを吸収したくて応募しました。
みなさんとても速くて、自分のレベルはまだまだだなと感じました。普段は1人でトレーニングしています。一緒に練習することで学べることも多いです。
普段は聞けない専門的なアドバイスや練習方法を学べてとてもためになります。月に1回バンク走行できる機会があるので、そこで学んだことを活かしていきたいです。
白井愛美
Q:自転車競技歴を教えてください。
BMXレーシングを小さい頃からやっていて、トラック競技は高校から始めました。
中学3年の頃に参加したトラック競技のキャンプで初めてピストバイクに乗り、そこで興味を持ちました。
Q:CCCキャンプに参加するにあたり、期待していたことは何ですか?
高めあいです。強い選手がたくさんいるので、一緒に練習して成長したいです。
もがく練習だけじゃなく、強い人のウォーミングアップやクールダウンを見て、とても勉強になりました。
もちろんコーチから専門的なアドバイスを受けられるのも1つの理由です。あまり走る機会が多くない250mバンクでの加速方法などを学ぶことができました。ペダリングで意識することなども教わったので、普段のローラーやロードでのトレーニングにも活かしていきたいです。
ウェイトトレーニングの練習方法や意識することも勉強になりました。フォームなどを丁寧に教えていただいたので、部活でもしっかり意識していきたいです。
Q:今後の目標を教えてください。
高校選抜で入賞できるように頑張りたいです。
更なる成長を目指す方へ
専門的知識や練習方法などを学ぶべくCCCキャンプに集まった参加者たち。
キャンプで学んだ内容を各自の練習に活かし、更なる成長を目指す参加者たちの姿勢が印象的だった。まさにCCCキャンプの狙いと一致していた。
最後に野田コーチに、CCCキャンプがどんな人におすすめなのか伺った。
「『強くなりたい』という意志をもっている方におすすめです。
他の同年代の参加者と交流することも本キャンプの1つの目的ですが、まずは強くなることを目指してもらいたいです。ですが強くなるには、他の選手との協調性を持つことも重要です。
2024年前半にもCCCキャンプの開催を計画しています。もちろんTCCキャンプも開催されると思います。
トラック競技やピストバイクを知りたい、楽しみたい、と興味を持っている方はまずはTCCへ。そして『もっと強くなりたい』という方はぜひCCCキャンプに参加してみてほしいです。
入り口であるTCC、そしてトラック競技を続けていく道の途中にCCCキャンプがあります。
技術や知識を習得し、成長していくことでナショナルチームや競輪選手を目指す参加者が増えていくと嬉しいです。『競技者層拡大』の一躍を担っていきたいです」
競輪選手とナショナルチームの二刀流を目指すには?「HPCJC」「HPD」と初コラボで開催!『トラックサイクリングキャンプ in 立川競輪』潜入レポート