全国各地の競輪場で毎年数回行われている「トラックサイクリングキャンプ」。2023年8月11日〜12日の2日間、12歳から30歳までの男性を対象とした「トラックサイクリングキャンプ in 立川競輪」が開催された。
今回のトラックサイクリングキャンプは、初めて「HPCJC」と「HPD」とのコラボによって開催。
キャンプ1日目には「HPCJC」と「HPD」の取り組みを紹介する講義も実施された。
この記事では「トラックサイクリングキャンプ in 立川競輪」で初めて実現したHPCJCとHPDとのコラボに焦点を当て、キャンプ1日目の内容をレポートしていく。
HPCJC・HPDとの初コラボレーション
通常、日本サイクルスポーツセンター(CSC)の指導のもと開催されているトラックサイクリングキャンプ。
しかし今回は初めて、「HPCJC」と「HPD」とのコラボレーションによって開催された。
HPCJCとは?
HPCJCとは「High Performance Center of Japan Cycling」の略。日本自転車競技連盟(JCF)トラック競技強化指定選手のトレーニングセンターとして、世界選手権やオリンピックでのメダル獲得を目指してアスリートを強化、育成する組織だ。
HPDとは?
HPDとは「ハイパフォーマンスディビジョン」の略。日本競輪選手養成所(JIK)に設置され、JIKの候補生を世界で活躍できる選手として育てることを目的とした「トレーニンググループ」だ。
HPDのトレーニンググループに選抜された候補生たちは、競輪選手になるための訓練を積みながら、日本トラック競技ナショナルチームと同様の環境のもと、トラック競技選手としてもトレーニングを積んでいく。競輪とトラック競技の両輪を同時に進め、強化していけるのだ。
「ハイパフォーマンスディビジョン(HPD)とは」日本競輪選手養成所
トラック競技における選手の育成・強化を目的とした日本最高峰の”トレーニング機関”であるHPCJCとHPD。今回のキャンプはこの両組織からコーチを招く形で開催された。
トラック競技・250mバンクを意識したトレーニング
今回のトラックサイクリングキャンプには、CSCから野田尚宏氏、HPCJCから短距離アシスタントコーチの佐々木龍也氏、日本競輪選手養成所からHPDコーチの田中裕二氏が、コーチとして参加した。
普段から日本トラック競技のトップレベルでコーチングを行うスタッフが集結した今回のキャンプでは、トラック競技のレースや250mバンクを意識したトレーニングが実施された。
目から鱗のコーチング
その他の開催時と同じく「経験者グループ」と「初心者グループ」の2つに分かれてトレーニングが実施された「トラックサイクリングキャンプ in 立川競輪」。
自転車競技部に入部して4ヶ月ほどの高校1年生や、競輪場の一般開放日にバンクで走ったことのある学生や社会人など、ある程度ピストバイクやバンク走行に慣れている参加者が集まった経験者グループ。
キャンプ1日目が開始するやいなや、早速長い隊列を作り先頭を交代しながらバンクを周回する。
初めは傾斜の緩いストレート付近で先頭交代をしていた参加者。
慣れてくると、傾斜の急なコーナー付近で先頭を交代するトレーニングを実施。チームパシュート(団体追抜)などでの先頭交代を想定した練習だ。
コーナーを走行する際には野田コーチや、HPCJCの佐々木コーチから、
「直線よりも強く踏むように!」
「ハンドルは曲げずにまっすぐのままを意識!」
と的確なコーチングが飛んでいた。
競輪場でもベロドロームを意識
その他にもトラック競技の国際規格である250mバンクを想定したコーチングもなされていた。
「400mバンクなど周長が異なる競輪場でもフィニッシュラインから250mを逆算した地点を知っておくことで、250mバンクを意識した追い込みトレーニングができる」とのこと。
まさに目から鱗のトレーニング現場だ。
周回練習を基本としていた午前の部。経験者グループの午後の部では、200mFTTのトレーニングやスタンディングスタートのトレーニングが実施された。
200mFTTやスタンディングスタートの練習は、女性限定のトラックサイクリングキャンプでも実施されている内容だ。
HPDの田中裕二コーチが担当した「初心者グループ」のトレーニングについては近日公開予定だ。
ペダリング講座も実施
トレーニングの合間には講堂に戻り、ペダリングの講座も実施。
口頭だけではなかなか理解しにくいことも、図説とコーチング、実践と修正を組み合わせることで、より意義のあるトレーニングになっていく。
「図で説明したことを、自分の頭と体で意識しながら練習しましょう」という、野田コーチによるアドバイスも印象的だった。