3月14日からエジプト・カイロで開催される『2023ネーションズカップ第2戦』。「2024パリオリンピック」への出場をかけた重要な大会だ。

この記事ではUCI公式サイトより公開されたエントリーリストから、「中長距離種目」の注目選手たちをピックアップしご紹介していく。

観戦の助けにしていただければ幸いだ。

エントリーリスト(2023年2月24日公開)

※リザーブ選手を含む
※誰がどの種目に出場するかは、大会直前に公開予定

UCI公式サイト「2023 TISSOT UCI TRACK NATIONS CUP」

中長距離実施種目

チームパシュート・エリミネーション・オムニアム・マディソン

※エリミネーションを除く3種目はオリンピック種目

男子中長距離

日本

橋本英也, ロジャー・クルーゲ, KLUGE Roger, GER, アブドル アツィム・アリアス, ALIYAS Abdul Azim, MAS, 男子オムニアム, MEN'S Omnium, 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

日本からは橋本英也、窪木一茂、今村駿介、兒島直樹、松田祥位の第1戦と同メンバーがエントリー。

第1戦では橋本と今村がオムニアムに出場するも橋本は順位を伸ばせず、今村は落車に遭い途中棄権。チームパシュートでは1回戦にてメンバー交代の登録ミスが起こってしまいDNS(出走せず)となった。

橋本英也, 男子エリミネーション, MEN'S Elimination 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

一方エリミネーションでは世界を相手に橋本が優勝。マディソンでは橋本・兒島ペアが5位、窪木・今村ペアが8位でフィニッシュし、オリンピック出場枠獲得圏内に入る走りを見せた。

今村駿介, 窪木一茂, 男子マディソン, MEN'S Madison 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

第1戦でのリベンジを懸け、第2戦ではアジアチャンピオンを擁する日本男子中長距離チームの好成績に期待したい。

出場予定選手発表 ネーションズカップ第2戦(エジプト・カイロ)

「第1戦メダリスト」からの出場者

オランダ

ヤン ウィレム・ファンシップ, van SCHIP Jan Willem, ヨエリ・ハビック, HAVIK Yoeri, NED, 男子マディソン, MEN'S Madison 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

マディソンにて銀メダルを獲得したヨエリ・ハビックとヤン ウィレム・ファンシップが第2戦にもエントリー。

Men’s Point Race, 2023 UEC Track European Championships

ポイントレースの現世界チャンピオンであるヨエリ・ハビックは、第1戦にてエリミネーションの銅メダルも獲得している。

ヤン ウィレム・ファンシップ van SCHIP Jan Willem, NED, ヴィンセント・ホペザック HOPPEZAK Vincent, BCC, Point race, Men's Omnium, 2022 Track Nations Cup, Milton, Canada

(左)ヴィンセント・ホペザック(右)ヤン ウィレム・ファンシップ

その他オランダのUCIトラックチーム「BEAT CYCLING CLUB」に所属するヴィンセント・ホペザックらがエントリーしている。

デンマーク

チームパシュートを制したデンマークからも、トビアス・ハンセン、ロビン・スキーヴィル、カールフレデリック・ビーボルト、ラスムス・ペダーセンの優勝メンバーがフル参戦。

トビアス・ハンセン, HANSEN Tobias, DEN, 男子オムニアム表彰台, MEN'S Omnium Podium, 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

なかでもトビアス・ハンセンは、オムニアムでも優勝し大会2枚目の金メダルを手にしている選手。

オムニアムは1日に4種目を走り、その総合成績を競う過酷なレースだが、3種目目までの5位から最終種目のポイントレースにて順位を4つ上げる走りを見せ見事優勝。強靭な精神力も兼ね備える2002年生まれの若手選手だ。

ドイツ

テオ・レインハート, REINHARDT Theo, GER, 男子マディソン, MEN'S Madison 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

テオ・レインハート

2018・2019の世界選手権にてマディソン2連覇を達成したロジャー・クルーゲとテオ・レインハートのコンビ。

ロジャー・クルーゲ, KLUGE Roger, テオ・レインハート, REINHARDT Theo, GER, ヤン ウィレム・ファンシップ, van SCHIP Jan Willem, ヨエリ・ハビック, HAVIK Yoeri, NED, アーロン・ゲイト, GATE Aaron, キャンベル・スチュワート, STEWART Campbell, NZL, 男子マディソン表彰台, MEN'S Madison Podium 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

第1戦でも2位に14ポイント差、3位に38ポイント差をつけ優勝。再び世界一に輝くべく、勢いにの乗るドイツペアに注目だ。

「2023ネーションズカップ」初参戦

アメリカ

ゲイビン・フーバー, Gavin HOOVER, USA, UCI Track Champions League, Round 4 London

2021年の「トラックチャンピオンズリーグ」で男子中長距離の初代総合王者に輝いたゲイビン・フーバー。2022年のネーションズカップでは金メダルにあと一歩迫る活躍を見せた。

2022年の主な成績
「ネーションズカップ第2戦」オムニアム2位、エリミネーション3位

フランス

ドノヴァン・ゴロンダン, GRONDIN Donavan, ベンジャミン・トマ, THOMAS Benjamin, FRA, Men's Madison, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

(左)ベンジャミン・トマ(右)ドノヴァン・ゴロンダン

強豪フランスからはドノヴァン・ゴロンダンが、第2戦にて初出場。東京2020オリンピックでマディソンの銅メダルを獲得し、2022年の世界選手権ではマディソンで世界チャンピオンになっている。

2022年は「Team Arkea – Samsic」の所属選手として主にロードで活躍しながらも、『UECヨーロッパ選手権トラック』などでメダルも勝ち取っている強豪選手だ。

その他フランスからは以下の注目メンバーらが、第1戦に引き続きエントリーしている。

第1戦から引き続き出場する注目選手

選手名 『2023ネーションズカップ第1戦』成績 2022年の主な成績
トマ・ブダ オムニアム6位
エリミネーション5位
「ネーションズカップ第1戦」マディソン優勝
「ヨーロッパ選手権」マディソン2位
トーマス・ドゥニス チームパシュート5位 「ネーションズカップ第1戦」チームパシュート 優勝
「ヨーロッパ選手権」チームパシュート 優勝
コランタン・エルメノー チームパシュート5位 「ネーションズカップ第1戦」個人パシュート優勝
「ネーションズカップ第1戦」チームパシュート優勝

クラウディオ・イムホフ(スイス)

クラウディオ・イムホフ, Claudio IMHOF, SUI, UCI Track Champions League, Round 5 London

クラウディオ・イムホフ

2022年の主な成績
「トラックチャンピオンズリーグ」総合優勝

女子中長距離

女子中長距離

日本

古山稀絵, 垣田真穂, 女子マディソン, WOMEN'S Madison 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

古山稀絵、垣田真穂がエントリーしている日本チーム。

日本新記録を打ち出したチームパシュートへの出場はないが、オムニアム・マディソンのオリンピック種目、そしてエリミネーションでの活躍に期待したい。

「第1戦メダリスト」からの出場者

ニュージーランド

第1戦にて4種目のうち3種目の金メダルを勝ち取ったニュージーランド女子中長距離チーム。

そのうちの1つはチームパシュート。2位のフランスに4秒差をつけて優勝を果たした。メンバーの1人であるブライオニー・ボサは、個人パシュートにて『2022世界選手権』で銀メダル、『2022コモンウェルスゲームズ』で金メダルを獲得した選手だ。

アリー・ウォラストン, WOLLASTON Ally, NZL, 女子オムニアム表彰台, WOMEN'S Omnium Podium, 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

そして同じくチームパシュート優勝メンバーの1人であるアリー・ウォラストンはエリミネーションとオムニアムも制し、残りの2つの金メダルを獲得した。

2022年には「オセアニア選手権トラック」にて3冠を達成しつつ、ロードでも活躍。第2戦でも22歳の若手アリー・ウォラストンの走りに要注目だ。

ロードと二刀流の選手も活躍、パリへ向け国内選からスタート/2023年ニュージーランド国内選手権(マディソン ・オムニアム)

デンマーク

アマリー・ディデリクセン, DIDERIKSEN Amalie, ジュリー・レス, LETH Julie, DEN, 女子マディソン, WOMEN'S Madison 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

『2022世界選手権トラック』のマディソンにて銅メダルに輝いたジュリー・レスとアマリー・ディデリクセン。

第1戦でもマディソンに出場したデンマークコンビは、唯一ラップ*を成功。2位に10ポイント差をつける走りを見せ優勝を勝ち取った。悲願のオリンピック金メダル獲得を目指し、第2戦にも参戦予定だ。

※ラップ:メイン集団に1周差をつけること

フランス

第1戦では3種目にて銀メダルを獲得したフランス女子中長距離チーム。

オムニアムではクララ・コッポニ、マディソンではバレンタイン・フォルタンとマリオン・ボラスが銀メダルを獲得。

バレンタイン・フォルタン, FORTIN Valentine, マリオン・ボラス, BORRAS Marion, FRA, 女子マディソン, WOMEN'S Madison 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

そこへ、UCIウィメンズワールドチーム「Cofidis」に所属しロードでも活躍するヴィクトワール・ベルトが加わり、チームパシュートでも銀メダルを獲得。

中長距離のオリンピック全3種目にて強豪選手を擁するフランス。自国開催のオリンピックに向け、金メダル獲得を狙う。

オランダ

アリー・ウォラストン, WOLLASTON Ally, NZL, ネア・エバンス, EVANS Neah, GBR, マリット・ライマーカス, RAAIJMAKERS Marit, NED, 女子エリミネーション表彰台, WOMEN'S Elimination Podium 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

エリミネーションにて銅メダルを獲得したマリット・ライマーカスがオランダからエントリー。

UCIウィメンズワールドチーム「Human Powered Health」に所属しロードでも活躍する選手。2022年には「ツール・ド ・フランス ファム」にも初出場を果たしている。

「2023ネーションズカップ」初参戦

イタリア

エリサ・バルサモ BALSAMO Elisa, キアラ・コンソーニ CONSONNI Chiara, ITA - Italy, Women's Madison, 2022 Track Nations Cup, Milton, Canada

イタリアからはキアラ・コンソーニが「2023ネーションズカップ」初参戦。2022年にはチームパシュートにて世界一に貢献。ネーションズカップでも第2戦にてマディソン・チームパシュートの金メダルを獲得している。

UCIウィメンズワールドチーム「UAE TEAM ADQ」に所属し、ロードでも活躍する選手であり、2022年には「ジロ・デ・イタリア ドンネ」などでステージ優勝を経験している。同じくトラック・ロードで活躍するシモーネ・コンソーニとは兄妹。

アメリカ

ジェニファー・バレンテ, VALENTE Jennifer, USA,Women's Omnium, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

東京2020オリンピックのオムニアム金メダリストであり、同種目の現世界チャンピオンであるジェニファー・バレンテがエントリー。

2023シーズンよりアメリカチームの「トラックサイクリングディレクター」に就任したクレイグ・グリフィン(元日本中長距離ヘッドコーチ)らのもとでオリンピック2連覇を狙う。

その他東京オリンピックにてロード・トラックの2競技に出場したクロエ・ダイガートもエントリー。ロードでも活躍する傍ら、東京オリンピックではチームパシュート銅メダルに貢献。

しかし「2020世界選手権ロード」にて負った怪我の症状が再発したことで、2021年9月に治療・回復に専念することを発表。

クロエ・ダイガート世界選ロード出場を断念「80%ではスタートに立てない」東京オリンピック銅メダリスト

さらに2022年11月、心臓に関わる手術を行ったことを自身のSNSにて告白。レースの舞台からはしばらく退いていた。

無事『2023ネーションズカップ第2戦』に出場することができれば、約1年半に及ぶ治療・リハビリ期間からの復帰戦となる。

その他の注目選手

ドイツ

フランチスカ・ブラウス, BRAUSSE Franziska, GER, ブライオニー・ボサ, BOTHA Bryony, NZL, Women's Individual Pursuit, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

フランチスカ・ブラウス

選手名 2022年の主な成績
フランチスカ・ブラウス 世界選手権・個人パシュート優勝
ネーションズカップ第1戦・個人パシュート2位
ネーションズカップ第1戦・チームパシュート優勝
ヨーロッパ選手権・チームパシュート優勝
リサ・クレイン ネーションズカップ第1戦・チームパシュート優勝
ヨーロッパ選手権・チームパシュート優勝
マイキ・クローガ ヨーロッパ選手権・チームパシュート優勝
ヨーロッパ選手権・個人パシュート優勝
ヨーロッパ選手権・チームパシュート優勝
ローラ・ズイスミルヒ ネーションズカップ第1戦・チームパシュート優勝

ポルトガル

マリア・マルティンス, MARTINS Maria, POR,Women's Omnium, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France
選手名 2022年の主な成績 2023ネーションズカップ第1戦の成績
マリア・マルティンス 世界選手権・オムニアム3位 エリミネーション17位

ノルウェー

アニータ イボンヌ・ステンバーグ STENBERG Anita Yvonne, NOR, Women's Omnium, 2022 Track Nations Cup, Milton, Canada
選手名 2022年の主な成績 2023ネーションズカップ第1戦の成績
アニータ イボンヌ・ステンバーグ ヨーロッパ選手権・スクラッチ優勝 オムニアム6位
エリミネーション21位

その他「2023ネーションズカップ」に関する記事はコチラ

2022年に開催された主要大会のメダリストは以下記事をチェック

『2022世界選手権トラック』
『2022ネーションズカップ第1戦』, 『2022ネーションズカップ第2戦』, 『2022ネーションズカップ第3戦』
『2022コモンウェルスゲームズ』
『2022 UECヨーロッパ選手権トラック』
『2023 UECヨーロッパ選手権トラック』
『2022トラックチャンピオンズリーグ』