意外にも、世界記録は更新ナシ

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日本チームの歩み、世界の歩み

梅川風子 UMEKAWA Fuko, 太田りゆ OHTA Riyu, 佐藤水菜 SATO Mina, JPN - Japan, First Round, Women's Team Sprint, 2022 Track Nations Cup, Milton, Canada

現在の世界記録は「46秒064」。それを踏まえた上で、近年の日本チームの記録と世界の主要大会での記録を見ていこう。

日本チームの記録

大会名 レース・最終順位 出場選手 タイム 記録日
2020全日本選手権トラック 決勝・優勝 梅川風子
小林優香
太田りゆ
1:09.572 2020年11月5日
2021世界選手権トラック 予選 梅川風子
太田りゆ
佐藤水菜
49.178 2021年10月20日
1回戦 太田りゆ
佐藤水菜
梅川風子
48.622 2021年10月20日
決勝・4位 太田りゆ
佐藤水菜
梅川風子
48.612 2021年10月20日
2021全日本選手権トラック 決勝・優勝 梅川風子
小林優香
久米詩
49.802 2021年12月10日
ネーションズカップ第2戦 予選 梅川風子
太田りゆ
佐藤水菜
49.510 2022年5月12日
1回戦・6位 太田りゆ
佐藤水菜
梅川風子
48.986 2022年5月12日
2022アジア選手権トラック 予選 太田りゆ
小林優香
佐藤水菜
50.455 2022年6月18日
決勝・2位 太田りゆ
小林優香
佐藤水菜
49.973 2022年6月18日
2022全日本選手権トラック エキシビション 太田りゆ
佐藤水菜
梅川風子
48.720 2022年8月26日

世界の主要大会での記録

大会名 大会ベストタイム 記録国 出場選手
ネーションズカップ第1戦 47.406 カナダ ローリン・ジェネスト
ケルシー・ミシェル
サラ・オルバン
ネーションズカップ第2戦 46.807 ドイツ リー ソフィー・フリードリッヒ
ポーリン・グラボッシュ
エマ・ヒンツェ
ネーションズカップ第3戦 46.871 中国 グオ・ユーファン
ユアン・リイン
チャウ・リンイン
2022オセアニア選手権 47.589 ニュージーランド エルレス・アンドリュース
オリビア・キング
レベッカ・ペッチ
2022アジア選手権 49.685 韓国 チョ・ソニョン
パク・ジヘ
ファン・ヒョンセオ
2022パン・アメリカ選手権 47.968 カナダ サラ・オルバン
ケルシー・ミシェル
ローリン・ジェネスト

※『2022UECヨーロッパ選手権』では、1周200mのベロドロームが会場となり、チームスプリントは600m(3周)で行われたため今回は割愛する。

46秒〜47秒台での戦いとなっている世界に対して、日本の最高記録は48秒612。今一歩届かないものの、平均的なタイムを引き上げている点には期待が持てる。

今のタイムで世界選手権のランキングの何位に入れるか、が焦点となる。

強い国って、どこ?

では世界選手権女子チームスプリントで注目しておきたい国がどこなのか、確認しておこう。

世界記録保持者・ドイツ

2022年のネーションズカップ全3戦と主要大陸選手権でのベストタイムをピックアップすると、やはり最速は世界記録保持者のドイツ。ネーションズカップ第2戦では、46秒台を連発する安定の強さを示した。

2人制の王者・中国

中国チームによるネーションズカップ第3戦での「46秒871」というタイムも目を引く。従来の2人制チームスプリントでは世界記録を保持している中国女子短距離チームに、オランダの元スター選手であるテオ・ボスがコーチとして加わったこともあってか、その他の大会でも好タイムを複数回叩き出している。

鮑珊菊 バオ・シャンジュー Bao Shanju (CHN), 鍾天使 ゾン・ティエンシー Zhong Tianshi (CHN), Women's Team Sprint Qualifying AUGUST 2, 2021 - Cycling : during the Tokyo 2020 Olympic Games at the Izu Velodrome in Shizuoka, Japan. (Photo by Shutaro Mochizuki/AFLO)

粒揃いの「47秒台」組

その他、ネーションズカップ第1戦とパン・アメリカ選手権でベストタイムを記録したカナダチームや、オセアニア選手権やコモンウェルスゲームズにて47秒台を連発し優勝しているニュージーランドが注目株。

コモンウェルスゲームズ予選 , 決勝

また、各大会のベストタイムこそ記録していないが47秒台を複数回記録しているオランダ・フランス・メキシコなども、『2022世界選手権トラック』でのメダル候補となる存在だろう。

「2022世界選手権トラック」が分かれ道

太田りゆ OHTA Riyu ジェイソン・ニブレット, JPN, 1/8 Finals, Women's Sprint, 2022 Track Nations Cup, Milton, Canada

チームスプリントでオリンピック出場枠を取ることができれば、自動的にケイリンとスプリントの枠も付与される。そのためパリオリンピックに向け重要視される種目ではあるが、場合によっては「ここで勝ち目はない」と見切りをつけ、個人種目の強化に専念することも戦略の一つとなる。

2022年8月末に行われたナショナルチームの記者会見の中で、ジェイソン・ニブレット短距離コーチは本種目の今後に関して、『2022世界選手権トラック』で8位以内に入ることを、同種目の強化継続の条件として語っていた。

10月の世界選手権から、オリンピックへの戦いは始まっている トラックナショナルチーム戦略記者会見

パリオリンピックは2年後となるが、10月12日から開催される世界選手権での結果によって女子チームスプリントの強化を継続するか、それとも継続せず個人種目に専念するかが決まってくる。

新たなフォーマットが導入され、まだ歴史の浅い女子チームスプリント。しかし、今後の日本チームの行方に重要な影響を及ぼす最初の関門が、『2022世界選手権トラック』としてさっそく立ちはだかる。

本大会を観戦するにあたり、1つの大きな注目要素となるだろう。

【日本時間入り】2022世界選手権トラック 大会タイムスケジュール/2022年10月12日〜15日・フランス