チャンピオンズリーグは「トレードオフ」?
Q:世界選手権の結果を受けてチャンピオンズリーグへの招待が来たかと思いますが、受け取った時はどう感じました?
正直、戸惑いました。良い経験ができることは確実で喜びも大きかったのですが、世界選手権までバタバタしていてトレーニングをきちんと詰めていませんでした。この状態で行ってもどうなのかな、という考えがありました。
チャンピオンズリーグに行ってみた結果、序盤は良かったけど練習ができなくて徐々にコンディションが下がっていきました。体力が一時的に落ちることは予想がついていましたね。もちろんチャンピオンズリーグに行ったことは良かったですけれど、国内でトレーニングをする道もあったと思います。
Q:経験としてはプラスだけど、トレーニングの積み上げとしては一旦クリアになってしまった。トレードオフという感じでしょうか。
トレードオフでしたね。エリミネーションとスクラッチをたくさん走って、他では得られない経験を積むことができました。日本ではできないことです。海外の短距離・中長距離の選手とも仲良くなれて、それは良かった点だと思います。
Q:仲良くなった選手というと、例えば?
ポルトガルや、イタリアやスペイン……あのあたりの選手とは結構コミュニケーションを取りました。
車もない、運転できる人も誰もいない!
Q:期間中に楽しかったことを1つ挙げると、なんですか?
自炊とかですかね。みんなといろいろと言い合いながらやるのは楽しかったなと思います。
Q:では、ハプニングは?
う〜ん、予定が詰まっていて駆け回っていたので……忙しかったですね。中長距離も短距離も練習が組まれていて、移動しても練習するし、車もなかったし、誰も国際免許を持っていってなかったし……
雪です❄️最高👍 pic.twitter.com/LVISEnK7e4
— 窪木一茂 / Kazushige Kuboki (@kakka0606) November 26, 2021
Q:そうですよね、世界選手権に集中していて、チャンピオンズリーグに招待される可能性はありましたが、そこまで気が回らないですよね。
そうなんです。そういうこともあって、可能な限りみんなで一緒に行動していました。4ヵ国を巡る中、ワクチンパスポートや入国のこともある。そういう自転車以外のことが大変でした。みんなで協力して乗り切った感じです。
短距離特有の闘争心
Q:何週間もナショナルチームのサポートなしで一緒に行動することは、なかなかないですよね。
短距離メンバーと一緒にいる中で、短距離の練習の質だとか、短距離コーチたちが考えていることなどを知る、そのことは自分にとって今後のために大きかったです。移動したら必ずウェイトをするだとか、負けん気の強さとか……
Q:中長距離とは違いますか?
違いましたね。競輪選手という肩書きもあってか、中長距離には無いギラギラした感じがありました。女子2人の話を聞いていて感じましたね。闘争心がすごいなと思いました。
Q:闘争心は窪木選手にもあるのではないですか?
それはそうなのですが、中長距離はチームが同じ(男子はほとんどがチームブリヂストンサイクリング所属)だからあまりそういった面が出ないのかなと思います。個としての主張があるのは良いことです。
僕自身としては何年も前から敢えて発言するようにしていて、チームパシュートで大会に出場できるよう、チームブリヂストンサイクリングでハッパをかけたりしていました。でも若い選手はそうでない選手が多いです。出来高でお金が稼げるわけでもないし、環境的なものもあるかと思います。
Q:統括して、チャンピオンズリーグは行ったほうが良いでしょうか?
行ける機会があれば、絶対行った方が良いですね。終わった直後は「次はもういいかな」と思いはしたのですが、1回目を踏まえているからこそ「ああできたな、こうできたな」があるので、次に招待をいただけるのであれば、また行きたいと思います。
競輪選手として、そして2024パリオリンピックを目指す自転車競技の選手として、窪木一茂の新たな1年は始まっている。