新人の多いプロトン
序盤から逃げ切り勝利が成立してしまった理由には、単純に逃げ集団を追いかけるメイン集団の総合的な“力”が、他のグランツールと比べて低いことが挙げられる。
すでにシーズンは終盤。これまでに他のグランツールを走った選手たちも多く、ベテランであっても体力を残していないことが多い。 また、ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアと比べ、出場する選手の年齢層が低く、またグランツール初挑戦という選手の数も多いのがブエルタの特徴だ。
今年のブエルタ序盤で総合リーダーを擁し、メイン集団を牽引する義務を負う場面の多かったチーム スカイとグルパマ・FDJも、平均年齢がツールのときよりも低く、グランツール初出場となる若手選手の数も多かった。 結果的に、メイン集団の、逃げを追いかける力量がツールのときよりもぐっと弱まっているのは間違いない。これが、大きな逃げを許す要因となっていた。
プロフィールにない登り
また、事前に公式から発表される公式プロフィールでは分かりづらい登りや、等級がつけられていないのに十分に厳しい登りの存在がある。これもブエルタの特徴のうちの一つだ。
コースごとに縮尺も異なり、パッと見の印象だけでは標高を推測することもままならないブエルタ公式のコースレイアウトは、逃げを捕まえようと考える選手たちや監督の戦略を混乱させてしまうことも多い。
第5ステージはともすればスプリンターたちによるフィニッシュ争いにもなりえたステージではあったが、序盤の激しいアタック合戦の影響もあり、結果的にサイモン・クラークが6年ぶり2度目のブエルタ逃げ切り勝利を果たした。