今年のブエルタ・ア・エスパーニャの第1週は、平穏なまま過ぎ去った。

各ステージのレイアウトも例年と比べると比較的大人しく、リタイア者の人数も、第9ステージを終えた時点でたったの1名と、非常に少なかった。同じタイミングで9名ものリタイア者を出していた今年のツール・ド・フランスと比べると、今回のブエルタがいかに落ち着いた1週目を過ごしていたかがよく分かる。

そんなブエルタ第1週目を象徴するのが、“逃げ切り勝利の多さ”である。

最初の休息日までに9ステージが消化されたが、ベンジャミン・キング(アメリカ/チーム ディメンションデータ)が第4ステージと第9ステージを、サイモン・クラーク(オーストラリア/EFエデュケーションファースト・ドラパック)が第5ステージを、そして第7ステージは残り2kmからアタックを掛けたトニー・ガロパン(フランス/AG2R ラモンディアール)が勝利し、すでに4度の逃げ切り勝利が発生している。

逃げ切り勝利は大きなタイム差がつくことが多いため、その結果、逃げた選手が総合リーダージャージ(マイヨ・ロホ)を着用する例も珍しくない。 1週目から大きなタイム差のある逃げ切りは、他のグランツールではほぼ見られない。なぜ、そんなにもブエルタは大逃げを許してしまうのか?ブエルタに特有の理由から、今年のブエルタならではの要因まで。 考察しつつ、今年のブエルタ第1週を振り返っていくこととしよう。

背景にはブエルタならではの特徴が・・・