11月5日〜8日にかけて群馬県前橋市・ヤマダグリーンドーム前橋にて開催予定の『2020全日本自転車競技選手権トラック』。
この大会の正式名称は『第89回 全日本自転車競技選手権大会 トラック・レース(エリート・パラサイクリング)』だ。この大会ではエリートカテゴリのトラック競技、パラサイクリングも実施される。
大会数の少ないトラック競技だが、パラサイクリングともなると、さらに目にする機会が少なくなる。その貴重な機会となる今大会で、パラサイクリングも一緒に楽しんでもらうためのとっかかりとしてこの記事をお読みいただければ幸いだ。
パラサイクリングってどんなもの?
障害を持つ選手による自転車競技「パラサイクリング」。参加する選手の障害の種類は大まかに四肢障害(切断、機能障害)、脳性麻痺、視覚障害、下半身不随に分かれ、その度合いによってさらに分類される。
詳細についてはこちらの記事を見ていただくとして・・・
ここでは『2020全日本選手権トラック』の実施要項で「パラサイクリング申込基準」として明記されている内容から、その特性をご紹介しよう。
診断書によるクラス分け
申込基準には「医師による診断書(MDF_PI/MDF_VI)の提出を含む正式なクラス分けをまだ受けたことのない選手は、必ずクラス分けを受ける必要があります」とある。
前述したように、パラサイクリングでは障害の種類・度合いによってクラス分けされる。その程度により係数が加算され、係数加算後のタイムが最終結果となる。この「クラス」は「自転車に乗る能力」をUCIの基準に則って判断するもので、障害者手帳の等級などとは関連しない。
「医師による診断書(C、H、Tクラス)」のフォーマットを見てみると、「障がい種類(筋力低下、運動失調、脚長差 など)」「障がいの状態(治療中、進行性、変動がある など)」「その他症状(視覚障がい、呼吸器疾患、筋力の持久性低下 など)」等の項目があり、これらを医師の判断で記入するようになっている。
クラス分けを受けたことのない選手は、事前にこの診断書を提出した上で、競技の前日にクラス分けを受けることとなる。
パラサイクリングでは各選手のできること、できないことを明確な基準で判断した上で、それぞれのクラスの中で全力を尽くす。仮に症状が進行して以前のようなパフォーマンスができなくなったとしても、別のクラスで頑張ればいい・・・そのようなことが実現可能な構造になっているのだ。