パラサイクリング。「障害を持つ人たちの自転車競技のことだろう」と推測できる人は多いだろうが、その詳しい内容については以外に知らない人も多いのでは?

この記事ではパラサイクリングについてご紹介。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年。「なんとなく」でしか知らなかったパラサイクリングを知るのには絶好のタイミングだろう。

パラサイクリングのクラス分けとは?

パラサイクリングはUCI(国際自転車連合)の規定する競技規則のもと行われる障害者の自転車競技であり、選手は障害の種類と使用する自転車により4つのクラスに分けられ、さらに障害の度合いにより分類される。参加する選手の障害の種類は大まかに四肢障害(切断、機能障害)、脳性麻痺、視覚障害、下半身不随がある。

各選手は障害、程度により適合する競技クラスに分類され、競技を行う。同じクラス内では数字が小さいほど重度の障害となる。クラス分けは「自転車に乗る能力」をUCIの基準で判定するため、障害者手帳の等級などとは関連しない。

クラス(障害の重度)により係数が加算され、係数加算後のタイムが最終結果となる。

障害クラスごとに異なる自転車を使用することが大きな特徴。選手には自転車の持つ性能を最大限に引き出す技術の習得も要求される。基本的に競技ルールは健常とほぼ同じだが、障害に合わせて自転車を改造することも認められている。

Cクラス(通常の二輪自転車)

切断、機能障害、麻痺などの四肢の障害。
障害の程度によりC1〜5に分類され、C5が最も軽度の障害となる。
競技用の二輪自転車を使用するが、安全確保のために各選手の障害に合わせた改造(ハンドルの形を変える、ペダルに義足を固定できるようにする)などが認められている。

Tクラス(トライシクル(三輪自転車))

Photo by Christopher Lee/Getty Images for British Cycling

麻痺などの重度の四肢障害。
障害の程度によりT1、T2に分類され、T2が軽度。
使用するのはバランスが取りやすく安定感のあるトライシクルだが、車幅があるためコーナーや追い抜きでの操作テクニックも要求される。

Bクラス(2人乗り用タンデム自転車)

視覚障害。
前に健常の選手(パイロット)、後ろに視覚障害の選手(ストーカー)が乗る。
前後のペダルは連動しており、加速や減速のタイミングを合わせるなど2人のコンビネーションが要求される。

Hクラス(ハンドサイクル)

Photo by Christopher Lee/Getty Images for British Cycling

下半身不随など。
障害の程度によりH1〜H5に分類され、H5が軽度。
仰向けで乗るタイプと、膝をついて前屈みに乗り体重をかけて漕げるタイプの2種類があり、前者はH1〜4の選手、後者はH5の選手が使用する。

パラリンピック競技:自転車競技|東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

オリンピックで開催されるパラサイクリング競技