第16ステージ:「ツール史上最大の悲劇の地」で転落事故
第16ステージは最後の休息日が明け、いよいよ最終決戦の舞台・ピレネー山脈に到達する。農家による抗議活動の影響でレースが中断するトラブルから始まったこの日、逃げ切り勝利を狙いやすいステージということもあって、2時間を超える熾烈なアタック合戦の結果、50名近い大規模な逃げ集団が形成された。
山岳賞ジャージを着るジュリアン・アラフィリップや、22ポイント差でアラフィリップを追う昨年の山岳賞ワレン・バルギル(フランス/フォルテュネオ・サムシック)。その他、バウケ・モレマ(オランダ/トレック・セガフレード)やアダム・イェーツ(イギリス/ミッチェルトン・スコット)など、総合優勝争いから脱落したエースクライマーたちが、残り数少ないステージ勝利のチャンスを狙って逃げ集団に入り込んだ。
最初に抜け出したのはフィリップ・ジルベール(ベルギー/クイックステップ・フロアーズ)。2級山岳ポルテダスペも単独トップで山頂通過を果たし、7年ぶりとなるツール・ド・フランスの区間勝利を目指して快走を見せていた。
しかし、1995年に起きた「ツール史上最大の悲劇」とも言われる、ファビオ・カサルテッリが事故死した下りで、コントロールを失って崖下に転落するアクシデントが発生。
ツール・ド・フランス2018 第16ステージ カサルテッリの転落 1:38〜
ジルベールはその後コースに引き上げられリスタート。流血しながらも完走を果たしたが、転落の影響で膝の骨折、この日を最後に大会を去ることとなった。
アダム・イェーツが転倒、惜しくも勝利を逃す
最後の1級山岳ポルティヨン峠の登りで、アダム・イェーツが独走を開始した。アラフィリップも2番手で山頂を通過して追走するも、なかなかその距離は縮まらない。
イェーツの勝利は揺るがないかのように思えたが、下りの途中、ヘアピンカーブにて転倒。
ツール・ド・フランス2018 第16ステージ イェーツの転倒 2:36〜
慌ててバイクに跨り復帰しようとしたが、後ろから猛スピードで下ってきたアラフィリップに追い抜かれ、チームにとっての今大会初勝利を惜しくも逃すこととなった。
そして、アラフィリップは今大会2度目の勝利を納め、マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュを着てのステージ優勝となった。クイックステップフロアーズとしては、今年52回目の勝利となった。