第17ステージ:5年ぶりにナイロ・キンタナがステージ優勝
開幕前から話題を集めていた「65km超短距離山岳ステージ」。65kmという短い距離の中に厳しい山岳が3つも詰め込まれたハードなステージとなった。
この日はこれまで前例のない「グリッドスタート形式(タイムが良い順に、前から後ろへ並んでスタートする)」が取り入れられた。
しかし選手同士の距離が近すぎたなど、様々な要因が重なったおかげで、選手たちはいつも通りの雰囲気でスタートを切っていた。
逃げ集団から抜け出したタネル・カンゲルト(エストニア/アスタナ・プロチーム)が単独で1つ目の1級山岳ペイラギュードを先頭通過。ペイラギュードを2番手通過したアラフィリップは、クリスチャン・デュラセック(クロアチア/バーレーン・メリダ)と共に追走し、下りでカンゲルトに追い付く。続く1級山岳ヴァル・ルーロン・アゼ峠を先頭で通過した。
メイン集団でも、AG2Rラモンディアルやモビスター・チームが積極的に先頭でペースアップし、集団を小さく絞り込む。
新人賞ジャージを着るピエール・ラトゥールや、今年のパリ~ニース総合優勝のマルク・ソレル(スペイン/モビスター・チーム)など、若手の注目選手がそれぞれのエースのために献身した。
ツール・ド・フランス2018 第17ステージ ラスト1km
最後の超級ポルテ峠で再びカンゲルトが独走に入る。メイン集団からもダニエル・マーティン(アイルランド/UAEチーム・エミレーツ)とナイロ・キンタナ(コロンビア/モビスター・チーム)が抜け出し、やがてキンタナが単独で先頭カンゲルトを追走するアレハンドロ・バルベルデ(スペイン/モビスター・チーム)や ラファウ・マイカ(ポーランド/ボーラ・ハンスグローエ)と合流した。
喰らいついてきたマイカを突き放し、キンタナがポルテ峠の山頂に1番で乗り込み、5年ぶりとなるツール・ド・フランスのステージ勝利を果たした。
かつて、総合2位と新人賞を2度獲得し、「クリス・フルームを打ち倒す」と期待されていた中で、今年も結果を出せずこの時点で総合8位に沈んでいた。だがこの日、ようやく勝利を手にした。
ゲラント・トーマスが総合優勝の可能性が見えたステージ
メイン集団では総合7位のスティーヴン・クライスヴァイク(オランダ)と総合4位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)のチーム・ロットNLユンボのコンビが次々とアタック。ゲラント・トーマスは難なくこれを抑え込むが、総合3位のフルームがついていけず遅れることに。
チームメートのエガン・ベルナル(コロンビア)がフルームを引っ張り上げて集団に戻したものの、その瞬間にデュムランがペースアップ。これでフルームは完全に脱落した。
それでも、トーマスは盤石だった。最後にはログリッチェ、デュムランを突き放し彼らに5秒差をつけてゴール。トーマスの総合優勝の可能性が大きく広がったステージとなった。