女子
女子は小林優香選手、太田りゆ選手、前田佳代乃選手の3人がトラックワールドカップ第1戦へ出場した。
ケイリン
第1戦で特筆すべき結果は、ワールドカップ初参戦の小林優香選手が7位となり、高いポテンシャルを見せた点だ。
ブノワ体制でのトレーニング期間はまだ短いことを考えると、先行きに大きな期待を抱かせる。前に出て戦う勇気がある選手なので、あとは経験を重ねればコンスタントに更に上の結果を狙うことができるはずだ。
チームスプリント
前田佳代乃、太田りゆ選手が予選で34秒257を出し、日本記録を更新。これまでに一度も二人で合わせて走ったことがない、ぶっつけ本番の様な状態で2人がレース前に掲げていた“日本記録の更新”という目標を達成したのは称賛に値する。ただし、結果の面では予選敗退であり世界レベルからは大きく離されている状態である事も事実である。
ブノワ監督にとって、男子と比べて女子の悩みどころはチームスプリントの「位置付け」だろう。2020年東京オリンピックまであと3年と考えると、種目を絞って強化していくのか、それともチームスプリントを含めた3種目(チームスプリント、スプリント、ケイリン)をバランス良く鍛えていくのか。
太田りゆ選手はこれからの選手。弱冠23歳、競輪学校を今年に卒業したばかりである。第1戦のケイリンで見せたように積極的な戦いを続け、経験を積み上げることで、更に能力を伸ばしていってもらいたい。
女子の中で最も経験が多い前田佳代乃選手は、小林、太田選手とチーム内での競争を経て、更なるレベルアップを図れるかどうかが今後の課題か。女子短距離選手の中では最年長だが、まだ26歳。2020年までにどこまでパワーアップできるか。
クリスティーナ・フォーゲルが優勝、小林優香と前田佳代乃は1回戦敗退/2017-2018トラックワールドカップ第1戦女子スプリント
第2戦からは中距離チームも参戦
第2戦では、10月に中距離ヘッドコーチへ就任したばかりのイアン・メルビン率いる中距離チームも合流する。第2戦では、新体制下の中距離選手たちが世界を相手にどこまで戦えるのか、また結果を受けてイアンコーチがどのような課題を見つけるかにも注目だ。
選手層の厚いオランダ、最強軍団ドイツ、不気味なイギリス勢
海外選手へ目を向けると、気になるのはオランダだ。ここ数年、若手の台頭が目立つオランダだが、ナショナルチーム以外にもトレードチームとして参戦するBEAT CYCLING CLUBから出場、競輪でもお馴染みのテオ・ボス、マティエス・ブフリ選手を含め、死角がない陣容。
第1戦では、若手中心のオランダナショナルチームはチームスプリントで優勝。BEAT CYCLING CLUBもマティエス・ブフリ選手がケイリンで優勝し、とにかく選手層が厚い。
懸念点を挙げるなら、今のオランダナショナルチームを築き上げてきたレネ・ウォルフ元監督がチームを離れたこと。新たにチームを率いているのはビル・フック監督であり、これまで同様チームを右肩上がりに成長させることができるのか、その手腕に注目が集まっている。
また、ドイツチームは相変わらず短距離で驚異的な強さを見せている。2014、2015年に日本へ短期登録制度で来ていたシュテファン・ボティシャーも復帰間近ということで、彼が加わった場合、更に強力なチームとなる。第1戦で3冠達成、2017UECトラックヨーロッパ選手権でも大会2冠のクリスティーナ・フォーゲルを始め、女子も強いメンバーとなっている。
不気味なのはイギリス勢。リオデジャネイロオリンピックの出場メンバーがごっそりと抜けているのだ。単なる休養か、それとも来るべき時に備えて秘密の訓練中なのか、情報が出てこない。第2戦マンチェスターは自国でのワールドカップ開催とあり、スター選手が出てくる可能性はどうなのか?その点も注目ポイントだ。
Text : Mizuki Ida