S班復帰の瞬間なにを思ったか?

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松浦悠士の競輪道

Q:7月3日から、S班としての復帰戦となる小松島開催「阿波おどり杯争覇戦(G3)」が始まります。今この瞬間は、どんな心境ですか?

5月の骨折から『高松宮記念杯競輪』で復帰して、3走目ぐらいからは感触も良くなってきました。もちろんまだまだと感じる部分は多いですが、状態は上がってきているので楽しみですね。

Q:SS選手としての矜持、みたいなものもありますか?

うーん……「トップ選手にふさわしいレースをしたい」ということは考えます。

Q:どのようなレースが、「ふさわしい」と言えるのでしょうか?

やはり特に注目される立場なので、手本となるようなレースをしなくてはいけないですよね。たとえば、事故が起きないようにする、とか。

「クリーンに走ること」や「走りにこだわること」って、本当に力がなければできないことだと思うんです。力がない人間は、それ以前にとにかく勝ちを目指さないといけない。「自分の走りはこうだ」と言ったとしても、それで負けてたらしょうがないですからね。

人それぞれに“競輪道”があると思いますが、自分の競輪道に沿った走りができるのかどうか。そういう意味では、僕はまだ自分が理想とする走りができていない。それができて、初めてふさわしいレースができたと言えると思います。

Q:松浦さんが持つ競輪道とは、どのようなものなのでしょうか?

「ルールをしっかり守ったうえで、いかに綺麗に勝てるか」というのは、中心にある部分かもしれません。あとは、「ラインを大切にする」こと。“競輪道”って、その部分を指すことも多いんじゃないかと思います。ほかの選手とそこをすり合わせて、いかにラインとして強い競走ができるかが大事だと考えています。

自分の持ち味は、“仕掛けどころを逃さない走り”。残り1周・1周半の仕掛けどころを逃さずしっかり仕掛けて、最終バックを先頭で通過して、番手の選手とゴール勝負する。そういうレースが理想です。

Q:S班であることのプレッシャーは感じないですか?

1年間戦い続けるなかで、つねに100パーセントでいられるわけではないのも事実です。そういった時にも、注目を浴び続ける立場というのは難しいなと感じます。たとえば、「S級S班の松浦が勝ち上がりを逃した」とフィーチャーされてしまったり。

逆にいえば、しっかり力を発揮することができる状態であれば、プレッシャーというのはあまり感じないですね。

“草の根活動”が実を結んだ?

Q:つい先日、オールスターのファン投票結果発表がありました。ファン投票期間(4月11日〜5月11日)は、平原選手の引退も、もちろん松浦選手のSSも話に上がってない状態でしたが、最終結果は9位で「ドリームレース」の出場権を獲得。先ほどの競輪祭の話にもつながるかもしれませんが、ファンの期待も感じるのではないでしょうか?

票数を見て、すごく応援してもらってるんだなというのはあらためて感じました。トークショーを積極的にやってきたので、それも生きたのかなと思います(笑)

Q:草の根活動が(笑)

それこそグランプリ開催の時は、秋田でトークショーしていましたから(笑)。やっぱり、実際に応援してくれている方と直に触れ合うと自分の意識としても変わりますね。

Q:開催に行ってるときはなかなか難しいと思いますが、そういう時は全国津々浦々を楽しめる?

そうなんですよ。現地のおいしいものを食べたり、お土産を見るのもすごく楽しい。もちろん仕事なんですけど、リフレッシュになってるというか、楽しみでもあります。

Q:お好きな甘いものも探したり?

はい。ちょっと前に石狩に行ったのですが、そのときは甘いもの控えていたんです。もう一回石狩に行く機会があったら、いろいろ探したいですね(笑)。

S班であることの証明を

Q:S班に復帰して、狙うはもちろんグランプリですか?

選手をやっている以上は、G1タイトルを取る、そしてグランプリに出るというのが目標なのですが、赤パンを履いていることで、よりその気持ちが強くなるというのはありますね。
自分が今年のグランプリに出ることで、S班であることの証明になるというか、お客さんにも認めてもらえるのかなとも思います。

Q:2023年のグランプリの時にインタビューさせていただいた際、「向こう10年SSを」とお話をされていましたが、その思いは変わっていないですか?

半年空いてしまいましたが(笑)、変わっていないです。去年は出られなかったので、あと10回、グランプリに出続けたいと思います。

Q:これでS班に中四国エリアの選手が3人入ることとなりました。さらに、『高松宮記念杯競輪』でも連携した太田海也選手をはじめ、エリア全体で力のある若手選手も多数出てきている印象があります。

宮杯では、海也の強さを本当に感じました。僕たちも遅れないようにしなきゃいけないんですけど……まだまだラインで上手く走れてない部分があるので、伸びしろもあるなという感覚ですね。

一方で、素質のある選手というのは毎年出てきている中で、その選手たちがG1で本当に戦えるレベルまで行くことができるかどうか、ということが重要だと思います。
練習が強い選手ってたくさんいて、実際、僕よりも強いA級の選手もいっぱいいるんですよ。先ほど手本であるべき、というお話もしましたが、若い選手には機会があれば僕のことも頼ってほしいなと思います。

Q:そしてその先、2027年2月には広島競輪場で『全日本選抜競輪(G1)』の開催もあります。

そうですね。広島のみんなも強い意気込みを持っていると思いますが、自分がその中心となってやっていきたいです。

【競輪】松浦悠士が追加選出で“半年ぶり”のS級S班復帰 適用は2025年7月1日より

松浦悠士「あと10年はSSで!」信念を持って強さを極める KEIRINグランプリ2023 インタビュー