2024年5月16日に入所式を迎えた第127回・128回競輪選手候補生。18歳から31歳までの93人の競輪選手の卵たちは、さまざまな経歴・バックボーンを持っている。
この記事では第127回・128回選手候補生のうち、女子候補生から6人をピックアップ。バックボーンや選手になろうと思った理由を伺った。
ヨットからの転身 齊藤由莉
年齢は26歳、登録予定地は神奈川です。生まれ育ったのは北海道なんですが、ヨットをしていた関係で神奈川に住んでいました。小学校3年生から15〜6年ヨットをしてきました。
Q:ヨット競技って筋肉としてはどのあたりを使うものなんでしょう?
全身を使うとは思うんですが、養成所に来て思ったのは、上半身をよく使っていたんだなということ。握力なども必要とされます。
Q:どのくらいのレベルまでいったんでしょう?
競技人口が少ない種目ですが、昨年の夏までは海外を転戦し、オリンピックを目指すくらいのレベルでした。昨年夏に残念ながらヨットの活動を終わりにすることとなり、次の進路をどうしようかと考えていた時、たまたまお世話になっていたジムに競輪選手がいて「競輪もありかな」と思うようになりました。
その方に相談してガールズのトラックサイクリングキャンプに参加させていただき、やってみようと思うようになりました。
Q:受験対策について後輩へのアドバイスがあれば聞かせてください。
私自身全く分からない状態でここまできています。がむしゃらにひとりでやるというよりは、アドバイスをもらう、人の手を借りることが大事なのかなと思います。周りの力を頼って良いのかなと。
Q:適性試験で入所ということで、事前訓練にも参加したかと思います。
適性組の事前訓練ではたくさん周回したり、1kmサーキットをたくさん周回したり。とにかく乗り込む感じの期間でした。その期間を経て思ったのは「地脚寄りなのかな」ということでしたね。
Q:入所して何日か経っていると思いますが、今どうですか?
想像よりもかなり楽しくやらせていただいてます。意外と寝る時間が取れるなって印象です。キチキチ決まったスケジュールではあるんですけど、ご飯の後には必ず休憩できる時間が用意されている。いっぱいご飯を食べるので嬉しいです。ご飯も美味しいです!
Q:理想とする選手像のイメージはありますか?
尾崎睦選手……師匠でもあります。ビシバシ指導いただいているんですが、優しくて強い方。すごく憧れています。
BMXからトラックへ 酒井亜樹(大阪)
10歳から22歳、去年(2023)の4月までBMXレースをしていて、去年の4月にトラック競技に転向しました。
Q:トラック競技から競輪というのもまたひとつの決断だったかと思います。
ナショナルチームの先輩方は競輪選手がほとんどで、競輪とケイリンには似てるところもあります。自分も同じように競輪選手になることで学べることも多いと思うので、競輪選手になろうと思いました。
Q:ではお兄さん(拳蔵 大阪・109期)の影響はあまりない?
でも兄が競輪選手ということで、どんな職業なのか、どんな世界なのかということはすごくイメージを持っていました。スッと受け入れてチャレンジしてみようという気持ちになれましたね。
Q:これまでトラック競技ではチームスプリントの第1走として期待されてきましたが、今後は短距離全般をやっていきたいという気持ちでしょうか?
その辺りはコーチとの相談が必要ではあるんですが、今は全種目できるように練習しています。
Q:ジャパントラックカップ後の入所なので、入所してまだ2日です。ここまで過ごしてみてどうですか?
昨日の夜にやっとみんなと合流して食事も一緒にとりました。とにかく食事を出してもらえるのが嬉しい!それが最高だなって思ってます。
Q:お肉苦手なんじゃなかったでしたっけ?
トラック競技に来てから克服しました!お肉食べれる系です。
▼お肉苦手エピソードはこちら
Q:今後も競技は頑張っていくかと思いますが、養成所にいる間は養成所の練習だけになるのでしょうか?
第1回記録会が終わったらHPD教場ができると思うんですが、それに選んでいただいたらナショナルチームと一緒に練習させてもらえるのかなと思います。
Q:養成所への受験対策を聞かせてください。SPIで撃沈したという話は伺ってますが……
SPIは本屋さんで本を1冊買って結構やり込んだつもりだったんですが、結構難しくて、時間も全然足りないし……そこは撃沈だった感じでしたが、面接はナショナルチームの先輩方に付き合っていただいて練習できましたし、実技では外バンクで走った経験がなかったので、ジェイソン(・ニブレット短距離ヘッドコーチ)と北400バンクで2回練習しました。
Q:ナショナルチームの万全のサポートの上での合格ですね!
助けてもらいました(笑)
Q:BMX出身の子が競輪選手になろうと考えた際、どのようなことを伝えますか?
走り方がわかれば、そしてそれに慣れてしまえば、BMXの選手はある程度できるんじゃないかなと思います!
学連・中長距離で活躍 岩元杏奈
宮崎のど田舎で育ってきました。大学が日本体育大学で、4年間関東で生活。小中学校の頃はトライアスロンを少しやっていて、高校から本格的に自転車競技を始めました。
Q:中長距離をやりつつ、チームスプリントとかもやられてましたよね。
オールラウンダーで全部やってた形です。高校の時は短距離をメインにやってた……と言いたいところですが、ロードも走っていました。大学の4年間は主に中長距離を走っていて、大学を卒業してから短距離に完全に移行した感じです。
Q:競輪選手になろうと思ったタイミングはいつですか?
去年(2023)の5月ごろです。大学卒業後1年間会社員をやっていて、社会人をしながら競技を続けていました。国体や全日本選手権に出場もしていたんですが、周りと相談していく中で「自転車競技の経験を活かして稼げる競輪選手が良いんじゃないか」と思うようになり、5月ごろに受験を決めた形です。
Q:今後も競技を続ける意向はありますか?
今は考えていなくて、競輪一本にするつもりです。
Q:受験対策について教えてください。どのようなことに苦労しましたか?
大学の頃は結構ギアを踏んでいたんですが、受験の指定は比較的軽いギア。パワーマックスの一番軽いギアにした上で30秒もがきなどをひたすらやっていました。夏の室内練習はそれだけでしたね。男子選手が軽いギアでもがいている姿があったので、参考にしました。
とにかく回転を上げないといけない、自分の課題は回転を戻すことだ、と考えていました。軽いギアでひたすらもがく、バンクでも受験と同じギアでひたすらもがいていました。
Q:学生時代中長距離をやってたような子が競輪選手になろうとしている時、どのようなアドバイスをしますか?
やっぱり「できるだけ軽いギアでひたすらもがきなさい」になりますね。地元のアマチュアの選手にも、そういうことを話しています。