2024年3月29日、2024年後期(7月〜12月)の敵用級班が発表された。
これは2023年後期(7月〜12月)の競走成績に基づき決定されたもので、この発表により、トラックナショナルチーム所属で現在S級2班の太田海也&中野慎詞もS級1班に上がることがわかった。
S級1班とは?
競輪選手(男子)はその実力によって6つの級班に区分される。S級1班は、その中でもS級S班に次ぐクラス。2024年後期は211選手がS級1班となる。
なおトップクラスであるS級S班は選び抜かれた9人のみに許される称号のため、S級1班が「2番目のクラスだから劣る」ということは決してない。
トラック競技短距離男子の日本ナショナルチームメンバーのうち、小原佑太・山﨑賢人・太田海也・中野慎詞は競輪選手。小原&山﨑はもともとS級1班(そして継続してS級1班)だが、太田と中野は2024年前期はS級2班だった。
KEIRINグランプリへのチャンスが少ないナショナルチーム
ここで、トラックナショナルチームの2024年スケジュールをおさらいしておこう。
オリンピックで「どの種目に、何人出られるか」を決める選考大会が終了するのは4月。その後配分された枠に沿って「誰がオリンピックに出るのか」が協議され、6月ごろにオリンピック出場選手が決定する予定だ。
パリオリンピック本番は8月。全員がオリンピックに出られるわけではないが、代表選手に何かあった時のためのリザーブ(補欠)選手も必要なため、ナショナルチームのほぼ全員が8月までは競輪に出走しない見込みだ。
ちなみにオリンピックの終了が8月11日。G1レースである『オールスター競輪』は8月13日から。(かなり厳しいスケジュールだが)代表選手たちが競輪に復帰するのは早くてこのレースとなると考えられる。
競輪界最大のレースである『KEIRINグランプリ』に出場するには、年間6つのG1レースのいずれかで優勝する、もしくは賞金額上位となる必要がある。2024年の半分以上競輪に出走できないナショナルチームメンバーは、KEIRINグランプリ出場を目指すにはかなり不利な立場、というわけだ。
S級1班なら、一発逆転のチャンスも!?
ただし『KEIRINグランプリ2024』の出場条件には以下のような一文がある。
「パリオリンピック自転車競技ケイリン金メダル獲得者(選考時SSまたはS1在籍)」
……つまり、2024年後期でS級1班になれたことで、太田&中野にも「ケイリンで金メダルを獲ればグランプリに出られるかも!」というチャンスが生まれたこととなる。もちろん、2024年前期から継続してS級1班である小原・山﨑も条件は同様だ。
ナショナルチーム男子短距離のメンバー全員に「一発逆転グランプリのチャンス」が生まれた。
ヤンググランプリのチャンスは?
なお競輪選手としては121期生である太田&中野は、デビュー3年未満の若手選手No.1を決めるレース『ヤンググランプリ』の対象でもある。
これは選考期間が2024年1月〜9月……と、ナショナルチームメンバーにはほぼ無理では?と思われる条件だったが、最新のものを確認すると、以下のような出場規定が発表されていた。
「パリオリンピック自転車競技トラック種目代表選手(開催時S級在籍)」
つまり太田&中野にとっては、オリンピック代表に選ばれさえすればヤンググランプリにも出られる、ということ。
太田は昨年のヤンググランプリ優勝者であり、中野は昨年の優勝を逃し、これがラストチャンス。「連覇」「ラストチャンス」と、どちらにとってもメモリアルなレースとなるだろう。
各選考基準はKEIRIN.jp「Gレース等選考基準一覧表」を参照
オリンピックの行方を要チェック!
というわけで、パリオリンピックはトラック競技ファンのみならず競輪ファンにも注目していただきたい一大レースとなる。代表選考の行方、オリンピック本番に向けた情報など、随時お伝えしていく予定だ。ともに「夏、そして年末まで」楽しんでいただきたい。