競輪界では異例、アンダーアーマーとの契約
今回の契約獲得へ至るまでに、様々な困難があったという。そのエピソードと、新田祐大選手が考えるアスリートとしての競輪選手観とは。
今回の契約が突破口になれば
競輪界ではこの様な契約を得ている人は、あまりいませんよね?この契約の意義を、新田選手はどう見ていますか?
確かに競輪界ではいないですね。ただこの契約へ到るまでが非常に困難でした。
僕はここ数年、競輪のトップ選手の仲間入りをしています。賞金王にはなっていませんが、年間MVPやオールスターファン投票1位など、これまでも注目を集める理由はありました。それを様々な方にずっと観てきてもらっていましたが、スポンサー契約には到りませんでした。
その理由としては、やっぱり1番は競輪が「ギャンブル」だということだと思います。これが引っかかっていました。僕自身もそうですが、「競輪=ギャンブル」が今後も引っかかってしまうと、全ての競輪選手が今回の様なスポンサー支援を得ることが難しくなってしまいます。
そうなってしまうと、スポンサー獲得だけではなく、一般の方からの“スポーツとしての印象”が悪くなってしまうとも思っています。
なぜならスポンサーが付かないということは、露出や活躍の場が限られますし、スポンサーが付いていないスポーツは今時ありませんからね。
スポーツの中で競輪の立ち位置を見ると、売り上げでは成功しています。そして選手たちも賞金を得て、きちんと稼いでいます。
しかしトップ選手と呼ばれる人たちには、トップブランドのスポンサーは付いていません。それはとても残念なことではないでしょうか。トップブランドのスポンサーを付けることが出来たなら、そのスポンサーとの相乗効果で選手自身の露出機会が増える可能性もありますし、より多くの人の興味を引くかもしれない。
ここへ至るまでに色々と考えさせられましたが、今回の契約が何かの突破口になり、今後活躍する選手たちの原動力にもなれるのではないかと思います。
スポーツだと説明して納得してもらうのが困難だった
今回の契約へ到るまでの経緯、これまで大変だったこと等を教えてください
アンダーアーマーさんは知人に紹介していただき、お話がスタートしました。アンダーアーマーさん以外は僕自身が行っても、全て門前払いでした(笑)。
もちろん僕自身の準備不足もありましたが、自分はスポーツ選手だと説明し切れなかったのです。
競輪はギャンブルだが、スポーツとしてオリンピックの種目にもなっている。「公営ギャンブルとしては唯一のオリンピック種目だ」と説明しても「でも、やっぱりギャンブルですよね」となってしまいます。
それを何とか理解してもらうのが難しかったですね。
しかし、逆にそういうことがあったからこそ、絶対契約に持っていきたいという気持ちにもなれました。
ドリームシーカーの活動が実を結ぶ
では今回の契約締結に到った秘訣は?何がこれまでと違うのでしょうか?
一番はドリームシーカーの存在だと思います。チームでオリンピックを目指すという目標がしっかりしているからです。さらに、契約へ到るまでにドーム側のアスリートへのスポンサーシップへ対する考え方を聞かせていただいたり、アドバイスもいただきながら、僕たちが出来ることをやってきたつもりです。そこへドーム側が興味を持ってくれたのではないかと思っています。