バンクレコードとは

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外国人選手によるバンクレコード

先ほど、バンクレコードの最多保持者をご紹介する際に、あえて何度か”日本の競輪選手による”という記述をしてきた。現在43場ある競輪場の全バンクレコードのなかには、外国人選手が保持している記録が存在するからだ。

外国人選手とは正式には「短期登録選手」のこと。

2019年までは例年「短期登録選手制度」が実施されており、主に自転車トラック競技で世界トップの実力を持つ外国人選手が招待され、限られた短期間のみ競輪選手としてレースに出場していた。

競輪の競走力向上や活性化、ファンへの浸透度を深めることを目的としていた制度だが、新型コロナウイルスなどの影響で2019年以降は実施されていない。

「短期登録制度」「国際競輪」とは?かつて日本の競輪で走った、トラック競技のレジェンドたち

短期登録選手のバンクレコード最多保持者は?

短期登録選手として競輪を走った選手には、バンクレコードを更新し2023年1月現在まで破られていない記録を持っている選手が数人いる。合計9選手が樹立した14のバンクレコードが、未だ破られていない。

そのなかで、最多のバンクレコードを保持しているのが、フランソワ・ペルビステオ・ボスの2選手。2人も中川と同じ3つのバンクレコードホルダーだ。

短期登録選手が保持するバンクレコード

選手名(国籍) 競輪場 バンクレコード 記録日 競輪場の周長
フランソワ・ペルビス
(フランス)
和歌山 10.6秒 2014年5月13日 400m
岸和田 10.3秒 2014年7月23日 400m
松山 10.5秒 2013年5月15日 400m
テオ・ボス
(オランダ)
四日市 10.5秒 2019年8月20日 400m
武雄 10.7秒 2017年7月15日 400m
別府 10.5秒 2019年9月19日 400m
シェーン・パーキンス
(オーストラリア)
京王閣 10.4秒 2015年8月4日 400m
名古屋 10.4秒 2013年9月8日 400m
マシュー・グレーツァー
(オーストラリア)
久留米 10.4秒 2019年5月22日 400m
シュテファン・ボティシャー
(ドイツ)
小田原 8.7秒 2014年7月15日 333m
マティエス・ブフリ
(オランダ)
大宮 12.8秒 2017年7月19日 500m
ゲリー・ネイワンド
(オーストラリア)
大垣 10.5秒 1994年5月8日 400m
ホセアントニオ・エスクレド
(スペイン)
小倉 10.5秒 2006年7月6日 400m
ライアン・ベイリー
(オーストラリア)
青森 10.5秒 2004年4月18日 400m

時速に直すと、最速なのは誰?

(左)マティエス・ブフリ(右)シュテファン・ボティシャー

1周の長さ(周長)や傾斜(カント)、そして風の入り具合などそれぞれ異なる競輪場。一概に比較できないものではあるが一旦そこには目を瞑って、ここでは「平均時速」を計算して「誰のどの記録が最速」かを検証してみたい。

最速はあの男

まずは「各周長別」のベストタイムをピックアップし、そのうち一番速い選手を割り出していく。全国の競輪場の周長は4通りで、各周長のトップタイムは以下の4選手。

選手名 周長・競輪場 記録 記録日
シュテファン・ボティシャー 333m(小田原) 8.7秒 2014年7月15日
中川誠一郎 335m(前橋) 8.8秒 2014年9月13日
フランソワ・ペルビス 400m(岸和田) 10.3秒 2014年7月23日
マティエス・ブフリ 500m(大宮) 12.8秒 2017年7月19日

この4選手のうち、h/kmに換算して最も速いのはマティエス・ブフリの「平均時速70.312km」だった。

直線距離が1番長い500mバンクでのタイムを換算したものだ。

2017年『スポーツニッポン杯グラチャン』初日第9R

強調しておきたいのは、これは瞬間最速時速ではなく、250m(500mの半周)区間の平均時速であるということ。カーブのある競輪場、そして他選手との戦いのなかで記録したことを考えると、その凄まじさが伺える。

実際マティエス・ブフリが”最速記録”を更新した際のレースを見てみると、8番手辺りから残り半周を外側から大きく捲っているのがわかる。250mよりも数m余分に走ってのタイムなのだ。

マティエス・ブフリ

ちなみにマティエス・ブフリは2021年12月、短距離からロード種目への転向を発表した異色の選手。

2022年ではUCIトラックチャンピオンズリーグをはじめ、トラック中長距離種目にも出場し結果を残している。”バンクレコード最速記録”を保持する元最強スプリンターとして、ブフリが実証する自転車競技選手の新たな可能性には要注目だ。

以上本記事では、「バンクレコード」に関するアレコレをご紹介してきた。ぜひ競輪を観戦する際は、新たなバンクレコードの誕生にも期待しながら熱い戦いを楽しんでほしい。

参照:Keirin.jp 競輪資料室「バンクレコード」

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