約2300人が現役選手として活躍する競輪。そのなかの”最速”は誰なのか。そのひとつの指標となるのが「バンクレコード」だろう。

本記事ではこの「バンクレコード」に関するアレコレをご紹介していく。

KEIRIN.jp>競輪資料室>バンクレコード(2022年8月16日最終更新)に基づく

バンクレコードとは

バンクレコードとは、各競輪場の「上がりタイム」の最高記録のこと。

上がりタイムとは、レース最終周の最後の半周のタイムのことだ。

競輪レースでは先頭誘導員が退避した後、残り周回が減っていくにつれて選手の加速度が増していく。そして最後の半周区間は、選手たちが1着を目指して全力でペダルを踏みもがくクライマックスと言えるだろう。

逆にそこに至るまでは、お互いのラインでラストスパートを仕掛けるチャンスを見計らっていたり、ライバルの様子を伺い牽制し合うこともある。「全力疾走」にかなり近い走りをするのが、残り半周ということとなる。

各競輪場での記録

しかし全国に計43場ある競輪場は1周の長さや傾斜(カント)、風の入り具合などが異なる。全国の様々な競輪場における記録を単純に比較することはできないため、バンクレコードは各競輪場ごとの記録となっている。

つまり「バンクレコード保持者」とは「その競輪場で行われた全レースにおいて、残りの半周を史上最速で走った選手」となる。

250m、333m、400m、500m…バンク規格は走りにどれだけ影響する?

バンクレコード最多保持者

各競輪場に1人だけ、それぞれのバンクレコード保持者が存在する。逆に、全国各地の競輪場で毎年レースに出場する選手たちにとっては、複数のバンクレコードを保持することが可能だ。

では2023年1月現在、最もこのバンクレコードを保持しているのは誰なのか、またどれくらいのバンクレコードを同時に保持しているのか。

日本の競輪選手のなかで最もバンクレコードを保持しているのは中川誠一郎(熊本/85期)。

1979年生まれの現在43歳の選手で、自転車トラック競技のナショナルチームメンバーとして活躍していた経歴も持っている。そんな中川が保持しているバンクレコードは、”日本の競輪選手”として最多の「3つ」。

中川誠一郎が保持するバンクレコード

競輪場 バンクレコード 記録日 競輪場の周長
前橋競輪場 8.8秒 2014年9月13日 335m
宇都宮競輪場 13.1秒 2018年6月28日 500m
佐世保競輪場 10.6秒 2022年7月24日 400m

2022年12月現在、バンクレコードを2つ保持する日本人選手は複数人存在するものの、3つ保持しているのは中川ただ1人。

ちなみに中川は、自転車トラック競技の男子1kmTTの日本記録を2022年10月まで保持していた選手。2013年にメキシコにて開催された「トラックワールドカップ」での記録だ。

1kmTT前日本記録保持者、中川誠一郎に聞いてみた/寬仁親王牌(G1)

外国人選手によるバンクレコード

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