2022年7月1日から24日にかけて開催されていた「ツール・ド・フランス2022」。
その開幕戦となった7月1日の第1ステージでは、個人タイムトライアルが実施。初戦ということもあり、選手たちが使用する機材にも注目が集まった。
機材面において取り上げられたトピックの1つが、選手が使用する「ギアの大きさ」。
そこで本記事では、「ツール・ド・フランス2022」の第1ステージで使用されたギアをご紹介するとともに、ロードレース・トラック競技・競輪、それぞれの「ギア」にフォーカスし、3つの異なる自転車レースを比較していく。
「ツール・ド・フランス2022」で使用された巨大ギア
「ツール・ド・フランス2022」の開幕戦、第1ステージで話題となったのがUCIワールドチームの「EF Education-EasyPost」に所属するシュテファン・ビッセガー(スイス)が駆ったバイク。
厳密には、そのバイクのギアだ。
特別だったのは、そのフロントギア(ペダル側のギア)の大きさ。シュテファン・ビッセガーのバイクに取り付けられたフロントギアは「64T」という大きさで、他の選手のバイクに取り付けられていた「56T」などのギアと比べると非常に大きなサイズになる。
この「64」や「56」という数字はギア1周分の歯(ギザギザ)の数を表している。「T」は歯を意味する「Teeth(Tooth)」の略だ。
通常このフロントギアは、大きくなるほど重たくなり、その分ギアが1回転するごとに進む距離が長くなる。
シュテファン・ビッセガー(EFE)が落車…😢
ご安全に🙏Cycle*2022 ツール・ド・フランス 第1ステージ
【コペンハーゲン 〜 コペンハーゲン】13.2km(個人TT)
〜J SPORTSオンデマンドでLIVE配信中〜#TDF2022 #jspocycle pic.twitter.com/HX9hpMBJFk— J SPORTSサイクルロードレース【公式】 (@jspocycle) July 1, 2022
64Tが”どれぐらい重いのか”という疑問について、「ツール・ド・フランス2022」を国内で放送しているJ SPORTSの解説者、栗村修氏は「4人家族が全員でペダルに乗っても、ペダルがビクともしないぐらい重いギアです」と(冗談交じり?)で説明している。
ギアの重さを数値化した「ギア比」
自転車にはフロントギア(ペダル付近のギア)とリアギア(後輪軸)の2つのギアが付いている。
競輪ではフロントギアを「大ギア」、リアギアを「小ギア」と呼んでいる。フロントギアの方がサイズが大きい(歯数が多い)ためだ。
この前後のギア(の歯数)の組み合わせによって、ペダルを踏み込むのに必要な力や進む距離が変化するのだが、その組み合わせを数値化したものが「ギア比」と呼ばれるもの。(「ギア倍数」「ギアレシオ」とも呼ばれる)
ギア比の計算方法は、「大ギアの歯数 ÷ 小ギアの歯数」。仮に50Tの大ギアと15Tの小ギアを組み合わせた場合、ギア比は約3.34となる。
そしてギア比であるこの「3.34」という数字は、ペダル(クランク)を1回転するごとに後輪が「3.34周」回転することを表している。
従って「より大きな大ギアとより小さな小ギア」を組み合わせることで、ギア比がより高くなり、一漕ぎで進む距離がより長くなるということだ。