すべて自分次第、それが競輪選手
Q:競輪選手で良かったなと思う部分はなんですか?
お金の面もそうですが、やりがいを感じられる職業だと思います。練習のスケジュールはすべて自分で決められて、結果さえ出せば、どんどん上に上がっていける。普通の企業勤めならそういうことはないと思います。やりがい、面白さは感じられますね。競輪選手じゃなかったら何していたんだろう、と思います。
Q:ただ、若者にとっては「競輪選手」という職業の存在に気づけるかどうか、がありますよね。
そうですね。僕は父が競輪選手だから知っていましたが、周りに知っている友人はいませんでした。競輪選手になろうと思うことが、まずハードルが高い。競技人口が増えれば注目度も高まり、メジャーになれるんじゃないかなと思います。
Q:郡司選手は高校まで野球に邁進してこられました。自転車に乗ることに運動神経は必要だと思いますか?(郡司選手は全国リトルリーグ野球大会優勝の実績を持つ)
まったく要らない、とは言えませんし、あった方が良いとは思います。でも、そうでなくても強い人はたくさんいます。どちらかというと「気持ちの強さ」の方が大事なのかなと感じます。
Q:郡司選手のように、他競技から競輪に来るパターンもありますね。
他の分野で成功している人であれば、競技の特性を掴んでコンバートする力があると思いますから、チャンスはあると思います。強くなる可能性はかなり高いと思います。
宿舎生活のしきたり
Q:野球から競輪に入って、びっくりしたことってありますか?
今はあまり聞きませんが、宿舎生活での上下関係ですね。開催中は携帯電話(などの通信機器)を預けて宿舎生活となりますが、大先輩とも一緒に生活することになります。そこで先輩にお茶を振る舞ったり、風呂場で先輩の背中を流したり……「こういう世界なんだな」と感じましたね。
野球でも多少の上下関係はありましたけど、びっくりしました。
Q:タイトルホルダーとなった今でも、先輩の背中を流したりするんでしょうか?
いや〜、さすがに10年以上やってますし、後輩も多く入ってきて、そういう役目からは外れました(笑)それに時代の流れ的にも、だんだん少なくなっています。「やんなくていいんじゃない?」と言ってくれる先輩方も増えてきましたし、僕自身も後輩に背中を流すよう頼んだりはしていません。
ただ、だんだん無くなってきていますが、宿舎でのご飯なども先輩と時間を合わせて行ったりしています。そういった風習が神奈川は割と残ってる方みたいですね。他地区からは「まだそんなことやってんの!?」と言われます。
Q:それは神奈川というか、南関というか……?
う〜ん、どうなんでしょうね。でもデビューして一番最初に教えられました。宿舎に入ったらお茶を買って、先輩に振る舞う。そういうことを師匠が弟子に教えています。
考える力がついたのは……
Q:話し方を聞いていると凄く色んなことを考えながらしゃべっていると思うのですが、学校での勉強は出来た方ですか?
と思ってもらえるなら嬉しいですが、勉強ができないから競輪選手になったんですよ(笑)
野球ばかりやっていて、大学に行くような学力もありませんでした。だから競輪選手の道を選びました。僕の時は(競輪学校入学時に)学科試験がなかったんですが、なくて良かったなあと思います。今は結構、一般教養の試験などがあって難しいらしいですから。
Q:でも練習のことなどはとても考えていますよね?ああしてみよう、こうしてみよう、と。
やっぱり、やりがいがありますから。きついですけど、その中に面白さを見出しているので、考える力がついたのかなと思います。