2026年2月1日、オランダで開催された『2026シクロクロス世界選手権』にてマチュー・ファンデルプール(男子エリート)が優勝、自身8度目の世界制覇を達成し同大会の歴代最多優勝記録を更新した。

本記事では、シクロクロス史上屈指の強さを示すファンデルプールと、同じくオランダ勢でトラック短距離の絶対王者として君臨するハリー・ラブレイセンの“凄さ”を、世界選手権(エリート)タイトル数という観点で比較してみる。

半世紀振りの快挙を成し遂げたマチュー

ロード、マウンテンバイク、シクロクロスにおいて世界トップ選手として活躍してきたマチュー・ファンデルプール。オランダが誇るスーパースターだ。

そんなファンデルプールは2月1日、オランダ・フルストで開催された『2026シクロクロス世界選手権』にて他を寄せ付けない走りで優勝を飾り、自身8度目のシクロクロス世界制覇を成し遂げた。

この男子エリートにおける8度目の優勝は、77回にわたり開催されてきた「シクロクロス世界選手権」の歴代最多優勝数を更新する快挙。
1966年〜1973年の間に7度(1967年を除く)の優勝を飾ったエリック・デ・フラミンク(ベルギー)の記録を53年ぶりに塗り替えることとなった。

さらにファンデルプールは、この世界選手権直前まで開催されていた『シクロクロスワールドカップ』の2025-26シリーズにも計8戦出場しており、その全レースにおいて優勝。シクロクロスワールドカップでも通算歴代最多記録となる51勝に到達した。

参照:UCI NEWS(2026年1月27日), UCI Cyclocross World CUP公式サイト, UCI NEWS(2026年2月2日)

「トラック短距離の帝王」ラブレイセンと比較してみた

同じ「オランダの英雄」ラブレイセンと比較してみた

「世界選手権で歴代最多」、「オランダ選手」と聞くと、トラック競技男子短距離の絶対王者、ハリー・ラブレイセンが思い浮かぶ方も少なくないだろう。

ここからは、「世界選手権(エリート)」という同一舞台での優勝数にフォーカスして、オランダが誇る2人の英雄を比較していく。

総数はラブレイセン、単一の個人種目ではマチューに軍配

シクロクロスにおいて8度目の世界制覇を成し遂げたファンデルプールは、ロードとグラベルでもアルカンシェルを獲得しており、世界選手権タイトルは通算10回となる。

(中央)ハリー・ラブレイセン

一方、1大会につき計4種目が実施される「世界選手権トラック」の短距離種目において、その全てで強さを示してきたラブレイセンの通算優勝回数は20回。総数ではファンデルプールを大きく上回る。

ただし「単一の個人種目」でみると、ラブレイセンの最多はスプリントの6回であり、ファンデルプール(シクロクロス8回)を追う形となる。

エリート世界選手権優勝記録(優勝年)
マチュー・ファンデルプール シクロクロス 8回(2015, 19, 20, 21, 23, 24, 25, 26)
ロード 1回(2023)
グラベル 1回(2024)
ハリー・ラブレイセン スプリント 6回(2019, 20, 21, 23, 24, 25)
ケイリン 4回(2020, 21, 22, 25)
1kmTT 2回(24, 25)
チームスプリント 8回(2018, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25)

【徹底検証・世界選手権番外編】ハリー・ラブレイセンが新たに樹立した“最多記録”とは?

現在31歳のマチューと、LAを見据えるラブレイセン

個人単一種目で8度の世界制覇という偉業を成し遂げたマチュー・ファンデルプール。

しかし今回の世界選手権前には、31歳という年齢もあり、歴代最多優勝記録の更新をもってシクロクロスを引退しロードに専念するとの意向が本人の発言を通して取り沙汰されてきた。偉業達成後の優勝インタビューでも断言こそしなかったものの、

冬を1度飛ばすのも悪くないかもしれない
キャリアの終わりも近づいてきているし、それは常に意識していることです

とロードでの目標達成に向けたシクロクロスからの撤退を示唆させるコメントを残した。

参照:CyclingWEEKLY(2026年2月2日)

一方、2026年で28歳を迎えるラブレイセンは世界選手権の優勝インタビューで、

「まだまだこの種目が大好きだし、いけるところまで頑張るつもりだよ」(2023年
「『負けるわけがない』という確信を持って走ることはとても楽しい」(2025年

と今後も不動のチャンピオンとして優勝を狙っていく姿勢を語っている。
『ロサンゼルス2028オリンピック』への出場も濃厚なラブレイセン。LAまでの世界選手権2大会にてスプリントを制覇できれば、単一種目の優勝記録で現在のファンデルプールに並ぶことになる。

さらに8度の優勝ともなれば、中野浩一が成し遂げた「世界選手権スプリント10度優勝」という偉業への挑戦も、現実味を帯びてくるだろう。

「スプリントの皇帝」と呼ばれた男 中野浩一とは

2026年ワールドカップ開幕まで約1ヶ月

本記事ではマチュー・ファンデルプールによるシクロクロス世界選手権での偉業を紹介しつつ、オランダ選手同士であるファンデルプールとハリー・ラブレイセンを、世界選手権での優勝数という観点で比較してきた。

シクロクロスのシーズンが終了し、トラック競技も大陸選手権などを皮切りに本格的にスタート。3月6日からは『2026トラックワールドカップ』の第1戦も控えている。各国の出場選手は未発表ではあるが、ラブレイセンの出場も十分期待できる。

シクロクロスの熱狂が冷めやらぬ今こそ、もう1人のオランダが誇るスーパースターの走りにもぜひご注目いただきたい。

【2026年保存版】競輪&自転車トラック競技主要大会カレンダー