競輪選手からのオファーがきっかけ

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人員や設備、機材の充実

Q:中山さんは2013年からナショナルチーム専属として関わっていると聞きましたが、HPCJCができてから数年、結果も出始めました。肌で感じる「組織としての成長」のようなものはありますか?

中山:以前は、遠征の時はマッサーが1人か2人帯同、世界選手権やアジア大会だとそれにプラスしてドクターが1人付いてきてくれる、という感じでした。
でもHPCJCが出来てからはマッサー2人、理学療法士1人、ドクターや栄養士も帯同しますし、例えば栄養士が来られない場合は「こういうものを食べて欲しい」というような事前準備が行われるようになっています。

以前はマッサーだけでどうにかしようとしていた事が、きちんとした専門家によってカバーされるようになりました。ナショナルチームに関わり始めてから6、7年が経過していますが、HPCJCが活動を開始した直近の2年間で確実に変化・成長してきています。ただ、まだ完成形ではなく、これからも進化していくと思います。

Q:井上さんはどうでしょう?

井上:中山さんが話していたことに加え、マネージメントチームがPR活動や、僕らが働きやすくするための資金集めにも尽力してくださっています。施設面や環境面の充実ぶりも大きいと思います。以前はマッサージをする部屋もきちんと作られていなくて、部屋の隅っこにマッサージベッドを広げていました。今は部屋もありますし、治療器やケア用品も配備されていてハード面も充実しました。

Q:日本に数台しかない超音波エコー器も入れていると聞きました。

井上:そうなんですよ。効果的かつ最新の医療機器がありまして「選手が痛みを訴えた時はエコーでチェック、場合によってはドクターに連絡」という動きが取れるようになりました。

HPCJCは「目玉」になるものをいくつも持っている

井上:この装置を使うと、体の中が見られます。筋肉や骨や腱、炎症の状態を目で見ることが出来ます。

これがなかった時は、その部位を動かしてみて「これくらい痛みがあるから、こうなってる」と判断していました。これまでの曖昧な判断とは違って、今は科学的な判断ができるようになっています。それから特殊な超音波を使って、組織の硬さを絶対値で測る機能もあります。

例えば怪我の回復期に回復度合いに合わせたトレーニングの実施の指標にしたり、あるいは落車後、選手が痛みを感じてなくて見落としそうな骨折の発見などに役立っています。このほかにもいくつか最新機器がありますが、一般のクリニックにあったら目玉になるようなものばかりです。それが複数あるのですから、HPCJCは相当すごいです!

近隣のクリニックと連携しているので、レントゲンが必要な場合なども、連絡したらすぐ対応できるようになっています。MRIやCTなどが必要な場合も同様です。定期的に血液検査も行っていて、それによって選手の健康状態を管理したり、筋肉のダメージ量などの計測ができています。

Q:すごいですね。その連携のシステムを作ったのは誰なんですか?

中山:(井上さんを指差す)
井上:(中山さんを指差す)

Q:お互いを指差さないでくださいよ(笑)

井上:(笑)実は定期的にメディカルボードミーティングというのがあって、非常勤のドクター陣と僕らと、もう1人の青山さんというマッサー(中長距離を担当)と、栄養士が集まります。そこで先ほどの連携ワークフローを決めました。他にもアンチドーピングをはじめ、選手をサポートするためのシステムはドクターを交えて決めています。

東京オリンピックに向けた対策

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