東京五輪が初、女子マディソン
Q:中村選手が出場する「女子マディソン」は、東京オリンピックで初めて行われる種目です。見方がわからないという人も多いかと思います。
難しいですよね!これまでもインタビューで「マディソンのルールを教えてください」と言われてお答えしたことはあるんですが、説明してもうまく伝わらないことが多いです。映像を見せながら説明するのが一番良いのかなと思います。
ルールがわからない人は、シンプルに至近距離で見られるスピードや、交代の瞬間を見て楽しんでもらえればと思います。ルールがわかる人は、どの国も「タイプが違う2人」でペアを組んでいると思うので、それぞれの国の作戦や、うまい国の走り方、交代の仕方に注目して欲しいですね。
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Q:競技者として思う「マディソンの楽しさ」はどんなところですか?
最近だとカナダ戦(トラックワールドカップ第6戦)が「楽しい」と感じたレースです。他はキツさの記憶が強いですが(笑)
自分が走るスピードももちろんですが、交代した相手が良いスピードで飛んで行くのを見ることにも満足感があります。逆に自分がここぞという時にパワーをもらって交代すると、かなりの回転数が出せるのも楽しいです。レースの人数の多さも楽しい部分ですね。
Q:レースの人数の多さって、見てる側としては怖く感じるんですが・・・
見てる方が怖いですね。男子のレースなんか、見ていて悲鳴あげたくなりますもん(笑)
女子のレースでも目の前で落車が起こると「危なっ!」とは思いますが、レースに集中してると怖さは感じないです。ただ「危なっ!」って思うだけですね。
下がったら負け?
Q:先ほど交代についてはお伺いしましたが、位置取りの点に関してはどうでしょう?
カナダの時は、うまく前の方を位置取ることができたんです。世界選手権の時は途中までは良かったんですが、交代のミスがあって・・・(前編で語っています)。
ポイント周回前に6番目くらいまで上がれたので「この調子でいけばポイント取れそう!」と思ったんですけど「あ、交代できない!あ、鐘が鳴った!うわ〜みんな速い〜!!」ってなって・・・そこからは最後尾争いになってしまいました。「マディソンは下がったら負け」だなって思ってます。
逆にうまく位置取りできたカナダの時に「前にいれば主導権を握れる」と思いました。
Q:「主導権を握る」というのは「自分でペース配分ができて、前に邪魔者がいない」という意味でしょうか?
そうですね。その他にも、後ろにいると前で走る休んでる人や交代してバンクの上に上がる人を避けながら走ることになるので、前の人たちよりも長く走ることになります。前にいれば最短距離でレースを進めることができます。
カナダの時は、アイルランドや香港が後ろにいてキツそうだったんですが、自分たちは大丈夫でした。本来彼女たちとは同じくらいのレベルなんです。それを見て「こんなに違うんだ」と思いました。
序盤はみんな前々に行くので、最初は我慢しておいて、どこかのスプリントのタイミングで前に出てしまう。そうすれば前の位置をキープしやすいと思っています。できるだけ序盤で前の位置に居れれば有利になれるとは思います。後から前に出ようとすると難しいですし、だからこそ弱い国のチームほど後ろになる。弱ければ弱いほどキツくなるのがマディソンだと思います。
Q:なかなかやっている人でないと分からない部分ですね。因みに、マディソンを行っていると右手だけ(チームメートを放り投げるため)筋肉ついたりしませんか?
右手で交代する時、左手でハンドルを握って踏ん張るので案外左が筋肉痛になるんですよ!左右で全く別の筋肉を使いますね。マディソンだけやっていたら、アンバランスな筋肉になっちゃうと思います(笑)