Six dayで目の当たりにした「日本と世界の自転車文化のギャップ」

Q:10月20日からロンドンで行われていたSix dayの感想を聞かせてください。

驚愕でしたね。観客の盛り上げ方とか。日本では選手は「どうやって勝つか」しか考えていませんけど、Six dayでは「いかに観客を盛り上げながら勝つか」ということを重視していました。ミーティングで「なるべく観客を盛り上げるように」とすり合わせたりしました。

例えば、ぶっちぎりで勝つよりもギリギリで勝つ方が観客は盛り上がるじゃないですか?ゴール前の駆け引きがすごく重視されていたし、展開も「自分がどういう選手なのか」をアピールするものでした。

ハロンですらハイタッチするんです!普通は3周半だけど、ここでは4周で、最初の2周はバンクの上を走りながらハイタッチなんです。最初から盛り上げるためのやり方をしています。終わってからも観客席に行ってサインをしたりファンサービスがあって。これを日本でやれればすごく面白いと思うんですが・・・

ギャラは貰ったのですが、今回僕は実費で通訳さんをお願いしたため、通訳さんの移動費もそこから出しました。実質手取りはそんなに・・・といった形になりましたが値段以上の良い経験ができました。現地は「自転車選手はスター」って感じの文化で、僕もたくさんサインを求められました。

Six Dayでは毎日同じスケジュール。毎日ハロンを測ってそのタイム順でスプリントをやり、ケイリンをやります。毎日約5時間のプログラムを6日間連続。タイムテーブル的にはきつかったです。

Photo by James Chance/Getty Images

途中でZwiftレースもあったんです。Six dayでは選手たちで対戦してたんですが、これを日本でやるなら観客から抽選するとか「ロードは好きだけどトラック競技はあんまり・・・」という人たちに向けて情報発信して「こういうイベントありますけど来ませんか?」みたいなことができたら面白いだろうなって。

それにZwiftだからいろんなところと通信できるでしょう?例えば前橋と千葉と伊豆とで中継しながらレースするとか・・・そういうことできれば面白いかなとか思うんですけれど。選手だけでなく、一般を巻き込んだ形に。そういうことを色々考えました。

Six Dayは有名なレースだから、SNSや現地でチェックしている企業も多いんです。それで現地で「うちの製品使ってみませんか」みたいなお話もありました。だから選手としてはスポンサー集めという一面もあるんだと思います。

中長距離も絶対Six dayに出た方がいいと感じました。(橋本)英也さんとかは向いていると思います。エンターテイナーだし。

こういうのをきっかけに海外との繋がりが広がるし、英語にも興味が出たりしますよね。海外に行ってスポンサーを得ようと思った時に英語が出来ないと難しいですし、絶対できる方がいい。他の選手にもSix dayへの参加は絶対オススメしたいです。

「世界とそこまで差があるわけじゃない」